第1部|アガルートアカデミー「合格特典」制度を徹底解説

1.1 制度の概要と正式名称

アガルートアカデミーの返金制度は、正式には「合格特典」と呼ばれます。
この制度は「保証」ではなく、合格という成果を条件とする成功報酬型の特典です。
対象講座で目標年度の行政書士試験に合格した場合、以下のいずれかを選択できます。

  • 受講料の全額返金(税抜価格が基準)
  • お祝い金5万円の受け取り

ただし「全額返金」を選ぶ場合は、単なる合格証明だけでなく、マーケティング活動への協力が必須です。これは、受講生の合格体験を広告や広報に活用することを目的としており、返金はその対価として支払われます。

1.2 特典が適用される対象条件

対象講座

  • 「入門総合カリキュラム/フル」など、最も包括的で高価格帯の講座が対象
  • 単科講座や下位コースは原則対象外
  • 購入時点で対象コースか必ず確認する必要があります

対象試験年度

  • 受講講座が目標とする年度の行政書士試験で合格した場合のみ適用
    (例:2026年合格目標講座 → 2026年試験が対象)

申込者条件

  • 個人申込限定(法人経由は対象外)

1.3 「全額返金」適用に必要な多段階の条件

全額返金を受けるには、以下すべての条件を満たす必要があります。1つでも欠ければ返金は受けられず、お祝い金5万円の対象となります(該当条件を満たす場合のみ)。

  1. 合格通知書の提出
  • 公式な合格通知書データを提出(必須)
  1. 合格体験記の提出
  • アガルートでの学習体験を記した体験記を提出(文字数制限なし)
  1. 合格者インタビューへの出演
  • Zoom等で実施(15分程度)
  • 拒否すると全額返金は不可、お祝い金5万円のみ選択可能
  1. 氏名・顔写真の公開同意
  • フルネームと顔写真が公式サイトや広告媒体で恒久的に利用されることに同意すること

この制度は、単なる返金ではなく「個人情報+合格体験」というマーケティング資産を、アガルートが金銭で買い取る仕組みです。
例えば受講料20万円の場合、お祝い金との差額15万円が、氏名・顔写真の公開やインタビュー出演の対価と考えられます。

1.4 申請方法と期限

  • 合格発表後、アガルートから対象者に案内が届きます
  • 期限は非常に短く、例として令和6年度試験では2025年2月19日まで(合格発表から約1週間程度のケースもあり)
  • 期限を過ぎると理由にかかわらず特典は失効
  • 申請は専用オンラインフォームで実施し、合格通知書や体験記などを提出

1.5 返金額の計算方法と税務上の注意点

  • 返金基準は税抜価格
    → 消費税込で支払った場合でも、消費税分は返金されません
  • 割引やクーポンを利用して購入した場合、その割引後の価格が基準
  • 返金は「原稿料・講演料」として扱われ、源泉所得税が差し引かれます
  • 5万円を超える返金ではマイナンバーの提出が必須
  • このため、実際に受け取る金額は支払額より必ず少なくなります

1.6 参考情報源

第2部|フォーサイト「全額返金保証制度」を徹底解説

2.1 制度の概要と正式名称

フォーサイトの返金制度は、正式には「全額返金保証制度」と呼ばれます。
この制度は合格を条件とする成功報酬型ではなく、「努力を尽くしたにもかかわらず不合格だった場合」に備える、極めて条件の厳しいセーフティネットです。
対象講座の受講生が、設定された学習・成績基準をすべて満たしたうえで試験に不合格となった場合、受講料が全額返金されます。

2.2 保証が適用される対象条件

対象講座

  • 最上位パッケージ「バリューセット3」のみが対象
  • 下位セットや単科講座は対象外

対象試験年度

  • 購入した講座が目標とする年度の試験で不合格となった場合のみ

その他の条件

  • 個人申込限定(法人契約は対象外)
  • 本試験を欠席した場合は理由を問わず対象外
  • 同一資格での利用は一人一回限り

2.3 返金を受けるために突破すべき「4つの関門」

フォーサイトの返金制度を利用するには、以下4つの条件をすべて満たす必要があります。
どれか一つでも満たさないと返金は受けられません。

  1. eラーニングの全確認テストで100点を取得
  • 学習システム「ManaBun」上の確認テスト全問正解
  • 再挑戦は可能だが、全範囲を網羅的に学習する必要あり
  1. 学力テスト(模擬試験)で上位成績を収める
  • 行政書士講座の場合、2025年度は上位28%以内、2026年度は上位26%以内
  • 一発勝負の相対評価であり、最もハードルが高い条件
  1. 本試験で「惜敗ライン」をクリア
  • 合格基準点の85%以上を取得(180点満点なら153点以上)
  • 法令科目・基礎知識科目の両方で足切り基準(例:各24点以上)を満たす必要あり
  1. 厳格な手続きと期限の遵守
  • 必要書類の提出、教材の全返送(欠品不可)、返送期限の厳守
  • 返送送料は受講者負担

この制度は、返金条件の追求そのものが理想的な学習ルートをたどることに直結しており、結果的に合格率を高める設計になっています。

2.4 申請手順と期限

試験前に必要なこと

  • 受講期間中に本人確認書類を提出

試験後の流れ

  • 合格発表日から14日以内に申請を完了
  • 「不合格通知書」をeラーニング経由で提出
  • 全教材(テキスト・問題集・DVD等)を自己負担で返送(書き込み可・欠品不可)

2.5 返金額と対象外費用の詳細

  • 返金額は購入時の割引適用後の実際の支払額が基準
  • 対象外費用には以下が含まれる
  • 教材初回送料
  • 分割払い手数料
  • 教材返送時の送料(受講者負担)
  • 銀行振込手数料(返金額から差引)
  • 教材確認後、約1か月で銀行振込により返金

2.6 参考情報源

第3部|アガルートとフォーサイトの返金制度を徹底比較し、受講戦略を立てる

3.1 返金制度の比較一覧表

比較項目アガルートアカデミー「合格特典」フォーサイト「全額返金保証制度」
制度の目的合格という成果に対する報酬+マーケティング素材の取得惜敗した受講生への金銭的救済+学習行動設計
発動条件試験に合格すること試験に不合格であること
主な受講生の義務体験記作成・インタビュー出演・氏名・顔写真の公開に同意確認テスト全問正解・模試で上位成績・本試験高得点・全教材返送
最大のハードルプライバシー公開への心理的抵抗学力・成績基準の達成と手続きの完全遂行
対象者像個人情報公開と引き換えに返金を望む合格者「惜敗」した極めて勤勉な不合格者
返金計算基準税抜価格(割引後)+源泉徴収あり実際の支払額(割引後)
対象外費用消費税分は返金なし教材送料・返送費・振込手数料など
教材の返送不要必須(欠品不可)
難易度(主観)中程度(合格後に条件同意)非常に高い(全条件を完璧に達成)

3.2 学習者視点から見た価値の違い

3.2.1 モチベーションのタイプ:「プル型」か「プッシュ型」か

  • アガルート(プル型)
    ゴール地点に「受講料実質無料」という明確なご褒美があるため、目標達成意欲が高い学習者に適しています。自己管理能力が高く、長期的なモチベーション維持ができる人向け。
  • フォーサイト(プッシュ型)
    確認テスト全問正解や模擬試験上位ランクインなど、日々の学習を怠れない構造になっており、外的圧力で学習を継続したい人に向いています。

3.2.2 リスクヘッジの方向性:「費用リスク」か「惜敗リスク」か

  • アガルート(費用リスクのヘッジ)
    合格すれば受講料がほぼ回収できるため、金銭的負担を軽減できる一方、不合格の場合は全額自己負担。
  • フォーサイト(惜敗リスクのヘッジ)
    トップクラスの成績で僅差不合格となった場合のみ救済されるため、「やるべきことは全てやったのに落ちた」というケースに対応。ただし大幅不合格には無力。

3.3 見落としやすい規約と注意点

アガルートを検討する場合の注意事項

  1. 「全額返金」は満額ではない
    税抜価格基準+源泉徴収により、実際の受取額は支払額より少ない。
  2. 個人情報公開が条件
    氏名・顔写真が広告やウェブで長期利用され、撤回は不可。
  3. 5万円との差額=プライバシーの金額評価
    公開に値するか冷静に判断すべき。
  4. 申請期限は極めて短い
    合格発表後すぐ行動できる準備が必要。

フォーサイトを検討する場合の注意事項

  1. 返金は極めて難易度が高い
    全条件を完璧に満たせるのは一部の受講生のみ。
  2. 「優秀な不合格者」以外は対象外
    本試験で足切りを超えられなければ即失格。
  3. 一つの不備も許されない
    テスト100点、模試順位、教材返送など一つでも欠落すると権利消滅。
  4. 物理的負担とコスト
    14日以内に教材を自己負担で全返送する必要あり。

総まとめ|自分の学習スタイルとリスク許容度に合わせた制度選びを

アガルートアカデミーとフォーサイトの返金制度は、一見似たように見えても、その目的・条件・対象者像はまったく異なります。
アガルートは「合格後の成果報酬型」であり、合格というゴールを強く意識できる学習者にとっては大きなモチベーション源になります。ただし、返金額は税抜価格が基準であり、源泉徴収や個人情報の公開といった条件を理解したうえで利用する必要があります。

一方、フォーサイトは「惜敗時の救済型」で、合格できなかった場合でも努力を証明できれば金銭的リスクを軽減できます。ただし、その条件は非常に厳格で、日々の学習管理・高成績の維持・手続きの完璧さが求められるため、現実的には到達できる受講生は限られます。

どちらの制度も、単なる「お得な返金制度」ではなく、制度設計そのものが学習行動に影響を与える仕組みになっています。
重要なのは、自分がどのような学習スタイルでモチベーションを維持できるか、どの程度のリスクを許容できるかを明確にした上で選択することです。

制度の条件を正しく理解し、自分の戦略に合った講座を選ぶことで、金銭面だけでなく、合格への道筋もより明確になるでしょう。

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