行政書士試験予備校の二大巨頭を比較
行政書士試験は、合格率10%前後という難関試験です。この試験に挑戦するにあたって、どの予備校を選ぶかは合否を大きく左右する重要な決断となります。特に、本気で合格を目指す受験生にとって、選択肢は実質的に二つの大手予備校に絞られます。
一つは、41年以上の指導実績を誇り、資格試験指導の老舗として確固たる地位を築いているLEC東京リーガルマインド。そしてもう一つは、革新的な合格特典制度で急成長を遂げ、業界に新しい風を吹き込んでいるアガルートアカデミーです。興味深いことに、アガルートの看板講師は、かつてLECで12年間活躍していた実力派講師です。
本記事では、この二大予備校の代表的な講座である、LEC「パーフェクトコース」とアガルート「入門総合カリキュラム」を徹底比較します。単なる機能の比較だけでなく、それぞれの講座が持つ「合格への考え方」の違いまで深く掘り下げていきます。どちらが優れているかを決めるのではなく、あなたの学習スタイルや価値観に合った講座を見極めるための判断材料を提供します。
比較結果の早見表:どちらがあなたに合う?
詳しい分析に入る前に、両講座の主な違いを一目で確認できる比較表をご覧ください。あなたが重視するポイントが、どちらの講座で満たされるのかすぐに分かります。
| 比較項目 | LEC パーフェクトコース | アガルート 入門総合カリキュラム | 
|---|---|---|
| 基本方針 | 長年の実績に基づく安定した指導 | 合格特典をモチベーションにした新しい学習モデル | 
| 向いている人 | 確実性を重視し、手厚いサポートを求める人 | 自分の合格に自信があり、金銭的特典に魅力を感じる人 | 
| 標準価格(Web通信) | 約245,000円 | 約327,800円(割引適用前) | 
| 公表合格率 | 48.86%(2022年度、特定条件達成者) | 46.82%(令和6年度、有料講座受講生全体) | 
| 最大の魅力 | 41年の歴史と業界最大規模の模試 | 合格時の受講料全額返金特典 | 
| 総講義時間 | 約203時間 | 約340時間 | 
| 看板講師 | 横溝 慎一郎 氏 | 豊村 慶太 氏 | 
| テキスト形式 | モノクロ(書き込んで自分専用テキストを作成) | フルカラー(講義と連動した視覚的学習) | 
| 質問サポート | 回数無制限「教えてチューター」 | 回数制限あり(例:フルで100回) | 
| 全国模試の規模 | 業界最大規模(昨年実績5,689名) | 自社実施 | 
受講料と特典を比較:コストパフォーマンスはどっち?
予備校選びは、単なる買い物ではありません。自分の将来に対する「投資」です。ここでは、両講座の価格設定の背景にある考え方と、受講生にどのような影響を与えるのかを詳しく見ていきます。
LECパーフェクトコース:安心の定額制で学べる
LECパーフェクトコースの受講料は約25万円です。一見すると高額に感じるかもしれませんが、この価格には単なる教材や講義の費用だけでなく、41年間蓄積された指導ノウハウ、ベテラン講師による直接サポート、そして何より「学習途中で挫折する」「本番で実力を発揮できない」といった合格を妨げるリスクを最小限に抑えるための価値が含まれています。
特に注目すべきは、回数無制限の質問制度「教えてチューター」です。初学者が抱える「分からないことが解決できない」という最大の不安を完全に解消するこの制度は、価格以上の安心感を提供します。LECへの投資は、合格までの道のりを確実で予測可能なものにするための、固定費用として考えることができます。
アガルート:合格で全額返金!ただし条件あり
一方、アガルートの価格設定は全く異なるアプローチです。定価は約32万円とLECより高額ですが、その価値の核心には「合格特典」という革新的な制度が組み込まれています。条件を満たして合格すれば、支払った受講料が全額返金されるこの制度は、単なる割引ではありません。受講生と予備校の関係性を根本から変える、一種のパートナーシップ契約と言えます。
ただし、この「全額返金」には重要な条件があります。合格通知書と合格体験記の提出に加えて、顔出し・実名での合格者インタビューへの出演が必須となります。これに応じられない場合の特典は、5万円のお祝い金(Amazonギフト券)に大幅に減額されます。
この仕組みには二つの意味があります。まず、アガルートにとって、合格者のリアルな声と顔は、何よりも強力なマーケティング資産になります。受講料を対価に、最高の広告塔を育成しているのです。さらに重要なのは、この制度が「自分は合格できる」と強く信じ、かつ公の場に顔と名前を出すことに抵抗がない、自信のある受験生を引き寄せる効果です。この自己選抜のメカニズムが、結果としてアガルートの高い合格実績を支える一因となっている可能性があります。アガルートへの投資は、自分の成功確率に賭ける、ハイリスク・ハイリターンな挑戦と言えるでしょう。
合格率を徹底分析:数字から見える本当の実力
予備校選びにおいて、合格率は最も重要な指標の一つです。しかし、その数字がどのような条件で算出されたものかを理解しなければ、正しい判断はできません。
LEC合格率48.86%の内訳と条件
LECが公表するパーフェクトコースの合格率48.86%(2022年度)は、非常に高い数値です。しかし、この数字には重要な条件があります。これは、コースに含まれる模試3回をすべて受験し、そのうち少なくとも1回で合格基準点である180点を超えた受講生のみを対象とした数値なのです。
これは何を意味するのでしょうか。この数字は、全受講生の合格率ではなく、「LECのカリキュラムに沿って学習を進め、一定の成果を出した受講生が、最終的に本試験を突破する確率」を示しています。つまり、LECのシステムが、合格圏内に到達した受講生を確実に合格へと導く「仕上げ力」に優れていることの証明と言えます。リスクを避けたい、確実に合格したいという学習者にとって、このデータは「LECの道筋に従えば、高確率で合格できる」という心強いメッセージになります。
アガルート合格率46.82%が意味するもの
対するアガルートの合格率46.82%(令和6年度)は、有料講座受講生全体を対象として算出されており、より広範な受講生の実績を反映しています。特定の条件を設けず、講座に参加した全体としての成功率を示している点が特徴です。
さらに、アガルートは講座レベル別の合格率も公表しており、例えば学習経験者向けの「上級総合カリキュラム」では88.0%という驚異的な数字を記録しています。これは、アガルートの指導法が、特に基礎力のある受験生の能力を最大限に引き出すことに優れている可能性を示しています。
両者のデータを比較すると、その算出方法の違いが浮かび上がります。LECは、自社のシステムを活用した学習者の「達成率」を提示することで、システムの信頼性を証明しています。一方、アガルートは、より広い受講生全体での「成功率」を提示することで、講座全体の有効性をアピールしています。どちらの数字を信頼するかは、あなたが自分を「システムに導かれる存在」と見るか、「自主的に取り組む存在」と見るかによって変わってくるでしょう。
講師の特徴:あなたはどちらのタイプが好み?
長期間の受験勉強において、講師との相性は学習継続のカギを握ります。LECとアガルートは、それぞれ異なる魅力を持つカリスマ講師を擁しており、その存在が講座の個性を決定づけています。
LEC横溝慎一郎講師:親身な指導で合格まで伴走
LECの看板講師である横溝慎一郎氏は、「王道」を体現する存在です。彼の講義の最大の特徴は、難解な法律概念を、アニメのキャラクターなど身近な題材に置き換えて解説することで、受講生の記憶に強く刻み込む点にあります。その指導は単なる知識の伝達にとどまらず、ブログや個別面談を通じて受講生の精神的な支えとなり、学習の優先順位を示すなど、ゴールまで伴走する「メンター(指導者)」としての役割を果たします。横溝講師が提供するのは、長年の経験に裏打ちされた深い信頼感と、一人ひとりに寄り添う温かさです。
アガルート豊村慶太講師:元LEC看板講師の熱血指導
アガルートを牽引する豊村慶太講師は、受講生を魅了する「カリスマ」です。彼の講義は、エネルギッシュで面白く、分かりやすいと絶大な支持を得ており、300時間を超える長時間の講義でさえ短く感じさせると評価されています。特筆すべきは、彼がかつてLECで12年間にわたり看板講師を務めた経歴を持つことです。これは、彼の卓越した指導力が、伝統的な予備校で磨き上げられたものであることを示しています。豊村講師が提供するのは、学習をエンターテイメントのレベルにまで高めるダイナミズムと、常に前進し続けるための熱狂的なエネルギーです。
この二人の講師の選択は、学習環境そのものの選択に等しいと言えます。着実に、そして安心してマラソンを走り切りたい学習者は横溝講師の安定した指導に惹かれるでしょう。一方、常に高い刺激とモチベーションを求め、スプリントのように駆け抜けたい学習者は豊村講師のパフォーマンスに魅了されるはずです。
教材・サポート・模試を比較:学習環境の違い
合格という目標を達成するためには、それを支える学習ツールの質が決定的に重要です。ここでは、両講座が提供する学習環境全体を詳しく比較します。
カリキュラムと教材:シンプル vs 網羅的
LECのパーフェクトコースは、約203時間という、合格に必要な要素を凝縮したカリキュラムで構成されています。最大の特徴は、あえてモノクロ印刷を採用したテキストです。これは単なるコスト削減ではなく、「受講生自身が書き込み、マーキングすることで、世界に一冊だけのオリジナル参考書を作り上げる」という、能動的な学習を促すための戦略的な設計です。
対照的に、アガルートの入門総合カリキュラムは約340時間と圧倒的なボリュームを誇り、試験範囲の95.7%をカバーすると謳う網羅性が魅力です。フルカラーのテキストは、講義内で講師がマーカーの色まで指示しながら進めるスタイルと連動しており、受講生を迷わせることなく、視覚的に情報を整理できるよう工夫されています。
質問サポート:無制限 vs 回数制限あり
学習サポート体制において、両者の違いは明確です。LECの最大の強みは、回数無制限の質問制度「教えてチューター」です。これは、特に法律初学者が抱く「質問回数を使い切ってしまったらどうしよう」という不安を完全に解消する、究極の安心サポートと言えます。
アガルートも手厚い質問制度を提供していますが、フルカリキュラムで100回といった回数制限が設けられています。100回という回数は多くの受講生にとって十分な数ですが、「無制限」という言葉がもたらす心理的な安心感の大きさは、非常に価値のあるものです。
模試の規模:業界最大級の信頼性 vs 自社開催
最終的な実力測定の場である模擬試験においても、両者のアプローチは異なります。アガルートが質の高い自社模試を提供する一方、LECは昨年5,689名が参加した業界最大規模の全国公開模試を誇ります。
この「規模」は、単なる受験者数の多さ以上の意味を持ちます。統計学的に、母集団(データの元となる集団)が大きければ大きいほど、個々のデータ(偏差値や順位)の信頼性は飛躍的に向上します。LECの模試で得られる成績は、全国のライバルたちの中での自分の立ち位置を極めて正確に映し出します。これは、本試験直前期の戦略を立てる上で、極めて価値の高い「情報」です。確実性を求める学習者にとって、このデータの信頼性は、LECが提供する大きな価値の一つと言えます。
結論:あなたはどちらを選ぶべき?
これまでの分析を踏まえ、どちらの講座があなたにとって最適なのかをまとめます。勝者は一つではありません。あなたの学習スタイルに合った道が、あなたにとっての正解です。
LECがおすすめな人:確実に合格したい堅実派
もし、あなたが行政書士試験の合格において何よりも「確実性」を重視するならば、LECパーフェクトコースが最も賢明な選択となるでしょう。
- 41年の歴史が証明する、揺るぎない指導システムと信頼性
- 横溝講師による、深い理解へと導くメンター型の指導
- 回数無制限の質問制度がもたらす、絶対的な学習上の安心感
- 業界最大規模の模試が提供する、客観的で信頼性の高い実力判定
LECへの投資は、不合格という最大のリスクに対する最も効果的な保険です。失敗したくない、遠回りしたくないと強く願う学習者にとって、その価値は価格を遥かに上回ります。
アガルートがおすすめな人:高いモチベーションで挑戦したい人
もし、あなたが自分の能力に自信を持ち、高い目標とインセンティブ(報酬)によってモチベーションを高めるタイプであるならば、アガルートの門を叩くべきでしょう。
- 「全額返金」という、究極のモチベーション
- 豊村講師による、学習意欲を最大限に引き出すエネルギッシュな講義
- 試験範囲を徹底的に網羅する、圧倒的なボリュームのデジタルコンテンツ
- 高い合格率が証明する、受講生全体を成功に導く実績
アガルートは、自分を信じ、プレッシャーを力に変えることができる挑戦者のための舞台です。合格を勝ち取り、実質無料で最高峰の教育を手にするという目標は、何よりの原動力となるはずです。
最終的なおすすめは?
本記事を通じて、両講座の特性と考え方の違いが明確になったはずです。最終的に、当サイトが最も推奨するのは、最高の環境で、最短で、そして何よりも確実に合格を手にしたいと考える真剣な学習者のための選択肢です。
もしあなたが、一時の感情や価格の高い安いに惑わされることなく、合格という最終目標への最も堅実な道を求めるのであれば、41年の歴史がその有効性を証明し続けるLECの「王道」こそが、あなたの投資に最も応える選択であると結論づけます。
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