TACとアガルート、行政書士講座はどっちがいい？あなたに合った選び方を徹底解説

はじめに：あなたはどちらのタイプ？

行政書士試験の合格を目指すあなたには、今2つの選択肢があります。一つは、長年の実績と体系的な教育システムで確実性を追求する道。もう一つは、自分の能力を信じて挑戦するハイリスク・ハイリターンの道です。

資格予備校業界で確固たる地位を築く「資格の学校TAC」と、近年急成長している「アガルートアカデミー」。どちらも行政書士講座として高い評価を得ているため、選択に迷うのは当然です。この迷いは、あなたが本気で合格を目指している証拠でもあります。

ただし、この重要な選択を価格や講義時間だけで決めるのは避けるべきです。なぜなら、両校の講座には全く異なる「教育に対する考え方」があるからです。

この記事では、表面的な数字の比較だけでなく、両校の根底にある考え方を詳しく解説します。読み終える頃には、あなたがどちらの学習スタイルに合っているのか、どちらの道が合格への近道なのかが明確になるはずです。これは、あなたの大切な時間とお金を、最も効果的に合格につなげるためのガイドです。

5つのポイントで比較：TAC vs アガルート

詳しい分析に入る前に、両校の違いを5つの重要なポイントから整理します。この表は単なるデータの羅列ではなく、各項目が両校の教育方針をどう反映しているかを示しています。時間がない方は、まずこの表で全体像をつかんでください。

比較項目	資格の学校TAC（プレミアム本科生）	アガルートアカデミー（入門総合カリキュラム）	考え方の違い
基本方針	確実性を重視	自己管理能力を重視	あなたの学習スタイルは？
価格（税込）	約242,000円	約228,800円～	価格以上に「何に価値を置くか」が違う
総講義時間	約209時間	約300時間	「効率重視」か「情報量重視」か
サポート体制	専門家による個別指導（メール80回まで）	コミュニティ中心（Facebookグループ）	「質の高さ」か「気軽さ」か
最大の特徴	出版事業と連携した総合学習システム	合格者全額返金制度	「失敗リスクの軽減」か「成功時の報酬」か

この表が示すように、両校の選択は単なる機能の優劣ではなく、学習に対する考え方の選択です。次のセクションからは、これらの違いが具体的にどんな学習体験を生むのかを詳しく見ていきます。

合格特典の考え方：全額返金制度をどう見るか

両校の考え方の違いを最もよく表しているのが、アガルートの「合格者全額返金制度」です。この制度をどう捉えるかが、あなたの選択を大きく左右するでしょう。

アガルートの魅力：合格すれば実質無料

まず、この制度の魅力を正しく理解する必要があります。「合格すれば受講料が全額返ってくる」という仕組みは、特に学習のモチベーション維持に自信があり、自分を厳しく管理できる方にとって、非常に強力なインセンティブ（動機づけ）になります。これは、自分の能力と努力に絶対的な自信を持つ方だけが享受できる、ハイリターンな挑戦と言えます。

この制度は、アガルートが想定する理想の受講生、つまり「自分自身を信じて挑戦する、自己管理能力の高い学習者」に最適な仕組みです。

TACの考え方：不合格リスクを減らす投資

しかし、ここで冷静に考えてみてください。「もし合格できなかったら、どうなるのか？」と。

アガルートのモデルでは、不合格だった場合、支払った約23万円の受講料はすべて戻ってきません。完全に「コスト」として確定します。

一方、TACの価格設定は、この「不合格になるリスク」そのものを減らすための「保険」を含んだ戦略的な投資と考えることができます。TACに支払う約24万円は、合格という結果だけに対する対価ではありません。長年の指導実績に基づいて最適化されたカリキュラム、プロ講師による質の高い個別サポート、そして業界トップクラスの教材開発力など、学習プロセス全体で提供される価値への対価なのです。

これらの価値は、最終的な合否に関わらず受講生に提供されるため、支払った費用が完全に「損失」になることはありません。

まとめると、両校のモデルはこう対比できます。アガルートは「成功の報酬」を最大化するモデル。TACは「失敗の可能性」を構造的に最小化するシステムに投資するモデルです。リスクを徹底的に管理し、一発合格の可能性を最も高めたいと考える「戦略的な学習者」にとって、TACの包括的なシステムは、より安全で賢明な投資と言えるでしょう。

学習内容を4つの視点で徹底比較

前の章で確立した「考え方」の枠組みを使って、具体的な学習体験を構成する4つの要素（カリキュラム、サポート、講師、教材）を詳しく見ていきます。これにより、それぞれの特徴が各校の基本方針をどう体現しているかが明らかになります。

1. カリキュラム：効率重視のTAC、情報量重視のアガルート

講義時間は、学習の質とペースを決める重要な要素です。TACの約209時間に対し、アガルートは約300時間と、1.5倍近いボリュームがあります。この数字の違いは、両校のカリキュラム設計の考え方の違いをよく表しています。

TACの約209時間という講義時間は、単に短いわけではありません。これは、長年にわたる膨大な合格者・不合格者のデータを分析し、インプット（講義）とアウトプット（演習）の学習効果が最も高くなるよう設計された最適な時間です。特に、働きながら合格を目指す忙しい社会人にとって、無理なく着実に知識を身につけ、実力を積み上げていくための「ちょうどいい」時間と言えます。

一方、アガルートの約300時間という圧倒的なボリュームは、試験範囲のあらゆる論点を徹底的にカバーしようとする意欲的な姿勢の表れです。知識の穴を徹底的に埋めたいと考える学習者には魅力的でしょう。しかし、この情報量は諸刃の剣でもあります。自分で学習計画を厳密に管理し、膨大な情報の中から優先順位を判断できる高度な自己管理能力がなければ、情報の波に溺れてしまい、かえって学習効率を下げるリスクも含んでいます。

2. サポート体制：専門家に聞けるTAC、仲間と学べるアガルート

学習中に生じる疑問をどう解消するかは、合否を分ける重要な要素です。ここでも両校のアプローチは対照的です。TACは「メール80回まで」という制限付きの個別サポート、アガルートは回数無制限の「Facebookグループ」でのサポートを基本としています。

TACのサポート体制は、「量より質」という考え方を体現しています。80回という制限は、一見するとデメリットに感じられるかもしれません。しかし、これは受講生が一つ一つの質問を吟味し、考えを整理した上で、より本質的で質の高い問いを発することを促すための戦略的な設計です。その結果、プロの講師から返ってくる回答も、より詳しく深いものとなり、学習効果を大きく高めます。これは、専門家によるプレミアムな個別指導と位置づけることができます。

対照的に、アガルートのFacebookグループは、時間や回数を気にせず気軽に質問でき、他の受講生から迅速な回答が得られる可能性があるという点で、非常にオープンなコミュニティ中心のサポートです。しかし、そこでの回答の正確性や質は必ずしも保証されておらず、講師からの正式な回答を待つ必要がある場合もあります。また、他の受講生の活発な議論が、集中したい学習者にとってはノイズ（雑音）になる可能性も否定できません。

3. 講師：チーム力のTAC、カリスマ講師のアガルート

講義の質を左右する講師陣においても、両校の考え方が色濃く反映されています。TACは小池昌三講師や神田理生講師をはじめとする経験豊富な講師陣が複数名在籍し、アガルートは豊村慶太講師が看板講師として講座を牽引しています。

TACの強みは、特定のスター講師一人に依存しない「組織力」と「層の厚さ」にあります。各講師がそれぞれの個性と指導スタイルを持ちながらも、TAC全体として統一された高品質な教育システムをチームとして支えています。これにより、受講生は安定した質の講義を受けられるだけでなく、万が一ある講師のスタイルが自分に合わないと感じた場合でも、他の講師の講義を選べるという安心感があります。これは、組織としての安定性とリスク分散の観点から非常に優れた体制です。

一方、アガルートは豊村講師という絶対的なエースが講座全体を強力に引っ張るスタイルです。彼の明快で熱意あふれる講義に共感できれば、それは受講生にとって最高の学習体験となるでしょう。しかし、その魅力は良くも悪くも豊村講師個人のカリスマ性と実力に大きく依存します。これは、一点集中の魅力を持つ一方で、そのスタイルが合わなかった場合の代替案が少ないというリスクも伴います。

4. 教材：一貫した学習システムのTAC、講座特化のアガルート

最後に、学習の根幹をなす教材についてです。TACの最大の独自性は、ベストセラー書籍『みんなが欲しかった！』シリーズに代表される、強力な市販書籍部門との連携にあります。

これにより、TACの受講生は、講座で配布される基本テキストから、市販されている問題集や判例集、記述式対策本に至るまで、すべてをTACブランドで統一することが可能です。これは、単に教材が揃っているという以上の意味を持ちます。すべての教材が一貫した方法論と品質、そして同じ用語で開発されているため、学習の途中で混乱することがなく、スムーズに知識を広げ、深めることができます。これは、講座から書籍までを網羅した、他に類を見ない「総合学習システム」と呼ぶべきものです。

この一貫した学習体験は、受講生に大きな安心感と学習効率をもたらします。これこそが、TACが長年にわたり多くの合格者を輩出し続けてきた、組織としての総合力の証明なのです。

結論：あなたはどちらのタイプ？

これまでの分析をまとめて、あなたがどちらの学習者タイプに当てはまるのかを判断するための基準を示します。以下の問いに、自分の学習スタイルと価値観を照らし合わせてみてください。

アガルートがおすすめな人：自己管理に自信がある方

自分の学習ペースやモチベーションを完璧に管理できるという絶対的な自信がありますか？
約300時間という膨大な講義量を、自分の計画で着実に消化し、知識として整理していくことができますか？
Facebookコミュニティのようなオープンな環境を積極的に活用し、自分で答えを見つけ出すプロセスを楽しめますか？
そして何よりも、「合格すれば無料になる」という金銭的なメリットに、他の何よりも強い魅力を感じますか？

これらの問いのすべてに、迷いなく「はい」と答えられるのであれば、あなたはアガルートが想定する「自分自身を信じて挑戦する、自己管理能力の高い学習者」であり、その挑戦的なスタイルが成功への最短ルートとなるかもしれません。

TACがおすすめな人：確実に合格したい方

行政書士試験を「何年もかけるべきではない、一発で終わらせるべき目標」として捉えていますか？
時間という、お金では買えない最も貴重な資源を無駄にする「不合格」のリスクを、可能な限り最小限に抑えたいと考えていますか？
実績あるカリキュラム、プロによる手厚いサポート、そして一貫した高品質な教材という「確実なシステム」に投資することで、合格の可能性を最大化することに最も価値を感じますか？

これらの問いに心が強く動かされるのであれば、あなたは「確実な成果のために、実績あるシステムに投資する戦略的な学習者」です。そして、そのための選択肢は、TAC以外には考えられないでしょう。

まとめと次のステップ

選択は明確です。自分の能力と自己管理力に賭けるハイリスク・ハイリターンな挑戦か、それとも長年の実績に裏打ちされたシステムに投資し、確実な合格を目指す戦略的な道か。もしあなたが後者の、より堅実で確実な道を選ぶのであれば、その答えは一つしかありません。

あなたの貴重な一年を、そして未来を、単なる「賭け」の対象にするのではなく、最も確実性の高い「投資」とすべきです。

あなたの次の一歩：

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