はじめに:この「全額返金保証」は安全網か、宣伝文句か?
行政書士を本気で目指し、数ある講座の中からフォーサイトを検討している――多くの人がそう考える理由は、教材と学習システムの質に確信があるからです。とはいえ最後の一歩が踏み出せない。頭をよぎるのはひとつの不安、「これだけ時間とお金をかけて不合格だったらどうしよう?」という現実的な懸念です。
そこで目に入るのが「全額返金保証」。不安を和らげる強い言葉ですが、同時に「本当に返金されるのか」「厳しい条件が隠れていないか」と疑うのも当然です。これは実用的なセーフティネットなのか、それとも耳障りのよいマーケティングなのか。
フォーサイトの行政書士講座「バリューセット3」は受講料が9万円超。決して小さくない投資です。もし無駄になるかもしれないと思うと、学習への集中や申込みの決断を鈍らせます。
本記事では、その不安を解消するために、フォーサイトの全額返金保証を徹底的に分解します。制度の概要にとどまらず、適用条件の全てを一つずつ正確に確認し、実際の利用者の声や返金までの具体的手順まで、判断材料を余さず可視化します。
読み終える頃には、この保証があなたにとって価値ある「保険」なのか、そしてあなたが対象になり得るのかを自信をもって判断できるはずです。先に結論をかいつまんで言えば、これは単なる返金ポリシーではありません。受講生を合格に近づけるために設計された“学習戦略”そのものです。
全額返金保証の本当の目的 ― 真剣に学ぶ人の「あと一歩」を支える保険
フォーサイトの全額返金保証を正しく理解するには、まずその本質を見直すことが大切です。
この制度は「不合格になった人への慰め」ではありません。
むしろ、最後まで全力で取り組んだにもかかわらず、ほんのわずか届かなかった人を支える保険と考えるのが適切です。
この視点を持つことで、なぜ条件が厳しく設定されているのか、その理由が見えてきます。
戦略的ポジショニング ― 他社との比較で見えるフォーサイトの立ち位置
通信講座には、それぞれ異なるサポート方針があります。フォーサイトの保証制度を他社と比べると、その特徴がより鮮明になります。
- フォーサイト(不合格時の返金)
真剣に学習したうえで不合格だった場合に、受講料が返金される仕組みです。
これにより、金銭的なリスクを軽減し、安心して学習に集中できる環境を提供します。 - スタディング(セーフティネットなし)
圧倒的な低価格を強みとする一方、不合格時の返金保証はありません。
コストを抑える代わりに、リスクはすべて受講生が負うというシンプルなモデルです。 - アガルート(合格時の返金)
合格した場合に受講料を全額返金するという、逆のアプローチを採用しています。
「合格して結果を出すこと」が最大のモチベーションとなる仕組みです。
この比較から、フォーサイトが「挑戦はしたいが、失敗したときの金銭的損失が怖い」という受験生の心理的ハードルを下げることに重点を置いているとわかります。
保証制度は教材への自信の証明
この制度は、フォーサイトが自社の教材とカリキュラムに絶対的な自信を持っている証でもあります。
フォーサイトは「私たちが提供する学習システムに沿って本気で取り組めば、必ず合格できる」という強い確信を持っています。
保証の条件は、その「本気の学習」を明確に定義したものです。
つまりフォーサイトは、こう宣言しているといえます。
「もし私たちのメソッドをやりきって、それでも不合格になった場合は、受講料は全額返金します。」
受講生の不安を消す「心理的な安全網」
94,800円という受講料は、多くの人にとって簡単に決断できる金額ではありません。
最大の不安は「支払ったお金が無駄になること」です。
そこで全額返金保証が力を発揮します。
「真剣に取り組んで不合格だった場合は、金銭的な損失はゼロ」という安心感を提供するのです。
これにより、受講生の気持ちはこう変わります。
- 保証がない場合:「9万円を失うかもしれない投資」
- 保証がある場合:「合格すれば自己投資、不合格でも条件を満たせば返ってくる一時的な預け金」
この認識の転換が、最終的に「申込みボタンを押す決断力」につながります。
実際に、多くの受講生がこの保証制度を決め手としてフォーサイトを選んでいます。
4つのハードル ― 全額返金を受けるための条件を徹底解説
返金を受けられるかどうかは、これから説明する4つの条件をすべてクリアできるかにかかっています。
ここでは、それぞれの条件の内容、難易度、そして攻略のポイントをわかりやすく整理します。
まずは全体像を以下の表で確認しましょう。
| 条件 | 要件 | 想定難易度 | 攻略のヒント |
|---|---|---|---|
| 1. 確認テスト | eラーニング上で提供される全ての確認テストで100点を取得 | 低 | 講義を視聴した直後に復習として取り組み、知識定着の習慣化を目指す。 |
| 2. 学力テスト | 全受験者中、上位パーセンタイル(例:26~28%以内)に入る | 高 | 最大の難関。本試験と同じ気持ちで臨み、過去問演習を徹底して準備する。 |
| 3. 本試験の成績 | 不合格であることが前提。その上で合格基準点の85%以上かつ一般知識等の足切り回避 | 高 | 惨敗ではなく「惜敗」であることが条件。目標はあくまで合格であり、この制度はあくまで保険と考える。 |
| 4. 試験後の手続き | 合格発表後14日以内に必要書類を提出し、教材一式を返送 | 中(事務作業) | 発表後すぐ動けるよう、返送用の箱や必要書類を事前に準備しておく。 |
条件1:基礎固めの証明 ― すべての確認テストで100点を取る
内容
確認テストは、フォーサイトのeラーニングシステム「ManaBun」で提供される小テストです。
各講義の単元ごとに用意されており、学んだ内容をその場で確認するために設計されています。
要件
本試験前日までに、提供されるすべての確認テストで100点を取得する必要があります。
難易度分析
4つの条件の中では、もっとも達成しやすい項目です。
確認テストは何度でも再挑戦でき、問題も講義内容の基本的な理解を問うレベルなので、学習を進めていればクリアは容易です。
重要な注意点
返金保証の対象となるのは「通常版」の確認テストのみです。
「ゲーム版」で100点を取っても条件を満たしたことにはならないため、ここは特に注意が必要です。
見落としやすい細則なので、確実に押さえておきましょう。
条件2:最大の壁 ― 学力テストで上位パーセンタイル入り
力テストは、本試験の約1か月前に「ManaBun」上で実施される模擬試験です。
一度きりの本番勝負で、再挑戦はできません。
パーセンタイル要件
このテストで、全受験者中の上位パーセンタイルに入ることが求められます。
年度によって基準は変動し、以下のように設定されています 1。
- 2025年度試験対策:上位28%以内
- 2026年度試験対策:上位26%以内
この基準は、前年の全国平均合格率の2倍を目安として設定されており、公平性を保つ工夫がされています。
難易度分析
この条件は、多くの受講生が「最難関」と口をそろえるほどの壁です。
SNS上でも「難しすぎてやる気を失った」という声が見られ、その厳しさがうかがえます。
信頼を高めたルール変更の経緯
制度が導入された2020年当初は、条件が「特定の点数以上を取ること」でした。
しかし、これでは「フォーサイトがわざと難易度を上げれば、誰も条件を達成できないのでは」という疑念が生じました。
実際に2020年度は難易度が高すぎたため、受講生の間で「返金する気がないのでは」という不信感が広がったのです。
そこでフォーサイトは、2021年度から現在の「上位パーセンタイル制」にルールを改定。
この仕組みによって、テストの難易度に関わらず必ず一定割合の受講生が条件をクリアできるようになりました。
この対応は、フォーサイトが受講生の声に真摯に耳を傾けた結果であり、公正で信頼できる制度運営を目指す姿勢を示す重要な改革でした。
条件3:「惜敗」の証明 ― 本試験での成績
二重の要件
この条件には、2つの要素が含まれています。
- 得点率の基準
行政書士本試験で、合格基準点の85%以上を得点すること。
たとえば、合格点が300点満点中180点であれば、153点以上が必要です。 - 一般知識等の足切り回避
法令科目の得点とは別に、「基礎知識(旧:一般知識等)」科目で24点以上を取得していることが条件です。
この条件が示すこと
このルールは、「準備不足の受験生は対象外」という明確なメッセージです。
つまり、合格まであと一歩の実力者のみを救済する制度だといえます。
例として、合格点180点に対し153点で不合格だった場合、差はわずか27点。
こうした「惜敗」した受験生こそが、この制度の対象となります。
条件4:最後の事務手続き ― 試験後の迅速な対応が鍵
厳しい期限
合格発表日から14日以内という短期間での対応が必須です。
この期限は一切の例外がなく、遅れると即失格となります 1。
提出物(デジタル)
フォーサイトのeラーニングポータルから、以下のデータをアップロードします 1。
- 不合格を証明する「試験結果通知書」のコピー
- 本人確認書類(例:運転免許証)のコピー
返送物(物理)
さらに、送られてきた教材一式をすべて返送する必要があります 1。
対象には以下が含まれます。
- テキスト
- 問題集
- 講義DVD
- 副教材
- 模擬試験 など
チラシなどの付属資料は除外されますが、不足が1点でもあると返金は認められません。
教材の状態について
書き込みやマーカー、ページ折れ
条件全体を俯瞰して見えるもの
これらの4条件を眺めると、単なる返金ルール以上の構造が浮かび上がります。
実はフォーサイトは、この制度を通じて合格への学習プロセスを設計しているのです。
- 条件1(確認テスト100%):日々の復習を習慣化し、知識を定着させる
- 条件2(学力テスト上位):本番同様の緊張感を経験し、弱点を早期発見
- 条件3(本試験高得点):常に高い目標を意識し、完成度を追求する
こうして「返金保証の条件を満たす」という行為自体が、合格するために必要な最も効果的な勉強法となっています。
結果として、セーフティネットを追い求める過程が、セーフティネットを不要にする=合格につながるという理想的な仕組みなのです。
この制度は単なる「返金条件」ではなく、合格までのロードマップとして活用するのが最も賢い方法です。
返金申請のための完全ステップガイド
一見複雑に見える返金手続きも、時系列で整理すればシンプルなチェックリストになります。
ここでは、学習開始から返金完了までの流れをステップごとにわかりやすく解説します。
フェーズ1:学習期間中(試験の数ヶ月前まで)
ステップ1:対象講座に申し込む
全額返金保証が適用されるのは「バリューセット3」のみです。
他のコースは対象外なので、申込み時に間違えないように注意しましょう。
なお、購入時に特別な手続きは不要です。
ステップ2:確認テストを計画的にクリアする
講義を受けたら、その都度確認テストを実施し、100%の達成を目指しましょう。
後からまとめて行うと負担が大きくなるため、日々の学習習慣に組み込むことがポイントです。
ステップ3:学力テストの準備と受験
eラーニング上で告知される実施期間内に、万全の準備をして学力テストを受験します。
このテストは一度きりのチャンスなので、スケジュールを事前に確認しておきましょう。
ステップ4:本人確認書類を事前に提出する
試験結果の提出とは別に、受講期間中(試験前)に本人確認書類をeラーニングから提出しておきます。
これを忘れると返金申請ができなくなるため、早めの対応が必要です。
フェーズ2:試験結果発表後(14日間の勝負)
ステップ5:試験結果通知書をダウンロード
不合格だった場合、公式な試験結果通知書を入手します。
ステップ6:試験結果通知書をアップロード
eラーニングポータルにログインし、指定ページから試験結果通知書をアップロードします。
ステップ7:教材一式を丁寧に梱包
送られてきた教材をリストで確認しながら、不足がないように梱包します。
この作業には意外と時間がかかるため、あらかじめ準備しておくと安心です。
ステップ8:フォーサイトへ教材を発送
返送時の送料は自己負担となります。
指定された住所宛に、期限内に発送しましょう。
フェーズ3:返金の受け取り
ステップ9:フォーサイトによる確認
返送された教材と提出書類がフォーサイトに到着後、内容に不備がないか確認されます。
ステップ10:返金の入金
確認が完了すると、通常は書類到着から約1週間前後で、指定した銀行口座に受講料が振り込まれます。
契約の細則 ― 知っておくべき5つの重要ポイント
全額返金保証制度を最大限に活用するためには、事前に理解しておくべき注意点があります。
ここでは、後で「知らなかった」と後悔しないために、特に重要な5つのポイントを解説します。
これらを理解することで、メリットとデメリットを冷静に評価し、納得感をもって判断できるようになります。
1. 最大のトレードオフ:手元の教材がゼロになる
返金を受けるためには、使用したテキストや問題集をすべて返送する必要があります。
つまり、不合格で翌年に再挑戦する場合、学習に必要な教材が手元に一切残らないということです。
再度教材を購入する手間と費用が発生するため、この点は返金申請をするかどうかを判断する大きなポイントになります。
2. 「全額返金」の範囲に含まれない費用
「全額返金」という言葉でも、すべての費用が戻るわけではありません。
返金の対象は、キャンペーンやクーポンを適用した後の実際に支払った受講料本体のみです。
教材購入時の送料や、分割払いを選択した場合の手数料は返金対象外なので注意が必要です。
3. 保証制度と教育訓練給付制度は併用不可
国の制度である教育訓練給付制度と、フォーサイトの全額返金保証制度は併用できません。
返金保証が適用された場合、教育訓練給付制度での申請は取り消されます。
教育訓練給付制度は、合否に関係なく受講料の20%が戻る確実な制度です。
一方、返金保証制度は厳しい条件をクリアする必要があります。
条件を満たす自信がない場合や確実性を重視する場合は、教育訓練給付制度を選んだほうが賢明な選択となるでしょう。
4. 受験は必須 ― 棄権は対象外
病気や急用、試験自体の中止など、どのような理由であっても、本試験を受験しなかった場合は返金対象外です。
この制度はあくまで「受験した結果、不合格だった」という前提が必要です。
5. 権利は一度きり
この全額返金保証制度は、同じ資格については一人一回限りしか利用できません。
一度返金を受けた後、再度同じ講座を申し込んでも、二回目は保証対象外となります。
まとめ ― フォーサイトの全額返金保証の本当の価値とは?
ここまで、フォーサイトの全額返金保証制度について多角的に分析してきました。
では最終的に、この制度があなたにとって本当にメリットとなるのかを判断していきましょう。
単なる「客寄せ」ではなく、強力な「モチベーター」
この制度は、よくある誇大広告とは一線を画しています。
むしろ、受講生を合格へ導くために設計された「モチベーション維持システム」といえます。
厳しい適用条件は欠点ではなく、最大の特徴です。
「確認テストで100点を取る」「学力テストで上位を目指す」といった明確な目標が設定されていることで、
長期間の学習でありがちなダレや中断を防ぎ、継続的な努力を自然と習慣化させます。
つまり、返金保証を追いかける過程そのものが、合格への最短ルートになるのです。
この保証制度が向いている人
- リスクを回避したい真剣な初学者
合格への意欲は高いが、不合格時の金銭的損失を避けたいと考えている人。 - 数値目標でモチベーションが高まる人
「全テストで100点」「上位26%以内」など、具体的なゴールがあることでやる気が出るタイプ。 - 受講料がネックになっている人
この制度を“保険”とすることで、最後の一歩を踏み出せる人。
利用を再検討すべき人
- 確実性を最優先する人
厳しい条件を満たす必要がある返金保証よりも、合否に関係なく20%が戻る教育訓練給付制度を重視するタイプ。 - 再挑戦を見据えている人
不合格の場合でも、同じ教材を使って翌年も学習を続けたいと考えている人。
教材の返却は大きなデメリットになります。 - 努力を最小限にしたい人
この制度は“本気で合格を目指す人”が対象です。
安易な気持ちで利用できるものではなく、条件達成には相応の努力と覚悟が必要です。
自信を持って、自分の決断を選び取る
これで、フォーサイトの全額返金保証制度について、条件や手続き、そして制度が持つ本当の意味までを理解できたはずです。
もはや問うべきは「この制度は本物なのか?」ではありません。
これから考えるべきは、「この制度は自分の学習スタイルに合った最適な起爆剤となるか」ということです。
要点の再確認
- この保証制度は正当な仕組みだが、非常に厳格で妥協のない条件が設定されている
- 条件を満たす過程そのものが、合格に直結する学習プロセスとして機能する
- 最大のトレードオフは、返金と引き換えに教材をすべて返却する必要があるという点
もしあなたが本気で合格を目指す覚悟を持ち、
その挑戦を金銭的なリスクから守りたいと願うなら、
この制度は最強の味方となるでしょう。
それはフォーサイトが、自社の教材だけでなく、あなた自身の可能性を信じている証でもあります。
安心感という強力なサポートを背に、行政書士への第一歩を踏み出してください。

