TAC行政書士講座の悪い評判は本当？5つのデメリットを徹底検証

はじめに：悪い評判こそ、正しい選択への第一歩

TACの行政書士講座を検討しているあなたが、今「悪い評判」や「デメリット」というキーワードで情報を探しているなら、それは非常に賢明な判断です。

数十万円という決して安くない受講料と、その後の人生を左右するかもしれない1年以上の時間を投資する選択において、公式サイトに書かれた良い情報だけを信じるのは危険だからです。

このページでは、インターネット上に見られるTACへの批判的な意見を単に並べるだけではありません。なぜそうした悪い評判が生まれるのか、その背景にはどんな事実があるのかを、一つひとつ深く掘り下げて分析します。

目的は、TACを批判することではありません。むしろ逆です。一見デメリットに見える点が、実は特定の学習スタイルを持つ人にとっては、他のどの予備校にもない強力なメリットになり得るという事実を明らかにすること。そして、その特定の人が、もしかしたらあなた自身かもしれないと問いかけることです。

この記事を最後まで読めば、次の5つの主要な批判点について、その本質を理解できるでしょう。

受講料が高いという問題：単なるコストか、それとも投資か
教材が難しすぎるという声：挫折の罠か、本物の実力養成か
白黒テキストは時代遅れという見た目の問題：受動的学習か、能動的学習か
講師の指導が違うという一貫性の問題：指導のブレか、専門性の深さか
質問回数が少ないというサポートの問題：サービス不足か、質の担保か

これらの分析を通じて、あなたがTACを選ぶべきなのか、それとも避けるべきなのか、誰よりも深く納得できる判断基準を提供します。それでは、早速分析を始めましょう。

デメリット①：受講料が高いという批判の真相

事実確認：TACの価格は本当に高い

まず事実から認めましょう。はい、TACの行政書士講座の受講料は、他の多くの予備校、特にオンライン専業のスクールと比較して高価格帯に位置します。

例えば、初学者向けの王道コースである「プレミアム本科生」は約24万2,000円、最上位コースの「プレミアム本科生Plus」は26万4,000円が通常価格として設定されています。これは決して気軽に支払える金額ではありません。

この価格設定が「TACは高い」という悪い評判の最も大きな原因であることは間違いありません。しかし、この数字だけを見て「高いからやめよう」と判断するのは早計です。重要なのは、その価格が一体何に対して支払われているのか、その内訳を正確に理解することです。

高額な受講料の内訳を分析

TACの受講料は、単に講義動画やテキストの対価ではありません。それは、長年の実績を持つ大手予備校ならではの、包括的な教育システム全体を維持・向上させるための費用なのです。

1. 業界トップレベルの教材開発への投資

TACは、単なる予備校ではなく、強力な出版部門を持つ教育研究機関でもあります。ベストセラーである「みんなが欲しかった！」シリーズに代表される市販書籍は、多くの独学者や他校の受講生にも愛用されています。

これらの高品質な教材は、偶然生まれるものではありません。最新の試験傾向の分析、法改正への迅速な対応、そして何よりも「どうすれば分かりやすく伝えられるか」という教育工学的な研究開発に、莫大なリソースが投じられています。講座の受講料は、この研究開発を支え、その最先端の成果をカリキュラムに還元するための原資となっているのです。

2. 全国規模の校舎と質の高い講師陣の維持

オンライン講座が主流になる中でも、TACは全国に校舎を構え、通学クラスを運営しています。これは、教室の賃料や設備維持費、そして経験豊富なプロフェッショナル講師陣をフルタイムで雇用し続けるための大きな固定費を意味します。

この「いつでも頼れる物理的な拠点」と「質の高い講師陣」という安心感は、価格に反映されざるを得ない価値なのです。

3. 一発合格の確率を最大化するための保険料

行政書士試験に不合格だった場合の本当のコストを考えてみてください。失うのは再受験料だけではありません。さらに1年間の学習時間、その間のキャリアアップの機会損失、そして何より精神的な負担は、金額に換算できないほどの大きな損失です。

TACの高価格は、こうした失敗のリスクを最小限に抑え、一発合格の可能性を最大化するための戦略的投資と捉えることができます。短期的な費用は高くとも、長期的に見れば最も経済的に合理的な選択肢となり得るのです。

価格がもたらす意外な効果とは

さらに、この価格設定は受講生の質、ひいては学習環境全体に興味深い影響を与えます。高額な受講料を支払うという決断は、それ自体が「本気で合格したい」という強い意志の表明です。

結果として、TACの講座には学習意欲が非常に高く、真剣な受講生が集まる傾向があります。これは単に「コストが高い」というデメリットではなく、コミットメント（本気度）の高い仲間たちと共に学べるという、他では得難いメリットを生み出します。

オンラインホームルームや校舎での交流において、質の高い学習者コミュニティに身を置けることは、モチベーション維持の観点から計り知れない価値があるのです。価格が、意図せずして学習環境の質を担保するフィルターとして機能していると言えるでしょう。

あなたにとってデメリットかメリットか

これがデメリットになる人

意思決定において、初期費用の安さが最優先事項である場合
高額な費用を支払ったという事実が過度なプレッシャーとなり、学習に集中できない可能性がある場合

これがメリットになる人

行政書士試験を、自身のキャリアを加速させるための重要な投資と捉えている場合
失敗による1年間のロスを絶対に避けたいと考え、一発合格の確率を最大化するためなら相応の対価を支払う意思があるあなた

デメリット②：教材が難しすぎるという声の本質

受講生の本音：TACの問題は難しい

「TACの答練（答案練習）や模試は、本試験よりも難しい」「見たこともない論点が出てきて心が折れそうになる」

これは、TAC受講生、特に学習中期から後期にかけて多くの人が口にする偽らざる本音です。実際に、SNSなどでは「TACの問題集が難しい」「間違いだらけで凹む」といった悲鳴にも似た声が散見されます。

この「過剰な難易度」が、受講生に不要な不安を与え、学習のペースを乱す原因になっているという批判は、確かに的を射ている部分があります。

高難度設計に隠された教育戦略

しかし、この難易度は単なるいじわるや教材作成のミスではありません。それは、TACが長年の指導経験から導き出した、極めて意図的な教育思想に基づいています。一言で言えば、高地トレーニングです。

陸上の長距離選手が、空気の薄い高地でトレーニングを行うことで心肺機能を極限まで高め、平地でのレース本番で楽に走れるように調整するのと同じです。TACのカリキュラムは、受講生を意図的に「本試験よりも厳しい環境」に置きます。

このアプローチにより、受講生は次の3つの重要な資産を手にすることができます。

1. 深い法的思考力

単なる過去問の暗記だけでは太刀打ちできない難問に取り組むことで、表面的な知識ではなく、法律の根本原理から考える法的思考力（リーガルマインド）が強制的に鍛えられます。

2. 強靭な精神力

普段から難しい問題に慣れておくことで、本試験で未知の問題に遭遇しても「TACの答練よりはマシだ」と冷静に対処できる精神的な余裕が生まれます。この平常心が、ケアレスミスを防ぎ、実力を100%発揮させるのです。

3. 盤石な知識の網羅性

合格ラインをギリギリで超えるための学習ではなく、合格ラインを余裕で超えるための網羅的な学習を提供します。このプラスアルファの知識が、合否を分ける1問に対応する力を養います。

わかりやすいテキストと難しい問題集の関係

ここで興味深いのは、TACの教材に対する一見矛盾した評価です。一方で「基本テキストは分かりやすい」と高く評価され、もう一方では「問題集は難しすぎる」と批判されます。

これは矛盾ではなく、学習効果を最大化するための戦略的な設計です。

インプット段階（基本テキスト）

知識を吸収する段階では、可能な限り分かりやすく、スムーズに理解できることが重視されます。「みんなが欲しかった！」シリーズのように、図解や平易な言葉で、学習の入り口のハードルを極限まで下げます。

アウトプット段階（答練・模試）

知識を実際に使える力に変える段階では、あえて高い負荷をかけます。インプットで得た「分かったつもり」の知識を、厳しい問題演習によって「本当に使える」本物の実力へと昇華させるのです。

このインプットとアウトプットの間に設けられた戦略的なギャップこそが、TACの教育メソッドの核心です。学習者は、このギャップを埋めようと必死にテキストを読み返し、深く思考することで、知識を脳に刻み込んでいきます。答練で感じる苦しさは、成長のために不可欠な産みの苦しみなのです。

あなたにとってデメリットかメリットか

これがデメリットになる人

常に簡単な問題を解いて「できた！」という成功体験を積み重ねないと、モチベーションを維持できないタイプの学習者
難しい問題に直面すると、必要以上に自己肯定感が下がり、学習を投げ出してしまう可能性があるあなた

これがメリットになる人

成長は常に快適領域（コンフォートゾーン）の外で起こることを理解している、ストイックで真剣な学習者
本番で余裕を持つために、練習ではあえて自分を追い込みたいと考えるあなた

デメリット③：白黒テキストは時代遅れなのか

見た目はたしかにシンプル

競合他社がフルカラーで図やイラストが豊富なテキストを次々と投入する中で、TACの基本テキストが基本的に白黒（または2色刷り）であることに対して、「地味でやる気が出ない」「時代遅れだ」という批判的な意見は確かに存在します。

これは特にビジュアル重視の学習者にとっては、無視できないがっかりポイントかもしれません。

余白の多いテキストに込められた意図

しかし、このミニマルなデザインもまた、単なるコスト削減の結果ではなく、TACの確固たる教育哲学の表れです。

フルカラーのテキストは、一見すると親切に見えます。重要な語句は赤字で、補足説明は青字で、と出版社側が「ここが重要ですよ」とあらかじめ教えてくれます。学習者は、その色分けに従って情報を目で追うだけで、なんとなく理解した気になれます。これは非常に受動的な学習です。

一方で、TACの白黒テキストは、学習者自身が情報を取捨選択し、意味づけを行うことを要求します。どこが重要だと感じたか、どの論点とどの論点が繋がるのかを、あなた自身が考え、自分の手でマーカーを引き、ボールペンで書き込み、付箋を貼るのです。

この能動的なプロセスこそが、記憶を定着させる上で極めて重要であると、TACは考えています。テキストの余白が多いという口コミがありますが、それはまさに、学習者が自分だけのオリジナル参考書を創り上げるためのキャンバスとして、意図的に残されているのです。

白黒のテキストは、完成品ではなく、あなたと共に完成させていくプロ向けのツールなのです。

テキストデザインが映し出すあなたの学習スタイル

このテキストデザインに対するあなたの第一印象は、あなた自身の学習スタイルを映し出すリトマス試験紙のようなものです。

もしあなたが白黒のテキストを見て「不親切だ」「つまらない」と感じるなら、あなたは手厚くガイドされ、整理された情報をインプットすることを好む学習者かもしれません。

逆に、「自分で自由に書き込めるスペースがあっていいな」「自分色に染められるな」と感じるなら、あなたは情報を自ら構造化し、主体的に学習を進めることに喜びを見出すタイプの学習者でしょう。

TACのテキストは、後者のような主体的な学習者を理想のユーザーとして想定して設計されています。したがって、このデザインが合うか合わないかは、あなたがTACの教育思想そのものとマッチしているかどうかを測る、一つの重要な指標となるのです。

あなたにとってデメリットかメリットか

これがデメリットになる人

出版社による色分けやデザインに頼って情報を整理し、学習のモチベーションを維持する、視覚情報優位の学習者

これがメリットになる人

真の学習は、自らの頭で考え、手を動かす能動的なプロセスから生まれると信じているあなた
与えられた情報をなぞるのではなく、テキストを自分だけの知識体系にカスタマイズしていくことに学習効果を見出す、主体的なあなた

デメリット④⑤：講師の指導が違う・質問回数が少ない問題

受講生が感じる不安の正体

このセクションでは、講師とサポート体制という、密接に関連する2つの批判を同時に扱います。

「A講師とB講師で、40字記述式の対策法が微妙に違う。どちらを信じればいいのか不安になる」といった指導の一貫性に関する不安。そして、「プレミアムコースですら質問は80回まで。他校は無制限なのに…」というサポート体制への不満。

これらは受講生が抱える非常にリアルな懸念です。一見すると、これらは指導体制のブレやサービスの不足といった、明らかなデメリットのように思えます。しかし、ここにもTACの組織としての思想が隠されています。

指導のばらつきか、専門性の豊かさか

TACは、一人のカリスマ講師が全てを教える個人塾ではありません。各科目に、長年の指導経験と実務経験を持つ専門家が複数在籍する、巨大な教育機関です。

法律という複雑で解釈の幅がある学問において、ある論点に対して100%唯一の絶対的な正解が存在しないケースは多々あります。Aというアプローチも正しく、Bというアプローチもまた正しい。どちらが優れているかは、問題の文脈や個人の思考スタイルによって変わることさえあります。

複数の講師から、それぞれの専門的見地に基づいた、少しずつ角度の違うアプローチを学べることは、指導のブレではなく、むしろ専門性の豊かさに触れられる貴重な機会です。

これは単に試験に合格するためだけでなく、合格後に実務家として直面するであろう、多様な見解や複雑な事案に対応するための、より本質的で強固な思考力を養うことに繋がります。

質問回数制限が意味するもの

次に、質問回数の制限です。アガルートやLECといった競合他社が「質問無制限」を掲げる中で、TACが回数制限を設けているのはなぜでしょうか。

ここで問うべきは、「無制限の質問に、一体誰が答えているのか？」という点です。多くの場合、それはアルバイトのチューターや若手のスタッフであり、必ずしも講義を担当するトップ講師ではありません。量を担保するために、質が犠牲になっている可能性があるのです。

TACの回数制限は、量より質という哲学の現れです。この制限は2つの重要な効果をもたらします。

1. 受講生の質問力を高める

回数が限られているからこそ、受講生は「本当に聞くべきことは何か」を真剣に考え、論点を整理し、質の高い質問を練り上げようと努力します。このプロセス自体が、学習内容の深い理解を促します。

2. 講師からの回答の質を保証する

練り上げられた質の高い質問に対しては、講義を担当する経験豊富な専門家が、その時間を確保して、深く本質的な回答を返します。一つひとつの質問対応が、ミニ講義に等しい価値を持つのです。

つまり、TACのサポート体制は「無制限に利用できるファストフード」ではなく、「予約制で最高のサービスが受けられる高級レストラン」に例えられます。あなたはどちらのサービスを求めますか？

あなたにとってデメリットかメリットか

これがデメリットになる人

唯一絶対の正解を好み、複数の視点を提示されると混乱してしまう人
学習スタイルとして、思いついたことをすぐに数多く質問することで理解を深めていきたい人

これがメリットになる人

物事の多面的な見方を学び、本質的な思考力を養いたいと考えるあなた
100の表面的な回答よりも、1つの深く本質を突いた回答に価値を見出し、専門家との質の高い対話を求めるあなた

デメリットとメリットの一覧表

ここまでの分析を一覧表にまとめました。巷で言われる悪い評判が、視点を変えることで、いかに特定の学習者にとっての強力なメリットになり得るか、一目でご理解いただけるはずです。

この表を使って、あなた自身がどのタイプの学習者に当てはまるか、最終確認をしてみてください。

巷の悪い評判	その本質と戦略的価値	こんなあなたにはメリットです
受講料が高い	一発合格の可能性を最大化し、時間と機会損失のリスクを最小化するための戦略的投資。業界をリードする教材開発や質の高い講師陣への投資の証。	初期費用を抑えることよりも、失敗のリスクを最小限に抑え、確実なキャリアへの一歩を最優先するあなた。
教材が難しい	本試験を余裕で乗り越えるための高地トレーニング。表面的な暗記ではなく、法律の深い理解と現場での応用力を養成する意図的な設計。	簡単な成功体験よりも、挑戦を通じて本質的な実力を身につけたいと考える、ストイックで真剣な学習者のあなた。
テキストが白黒	学習者が自ら考え、書き込み、自分だけの最強の参考書を創り上げることを促す能動的学習ツール。受動的な情報消費を許さないプロ仕様。	与えられるだけの学習ではなく、自ら情報を整理し、テキストをカスタマイズすることに学習効果を見出す、主体的なあなた。
サポート回数制限	量より質の哲学。一つひとつの質問を吟味させ、講師からより深く本質的な回答を引き出すための仕組み。専門家との質の高い対話を保証する証。	無制限の単純なQ&Aよりも、一つの質問から得られる深い学びを重視し、質の高いフィードバックを求めるあなた。