クレアールの「教材の山」に圧倒されていませんか？

クレアール行政書士講座に申し込むと、やがて自宅に大きな段ボール箱が届きます。箱を開けた瞬間、期待感とともに押し寄せてくる圧倒的なボリューム感。これは、合格を目指すすべての受講生が必ず経験する通過儀礼のようなものです。

目の前には、分厚い『マルチパステキスト』が7冊、『論点別過去問題集』が4冊。まさに「教材の山」がそびえ立っています。さらに学習が進むと、『科目別パーフェクト答練』や『解法マスター講義資料』といった演習教材も次々と届きます。

「これを本当に全部やりきれるんだろうか…」

「仕事や家庭と両立しながら、この量をこなせるはずがない…」

もしあなたが今そう感じているなら、それはまったく正常な反応です。その不安は、あなたが試験に真剣に向き合おうとしている証拠そのもの。物理的に積み上げられた教材の重みは、心理的なプレッシャーとなって「全ページを完璧に理解しなければ」という強迫観念を生み出します。この感覚こそが、多くの学習者が最初に直面する、そして最も乗り越えにくい壁なのです。

この記事は、その壁を乗り越えるための「地図」であり「登山計画」です。クレアールの膨大な教材は、無計画に挑めば迷子になりかねない険しい山脈ですが、正しい戦略さえあれば、あなたを合格へと導く最も確実なルートになります。これから、その「教材の山」を制覇するための具体的な学習計画術を、ステップごとに解説していきます。

発想の転換：教材の多さは実は最大の強み

まず、最も重要な考え方の転換から始めましょう。クレアールの教材量は「欠点」ではなく、意図的に設計された「最大の長所」です。それは「網羅性」という名の、最強のセーフティネットなのです。

行政書士試験は出題範囲が広く、誰もが意表を突かれるような論点から出題されることもあります。そんなとき合否を分けるのは、「見たこともない問題だ」とパニックになるか、「この論点、あのテキストの隅に書いてあったな」と思い出せるか、その一点です。クレアールの教材の山は、そんな「万が一」に備えるための巨大な知識のライブラリ。本試験でどんな問題が出ても対応できるという、絶対的な「安心感」の源泉となります。

しかし、ここで疑問が湧くはずです。「これほど膨大な教材があるのに、なぜクレアールは『非常識合格法』という、学習範囲を絞り込む戦略を掲げているのか？」と。

ここにこそ、クレアールの真の戦略が隠されています。

『非常識合格法』とは、満点の300点を目指すのではなく、合格基準点を確実に超えるための約200点を狙う戦略です。そのために、出題可能性の高い重要論点、特に配点の大きい憲法・民法・行政法に学習時間を集中させます。

つまり、膨大な教材は「合格に必要な知識がすべて網羅された完全な地図」であり、『非常識合格法』は、その広大な地図の中から「合格への最短ルートを示す専門家のコンパス」なのです。この二つは矛盾するものではなく、互いを補完し合うことで初めて機能する、きわめて洗練された学習システムと言えます。杉田講師や竹原講師といった専門家が、広大な知識の海の中から、どこが浅瀬でどこが深海なのかを教えてくれる。だからこそ、学習者は安心して航海（学習）に集中できるのです。

この「網羅性」という安心感を土台に、「非常識合格法」という効率性を追求する。これが、クレアールの教材の山を制覇するための基本思想となります。

それでは、具体的な登山計画に入りましょう。この計画は、学習期間を大きく4つのステップに分け、各段階でどの教材を、どのように使うべきかを明確に示します。これはあくまでモデルプランですが、あなたの学習スタイルに合わせてカスタマイズすることで、最強の羅針盤となるはずです。

ステップ1：全体像をつかむ基礎固め期（学習開始～4ヶ月目）

このステップの目標は、完璧な理解ではなく、これから挑む山の全体像、つまり試験範囲の全体像を把握することです。ここではスピードを重視し、細かい点にこだわりすぎないことが成功の鍵となります。

やるべきこと①：『基本講義』を1周する

クレアールの講義は1単元30分程度に区切られているため、集中力を維持しやすいのが特徴です。まずは、この『基本講義』を『マルチパステキスト』を片手に、最後まで視聴しきりましょう。理解度が50%程度でも構いません。とにかく立ち止まらず、ゴールまで走り抜けることで、各科目のつながりや全体の中での位置づけが見えてきます。

やるべきこと②：講義と過去問をすぐにリンクさせる

最も重要なのは、インプット（知識の習得）とアウトプット（問題演習）のサイクルを最短にすることです。例えば、行政手続法に関する30分の講義を視聴したら、すぐに『論点別過去問題集』の該当範囲を開き、問題を解いてください。講義で聴いたばかりの知識が、実際の問題でどう問われるかを確認することで、記憶への定着率が飛躍的に高まります。この段階では、正解することよりも「問われ方」に慣れることが目的です。

ステップ2：知識を定着させる反復学習期（5～7ヶ月目）

ステップ1で描いた全体像に、知識という色彩を加えていく段階です。ここでは「反復」がキーワードになります。一度通った道を何度も往復することで、記憶を確実なものにしていきます。

やるべきこと①：「高速回転学習」を実践する

Vラーニングシステムの倍速再生機能（1.5倍速～2倍速）を活用し、『基本講義』の2周目に入ります。一度視聴しているため、以前よりスムーズに内容が頭に入ってくるはずです。同時に、『論点別過去問題集』も2周目、3周目と繰り返し解き、間違えた問題にはチェックを入れておきましょう。

やるべきこと②：デジタルツールをフル活用する

Web上で過去問演習ができる『CROSS STUDY』を本格的に導入します。通勤時間や昼休みといった「スキマ時間」にスマートフォンで手軽に一問一答を繰り返すことで、学習を日常に溶け込ませることができます。また、ダウンロードした講義のMP3音声を移動中に聴き流すだけでも、記憶を呼び覚ます効果的なリマインダーになります。

やるべきこと③：優先順位を意識する

クレアールの教材には、論点ごとに重要度がA・B・Cなどでランク付けされています。『非常識合格法』に基づき、学習時間の7～8割はA・Bランクの最重要論点に集中させましょう。Cランクの論点は、余力があれば触れる程度で十分です。この取捨選択が、膨大な教材を制覇する上できわめて重要になります。

ステップ3：実践力を磨く応用期（8～10ヶ月目）

知識のインプットから、得点力に直結するアウトプットへと学習の軸足を移すステップです。本番さながらの演習を通じて、時間配分や解答戦略といった実践的なスキルを磨き上げます。

やるべきこと①：答練で実戦感覚を養う

まずは『科目別パーフェクト答練』で、科目ごとの理解度と弱点を正確に把握します。ここで見つかった弱点は、すぐに『マルチパステキスト』や講義に戻って潰しておきましょう。次に、本試験と同一形式の『解きまくり総合答練』に挑戦し、時間配分のシミュレーションを繰り返します。

やるべきこと②：記述式対策を完成させる

配点が高く、合否を分ける記述式問題の対策として、『記述マスター講義』を受講します。この講義は、解答の骨格をどう作るか、どのキーワードを盛り込むべきかといった実践的なテクニックに特化しています。付属の添削指導も必ず利用し、客観的なフィードバックを得て解答の精度を高めましょう。

ステップ4：本番に向けた総仕上げ期（試験直前月）

これまで登ってきた山の頂上が、もう目の前です。この最終ステップでは、新しい知識を追うのではなく、今持っている知識の精度を100%に近づけることに全力を注ぎます。

やるべきこと①：本番シミュレーションを完璧に行う

『公開模擬試験』を、本番とまったく同じ時間、同じ環境で受験します。マークシートの記入ミスや、問題冊子の使い方、見直しの手順まで、本番で起こりうるすべてを想定して臨みましょう。模試の結果に一喜一憂するのではなく、最後の弱点発見と戦略調整の機会として最大限に活用します。

やるべきこと②：知識を一元化し、最終確認する

この時期のメイン教材は『総まとめコンプリーションテキスト』です。試験合格に必要な知識がコンパクトに凝縮されたこのテキストを何度も読み返し、これまで『マルチパステキスト』や『論点別過去問題集』で得た知識を、この一冊に集約していくイメージで学習を進めます。これにより、頭の中に散らばっていた知識が整理され、本番でスムーズに引き出せるようになります。

実例：社会人の1週間学習スケジュール（学習中期モデル）

この戦略が、実際の生活の中でどのように機能するのかを具体的にイメージするために、平日は仕事を持つ社会人学習者のサンプルスケジュールを以下に示します。

時間帯	月曜日	火曜日	水曜日	木曜日	金曜日	土曜日	日曜日
朝（通勤）	MP3音声：行政法	MP3音声：行政法	MP3音声：民法	MP3音声：民法	MP3音声：今週の復習	–	–
昼休み	CROSS STUDY：行政法(15分)	CROSS STUDY：行政法(15分)	CROSS STUDY：民法(15分)	CROSS STUDY：民法(15分)	CROSS STUDY：今週の復習(15分)	–	–
夜（帰宅後）	講義ブロック行政法(1.5h)	過去問ブロック行政法(1.5h)	講義ブロック民法(1.5h)	過去問ブロック民法(1.5h)	予備・調整日	講義ブロック憲法/商法(3h)	過去問ブロック憲法/商法(2h) 計画翌週の計画(0.5h)