アガルート不動産鑑定士講座は本当にお得？合格で全額返金の真実を現役行政書士が徹底検証

行政書士の皆さんへ：同じ専門家として本音でお話しします

行政書士の皆さん、同じ専門家として率直にお話しさせてください。

私たちは皆、平均合格率10%台という厳しい行政書士試験を突破してきました。それは誇るべき成功体験です。しかし、独立開業して日々業務に取り組む中で、多くの方が同じ課題に直面しているのではないでしょうか。それは「競争の激しい市場でどう差別化し、安定した高収益の基盤を築くか」という、専門家としての根本的な問いです。

その答えの一つとして、多くの行政書士が「ダブルライセンス（複数資格の保有）」に注目しています。中でも不動産鑑定士という資格は、私たちの業務と驚くほど相性が良く、大きな相乗効果を生み出す可能性を秘めています。特に相続案件では、遺産分割協議書の作成（行政書士業務）と不動産の価値評価（不動産鑑定士の独占業務）を一人で完結できる「ワンストップ専門家」として、依頼者から厚い信頼を得ることができます。これは顧客単価の大幅な向上につながる、非常に強力な武器となります。

しかし、その道のりが険しいことも事実です。不動産鑑定士試験の最終合格率はわずか3～6%。これは司法書士試験に匹敵する、国内最難関レベルの試験です。

そこで誰もが考えるはずです。

「この超難関資格に、数十万円という大金をリスクなしで挑戦する方法はないだろうか？」

この記事は、その問いに対する答えを徹底的に検証するものです。近年、資格予備校市場に参入し「合格すれば受講料を全額返金する」という驚きの制度を打ち出したアガルートアカデミー。このオファーは魅力的すぎて、逆に不安を感じるほどです。

これは本当に、私たち行政書士が待ち望んでいた理想的な選択肢なのでしょうか？それとも巧妙なマーケティングに隠された「落とし穴」があるのでしょうか？現役行政書士として、そして皆さんと同じくキャリアアップを目指す専門家として、その実態を徹底的にレビューします。

挑戦できない3つの理由：私たちを阻む大きな壁とは

不動産鑑定士という資格の魅力は十分理解していても、多くの行政書士が挑戦をためらうのには明確な理由があります。それは私たちの前に立ちはだかる「3つの大きな壁」の存在です。

費用の壁：50万円を超えるハイリスクな投資

まず最も現実的な障壁が、講座費用の高さです。この市場を長年独占してきた大手予備校の価格設定は、正直に言って「覚悟」が必要なレベルです。

資格の学校TAC：圧倒的な合格実績を誇る業界トップですが、その分価格も最高クラス。主要な総合コースは約553,000円にも達します。
LEC東京リーガルマインド：TACに次ぐ大手で、総合コースで約400,000円が標準的な価格帯です。

わずか3～6%という合格率を考えると、この数十万円の出費は成功すればリターンの大きい「投資」ですが、不合格の場合は回収できない「損失」となります。これは単なる講座費用ではなく、極めてハイリスクな投資に近いと言えるでしょう。

難易度の壁：法律家が苦手な「経済学・会計学」という関門

次に行政書士特有の心理的な壁が、試験科目の性質です。確かに私たちは「民法」や「行政法規」において大きなアドバンテージを持っています。行政書士試験で培った知識は、間違いなく学習時間の短縮に貢献するでしょう。

しかし問題はそれ以外の科目です。不動産鑑定士試験の合否を分けるのは、法律家である私たちにとって未知の学問分野、「経済学」と「会計学」です。法律の条文解釈とは全く異なる、数値的な思考と計算能力が求められるこれらの科目は、多くの法律系資格者にとって最大の関門であり、挑戦をためらわせる大きな不安要素となっています。

時間の壁：2,000～4,000時間をどう確保するか

そして最後に、最も現実的で深刻な壁が「時間」です。不動産鑑定士試験の合格に必要とされる学習時間は、平均2,000時間から4,000時間と言われています。これは私たちが行政書士試験に費やした時間（平均600～1,000時間）の実に3～4倍に相当します。

私たちはもはや専業の受験生ではありません。クライアントとの打ち合わせ、書類作成、許認可申請の代行といった日々の業務に追われる現役の専門家です。この膨大な学習時間を現実の生活に落とし込むとどうなるでしょうか？

それは「平日に4～5時間、週末はそれ以上の学習時間を、1.5年から2年間にわたって一日も欠かさず確保し続ける」という、極めて過酷な生活を意味します。多くの実務家にとって、これは非現実的と言わざるを得ません。

これら「費用」「難易度」「時間」の3つの壁は互いに関連し、私たちの挑戦意欲を削ぐ悪循環を生み出しています。高額な費用は、高い難易度による不合格のリスクをさらに恐ろしいものにし、膨大な時間投資を要求するため、失敗した場合の精神的・金銭的ダメージは計り知れません。この構造こそが、多くの有望な行政書士を不動産鑑定士への道から遠ざけている原因なのです。

アガルートの画期的な解決策：「全額返金」でリスクをゼロに

この行き詰まった状況を根本から変える可能性を秘めているのが、アガルートアカデミーが提示した「合格特典」です。その内容は、既存の予備校の常識を完全に覆すものでした。

これまでにないオファー：合格すれば「実質無料」＋「お祝い金」

アガルートのオファーは驚くほどシンプルで強力です。

対象カリキュラムを受講し、目標年度の不動産鑑定士試験に最終合格した場合、支払った受講料（税抜価格）が全額返金され、さらに現金30,000円のお祝い金が進呈されます。

これは単なる「割引」や「キャッシュバック」ではありません。率直に言えば、「金銭的リスクの完全な逆転」です。アガルートは自社の講座と受講生の成功に賭け、不合格だった場合のリスクを受講生から自社へと移したのです。

これにより、前述した「3つの壁」の構造が根底から変わります。最も重い足かせであった「費用の壁」が、条件付きではあるものの事実上消滅するのです。これにより受験生は純粋に「自分の時間と努力」だけを投資すればよい、という新しいルールが生まれます。

全額返金の条件とは：契約のプロとして細かくチェック

もちろん、これほど魅力的なオファーには相応の条件が付いています。私たち行政書士は契約書の精査を専門とする職業です。その厳しい目で、全額返金の条件を一つずつ確認していきましょう。

アガルートの他資格講座の事例から判断すると、全額返金を受けるための主な条件は以下の3点です。

合否通知書データの提出：これは当然の要件です。合格を証明する公的書類の提出が求められます。
合格体験記の提出：アガルートの講座をどのように活用し、合格に至ったかの詳しいレポートを執筆・提出します。
合格者インタビューへの出演：これが最も重要なポイントです。Zoom等を利用したビデオインタビューに参加し、その映像が自分の顔写真と実名とともに、アガルートの公式サイトやプロモーション素材として公開されることに同意する必要があります。

この第3の条件が、事実上の「対価」です。つまり数十万円の講座費用をゼロにするための交換条件は、「自分の成功体験を、未来の受講生のための公式な広告として提供すること」なのです。

顔と実名を公表することに抵抗がある方にとっては、受け入れがたい条件かもしれません。しかし視点を変えれば、これは「ダブルライセンス保有者」としての自分のブランドを、合格直後から予備校の公式サイトという公の場で構築できる、またとない機会とも捉えられます。このトレードオフをどう判断するかが、アガルートを選ぶ上での最大の分かれ目となるでしょう。

（なお、インタビューを辞退した場合でも、合格体験記の提出など、より緩やかな条件を満たすことで「お祝い金」のみを受け取れる制度が他資格では用意されています。不動産鑑定士講座の最新の条件は、必ず公式サイトでご確認ください。）

他社の「返金制度」との決定的な違い

ここで注意すべきは、TACやLECにも「合格者返金制度」という名称の制度が存在する点です。しかしその性質はアガルートのものとは全く異なります。

TAC・LECの制度：これは来年度の試験対策コースを「合格発表前」に申し込んだ人が、結果的に今年度の試験に合格していた場合に、不要になった来年度コースの受講料を返金するというものです。
アガルートの制度：これは受講したその年度の試験に合格したこと自体を祝い、その対価として受講料を返金するものです。

結論をシンプルにまとめましょう。

「TACとLECが提供するのは『早期申込者のための保険』。アガルートが提供するのは『合格者のための成功報酬』です。」

この2つは似て非なるもの。金銭的リスクを根本から取り除くという点において、アガルートの制度は市場で唯一無二の価値を持っているのです。

返金制度だけじゃない：講座の実力は本当にあるのか？

「合格すれば無料」という魅力的なオファーも、講座自体の質が低く合格できなければ意味がありません。ここからはアガルート不動産鑑定士講座の中身を、私たち行政書士の視点から冷静に分析します。

現代的な学習法：大量の問題演習より「理解」を重視

アガルートの指導法は、伝統的な大手予備校とは一線を画します。最大の違いは、大量の答案練習（答練）に頼る学習法からの脱却です。

大手予備校のモデルが、豊富な答練をこなすことで問題の「型」を体に覚え込ませるアプローチだとすれば、アガルートは質の高いテキストと論証集を深く読み込み、講義を通じて本質的な理解を確立することを最優先します。

これは多忙な実務家にとって極めて合理的な戦略です。時間は有限です。延々と続く答練に時間を費やすよりも、まず核となる知識体系を頭の中に構築し、それを応用して未知の問題に対応する能力を養う。この効率性を重視したアプローチは、「時間の壁」に悩む私たちにとって非常に魅力的に映ります。

一人の講師が全科目担当：一貫性のある指導の強み

アガルート不動産鑑定士講座のもう一つの大きな特徴は、全科目を阿部講師という一人の専門家が一貫して担当する点です。

科目ごとに専門講師が変わる大手予備校のモデルにも利点はありますが、時には講師間で説明のニュアンスが異なったり、科目間の連携が薄くなったりするリスクも伴います。

その点、一人の講師が全体を俯瞰してカリキュラムを設計するアガルートの方式は、「民法でのあの論点が、鑑定理論ではこのように活きてくる」といった科目を横断した解説を可能にし、学習の混乱を防ぎます。特に法律・経済・会計という異分野の知識を統合する必要がある不動産鑑定士試験において、この指導の一貫性は大きな強みとなるでしょう。

行政書士に最適なカリキュラムと教材

強みを活かす：民法の知識は当然、大きなアドバンテージとして活用できます。
弱点を克服する：最大の懸案である経済学・会計学についてはどうでしょうか。アガルートのテキストはフルカラーで図解や表を多用しており、完全な初学者が視覚的に理解しやすいように工夫されています。講義も具体例を交えながら噛み砕いて説明するスタイルで、単なる暗記ではなく「理解」を促すことに重点が置かれています。
信頼性と注意点：一方でアガルートの他資格講座の口コミを見ると、「テキストの情報量が多くて消化が大変」「教材に誤植が見られることがある」といった声も散見されます。これは合格に必要な情報を網羅的に詰め込んでいる裏返しとも言えますが、受講する側にも相応の覚悟と主体的な学習姿勢が求められることを示唆しています。

充実のサポート体制

オンライン専門予備校と聞くと、サポート面で不安を感じるかもしれません。しかしアガルートは受講生からの質問に対し、チューターではなく講師自身が直接回答する制度を設けており、これは質の高いサポート体制の証と言えます。

総合的に見て、アガルートの講座は単なるマーケティング先行の商品ではありません。「効率性」「一貫性」「初学者への配慮」という明確な設計思想に基づいた、戦略的な学習プログラムであると評価できます。

アガルート vs 大手予備校：あなたに合うのはどれ？

結局のところ、どの予備校を選ぶべきか。その答えはあなたがどのような「投資家」であるかによって決まります。ここでは3つのタイプに沿って、最適な選択肢を整理します。

「安全第一」型：不合格のリスクを何よりも恐れ、市場シェアNo.1という「実績」に対してプレミアム価格を支払うことを厭わないタイプ。この方にはTACが最適です。
「バランス重視」型：大手予備校の安心感と体系的な指導を求めつつ、TACよりも優れたコストパフォーマンスを重視するタイプ。この方にはLECが堅実な選択肢となります。
「戦略的投資家」型：試験のコストと合格率を冷静に分析し、投資対効果（ROI）を最大化しようとするタイプ。この方こそ、本記事が対象とする読者です。

以下の比較表は、この「戦略的投資家」の視点から、3つの選択肢を分析したものです。

不動産鑑定士講座 3社比較

項目	アガルートアカデミー	資格の学校TAC	LEC東京リーガルマインド
理想のタイプ	戦略的投資家	安全第一	バランス重視
代表的コース料金	約371,800円	約553,000円	約400,000円
指導の核心	知識の習熟による効率化	圧倒的な答練量による網羅性	基礎力重視の標準化
返金制度の本質	合格報酬（合格への対価）	早期申込保険（不要になった講座の返金）	早期申込保険（不要になった講座の返金）
最大の強み	実質的な金銭リスクの消滅	圧倒的な合格実績とブランドの安心感	大手の中での費用対効果
潜在的な弱み	合格特典の条件（顔出しインタビュー）、歴史の浅さ	業界最高水準の価格	市場シェア2番手、教材の自己補強が必要との声も