第1章|講座選びの第一歩:自分だけの評価基準をつくる
行政書士の通信講座は「パンフレットを取り寄せて、動画を流し見すればOK」というものではありません。
むしろ、それはこれから1年以上学び続ける講座を選ぶための“実地テスト”であり、自分の合否に大きく影響する選抜の場です。
「なんとなく有名だから」「割引中だから」だけで決めてしまうと、「思っていたのと違った…」と後悔しかねません。
まずは、自分にとっての「良い講座とは何か?」という評価の物差し——つまり「学習者としての基準づくり」から始めましょう。
1.1 「自分を知る」から始めよう:学習者プロファイルの作成
資料請求の前に、まずやるべきは“自己分析”です。
これができていないと、どんなに情報を集めても比較の軸がブレてしまいます。
以下のような視点から、自分の「学習スタイル」を明確にしましょう。
- 学習時間の確保
週に何時間勉強できそうですか? どの時間帯・場所で学習できますか?
例:通勤中の往復2時間、子どもが寝た後の夜1時間、土日に3時間など。 - 予算感の設定
講座に出せる上限額はいくらかを決めましょう。
たとえば5万円未満のスタディングから、20万円を超える伊藤塾まで、選択肢は広くあります。
価格は一般的に「人的サポートの充実度」と相関する傾向があります。 - 学習スタイルの傾向
自分に合った学び方はどれですか? - 視覚重視:図解やカラー教材で直感的に理解したい(例:フォーサイト)
- 聴覚重視:熱意ある講義を聞いて記憶に残したい(例:アガルート)
- 体感重視:自分で書き込みながら知識を整理したい(例:伊藤塾)
- どうしても外せない条件
紙のテキストが欲しい、質問サポートは無制限で使いたい、オフラインで再生したい…など、譲れないポイントは何か。
たとえば、クレアールは質問無制限、アガルートは動画・教材のDL対応が強みです。
1.2 「3〜4社」に絞るのが正解:比較しやすい選び方のコツ
いきなり10社以上の資料を取り寄せてしまうと、かえって混乱することも。
有効なのは、「異なる特徴を持つ3〜4社」に絞って比較するという方法です。これは「ポートフォリオ・アプローチ」とも呼べる戦略的な選び方です。
具体的な構成例:
- スマホ学習特化型:スタディング(低価格・スマホ完結・AI機能)
- ビジュアル型教材志向:フォーサイト(中価格帯・フルカラーテキスト)
- 講師重視・プレミアム型:アガルート(高価格・人気講師・サポート充実)
- 伝統校・通学対応型:伊藤塾、LEC、TAC(ブランド力と通学の選択肢)
このように比較軸を明確にしておくと、「自分に合うのはどのタイプか?」がクリアになります。
1.3 無料体験の活かし方:資料請求〜申込までの戦略的プロセス
無料体験や資料請求を、ただの“お試し”で終わらせてはもったいない。
それはすでに「学習の第一フェーズ」として活用すべきです。
次の流れで進めていくと、無駄のない比較が可能になります。
- 自分の学習者プロファイルを明確にする(1.1)
- 比較対象を3〜4社に絞る(1.2)
- すべて同じタイミングで資料請求&無料体験を申込
- こうすることで、受け取った印象や体験を“横並び”で比較できます。
- 第一印象を観察する
- 届くスピードや梱包の丁寧さなどに、企業姿勢がにじみ出ます。
- 講座内容を「評価チェックリスト」で体系的に分析
- 第2章以降で提示する5つの評価軸を用います。
- 情報を整理し、学習者プロファイルと照合して最終判断
この一連の流れに取り組むこと自体が、「なんとなく勉強しようかな」という気持ちを、具体的な学習プロジェクトへと昇華させます。
そしてそれが、合格への第一歩になります。
表1|主要な行政書士通信講座の「無料体験・資料請求」内容比較一覧
予備校名 | 体験形式 | 体験期間 | サンプル講義の内容例 | 教材サンプル提供 | eラーニング体験機能の例 |
---|---|---|---|---|---|
アガルート | Web視聴 | 約20日間 | 入門講義・中上級講義・ガイダンスなど計15時間以上 | 冊子教材の一部送付+デジタル閲覧可能 | 過去問演習システム「TOKERUKUN」が体験可 |
スタディング | Web(会員登録) | 無期限(無料会員登録) | 憲法講義、記述式対策、短期合格セミナー等 | Webテキスト(PDF)+冊子プレゼント | 学習フロー、問題集、進捗管理、AI復習機能等 |
フォーサイト | Web視聴 | 14日間 | 憲法などの基礎講座(サンプル) | フルカラーテキスト(冊子+デジタル) | eラーニング「ManaBun」の主な機能が体験可能 |
クレアール | Web / DVD | 30日間(Web登録) | 憲法などの講義(WebまたはDVD) | 2色刷テキストと問題集(冊子)送付 | 過去問WEBテスト等の一部機能が利用可能 |
伊藤塾 | Web視聴 | 無期限(申込必須) | 民法・行政法などの導入講義(科目別) | PDF教材(抜粋)提供、冊子の送付はなし | 有料講座と同一のWebシステムで受講可能 |
LEC | Web / 校舎 | Webは期限あり/校舎は日程指定 | 憲法・民法などの講義/校舎ではライブ授業体験可能 | WebはPDF等/校舎では教材の貸出あり | お試し用Web受講システムでの体験が可能 |
TAC | Web / 校舎 | Webは期限あり/校舎は日程指定 | 憲法・民法などの初回講義/校舎では生講義(2.5時間) | Web教材+校舎での教材貸出 | 「TAC WEB SCHOOL」での学習環境を体験可能 |
第2章|チェックポイント①:講義の「わかりやすさ」を見極める
通信講座を選ぶ際、最も重要な要素のひとつが「講義のわかりやすさ」です。
しかし「わかりやすい」という感覚は非常に主観的で、人によって感じ方が大きく異なります。
そこで本章では、講義の質を客観的に評価するための視点を3つに分けてご紹介します。
- 「耳」で感じる情報:話し方やテンポなど
- 「内容」の構成と説明のわかりやすさ
- 「目」に映る視覚情報:スライドや板書などの設計
これらを意識しながら体験講義を受けることで、あなた自身にとって最適な講座かどうかを見極めやすくなります。
2.1 耳で検証:聞き取りやすさ・声の印象・テンポ感
長時間の講義を聞き続ける上で、講師の「声」や「話し方」の印象は非常に重要です。以下の点に注目してみましょう。
- 話すスピードとテンポ
自分にとって心地よいスピードで進行していますか?
倍速再生機能がある講座(例:スタディング、アガルートなど)では、自分に合ったテンポに調整できるかもポイントです。 - 声の明瞭さと聞きやすさ
声がくぐもっていないか、音質が悪くないかもチェックしましょう。
明るく力強い声か、穏やかで落ち着いた声か——講師の「声質」が自分にとって集中を妨げないかを意識して聞いてみてください。 - 語り口と熱意
単に淡々と話すだけでなく、情熱や意図が伝わってくるか?
例えば、アガルートの豊村講師は、エンタメ性と専門性を両立した語り口で知られています。 - 口癖や話し方のクセ
「えー」「あのー」などの口癖が気になると、集中力が削がれることもあります。
2.2 内容で検証:構成力・説明力・講師の力量
講義の中身が、論理的に整理されていて理解しやすいかどうかも大切な判断ポイントです。
- 論理的な構成があるか
「導入→本論→まとめ」の流れが明確で、次に何が来るのかがわかる話し方になっているかを確認しましょう。
「まず3点あります」「次に◯◯を説明します」といった進行ガイドがあると理解しやすくなります。 - たとえ話・具体例が活用されているか
法律は抽象的な概念が多いため、講師がどのように噛み砕いて説明してくれるかが重要です。
例:アガルートではペットボトルで契約の仕組みを例示したり、フォーサイトでは「サザエさん」の登場人物を使って親族の範囲を説明するなど、工夫が見られます。 - 講師が本当に“教えて”いるか?
単にテキストを読み上げているだけでなく、背景知識や受験の視点を交えて深く解説してくれているかを見極めましょう。
指導者としての熱量や力量が問われる部分です。
2.3 目で検証:スライド・映像・板書の見やすさと工夫
動画講義では「視覚的な情報」も重要です。特にスマホやタブレットで視聴する場合、画面の見やすさは学習効率に直結します。
- スライドのデザイン
画面内の文字サイズ、配色、図表のレイアウトなどは見やすく工夫されていますか?
例:スタディングはモバイル視聴前提でスライドが設計されており、非常にシンプルで視認性が高いです。 - 講師の映り方
講師の顔が画面に映るタイプの講義では、集中力が高まるか、逆に気が散るかを確認しましょう。
アガルートなどは講師が前面に出る形式で、熱意が伝わりやすい反面、好みが分かれることもあります。 - 板書やマーキングの工夫
スライド上でマーカーを使った強調、図解への書き込みなどが体系的に行われているかどうかもチェックポイントです。
たとえばアガルートでは、原則と例外でマーカーの色分けを徹底するなど、視覚的な理解促進が図られています。
補足:講義スタイルは予備校の「教育哲学」
こうした講義スタイルは、単なる好みではなく、予備校の教育方針そのものを反映しています。
- スタディング:短時間集中のマイクロラーニング方式を採用
- フォーサイト:テンポよく繰り返す反復学習スタイル
- アガルート:網羅的で重厚な講義と、個性豊かな講師による解説が特長
講義のわかりやすさを評価するということは、実はその講座全体の“学習エンジン”を試運転しているということ。
その意味でも、無料体験の中でぜひじっくり講義を見比べてみましょう。
第3章|チェックポイント②:講師との「相性」と「信頼感」を見極めよう
講師は、単なる情報の提供者ではありません。
あなたが数百時間にわたり共に学ぶ「ガイド役」であり、合格までのモチベーションを支える存在でもあります。
どんなにカリキュラムが優れていても、講師と「合わない」と感じてしまえば、学習は苦痛になり、継続も難しくなります。
この章では、講師の“熱量”や“人間性”を見極める視点をご紹介します。
3.1 講師の熱意と誠実さは伝わってくるか?
まず注目すべきは、講師がどれほど本気で受講生に向き合っているかです。
無料体験講義の中に、その人の「熱意」や「真剣さ」がにじみ出ているかを見てみましょう。
- 励ましの言葉やアドリブ的な語り
台本にないような一言、ちょっとした雑談から、講師の人柄や思いが垣間見えることがあります。
受講生への共感や、過去の受講生とのエピソードが語られていれば、より信頼感が生まれます。 - 声のトーン・表情・間の取り方
単なる情報提供ではなく、「あなたに伝えよう」という気持ちが感じられるかどうかは、話し方にも現れます。 - 講師自身が行政書士試験に真摯に向き合ってきた姿勢
自身の受験経験や失敗談、勉強法の工夫などを率直に語ってくれる講師は、信頼に足る存在です。
こうした要素を「感じ取る力」こそ、あなたにとって合う講師を見つける第一歩です。
3.2 100時間一緒に学べるか?直感チェック
行政書士試験の講義時間は、一般的な通信講座でも合計100時間以上に及びます。
つまり、講師の話し方・声・間の取り方にずっと付き合うことになるわけです。
無料体験を視聴したあと、ぜひ以下のように自問してみてください。
「この講師の話を100時間以上聞き続けられるか?」
いくら実績や評判が高くても、あなた自身が「合わない」と感じるのであれば、その講座は避けるべきです。
この判断は、他人のレビューよりも、あなた自身の“直感”が一番信頼できます。
3.3 講師プロファイル比較:人気講師の指導スタイルとは?
各予備校には、それぞれ“看板講師”と呼ばれる人気講師がいます。
以下に、代表的な講師の特徴をまとめましたので、自分に合いそうなスタイルを探してみてください。
✅ アガルート:豊村 慶太 講師
- タイプ:ストーリーテリング型 × 熱血エンタメ型
- 身近なたとえ話やユーモアを交えながら、複雑な法律概念を分かりやすく解説。
- 明るくテンポの良い語りで、楽しく学びたい人に最適。
✅ 伊藤塾:平林 勉 講師
- タイプ:ロジカル × 思考プロセス重視型
- 知識の詰め込みではなく、「なぜそうなるのか?」を論理的に解説するスタイル。
- 法律の本質を理解したい人、開業後も通用する法的思考を身につけたい人向け。
✅ フォーサイト:福澤 繁樹 講師
- タイプ:癒し系 × 丁寧な導入型
- 初学者が安心して学べる、柔らかく丁寧な話し方が魅力。
- 法律に苦手意識のある方におすすめ。
✅ スタディング:竹原 健 講師
- タイプ:効率重視 × モバイル学習最適化型
- 短時間・簡潔に要点をまとめるスタイル。
- スマホ中心にスキマ時間で学びたい人、自律学習が得意な人に合う。
📌 注意点:人気講師が全科目を担当しているわけではありません。
たとえばアガルートでは、豊村講師は主に行政法や民法を担当していますが、他の科目は別の講師が担当することも。
「この講師が良かったから」といって、全体の講義が自分に合うとは限りません。
予備校のYouTubeや公式サイトを活用し、他の科目の講師も事前にチェックすることが、後悔しない講座選びのコツです。
第4章|チェックポイント③:教材の「設計思想」を見抜こう
講義と並んで、学習の中心となるのが「教材(テキスト)」です。
実はこの教材こそ、各予備校の“教育スタイル”や“対象とする受講層”がもっとも色濃く反映される部分です。
「なんとなく読みやすそう」で選ぶのではなく、教材の色使いや構成、媒体の使い勝手などを通じて、その講座があなたに合っているかどうかを見極めていきましょう。
4.1 フルカラー vs. モノクロ:色使いの違いが与える影響
教材の色づかいには大きく2種類あります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、自分の学習スタイルに合うかどうかがポイントです。
✅ フルカラー教材(例:フォーサイト、アガルート など)
- 長所
- 重要なポイントが色分けされていて、どこに注目すべきかが一目でわかる
- 図解やイラストも多く、視覚的に楽しく読み進めやすい
- 初学者でも「とっつきやすい」設計になっている
- 短所
- 色が多すぎて、逆に自分のマーカーが見づらくなる場合も
- 情報量が多く、読むのに集中力が必要なこともある
✅ モノクロ・2色刷教材(例:伊藤塾、クレアール、LECなど)
- 長所
- 自分で書き込みやマーカーを引きながら“自分だけの教材”にできる
- 見た目がスッキリしていて集中しやすい
- より本格的・学術的な印象を与える設計
- 短所
- 初学者には「どこが大事か分かりづらい」可能性がある
- 白黒で情報が単調に見え、やや取っつきにくく感じることも
4.2 紙テキストの使いやすさを見極めるチェックポイント
紙の教材は、目に優しく集中しやすいという大きな利点があります。
以下の視点でチェックしてみてください。
- 余白の広さ
メモを書き込めるスペースが十分にありますか?
フォーサイトなどは、学習効率を意識した余白設計が高評価です。 - 文字のサイズと行間
小さすぎて読みにくくないか? 長時間読んでも目が疲れにくいか? - 紙の質感
裏写りしないか、マーカーやシャーペンに対応する厚みか?
紙の厚さや光沢は、日々の学習ストレスに直結します。 - サイズと携帯性
外出先で読みたい方は、B5サイズが適しているか? 重すぎないか?
学習のスタイルによって、毎日の使い勝手が大きく変わります。特に“書き込み派”の方は、紙質と余白を重視しましょう。
4.3 デジタル教材の使いやすさを評価するポイントとは?
近年では、デジタル教材(Webテキストや電子書籍)のクオリティも講座選びの重要な要素になっています。
以下のポイントをチェックしましょう。
- 検索・マーカー・メモ機能の使いやすさ
テキスト内の語句をすぐに検索できるか?
ハイライトやコメントを簡単に追加できるか? - 画面操作性(UI/UX)
拡大・縮小はスムーズか? スクロールしやすいか?
タブレットやスマホでもストレスなく読める設計か? - デバイス対応状況
パソコン・スマホ・タブレット、どの端末でも快適に使えるか?
アプリ対応しているか? PDFでダウンロード可能か? - 連携機能の有無
問題演習とリンクしており、該当ページへジャンプできる機能があると効率的です。
スタディングではこの点が高く評価されています。
教材のデザインは、「どんな学習者に向けて設計された講座か?」という予備校の意図を如実に物語っています。
- スタディング:デジタル主体。スキマ時間で効率的に学習したい人向け
- フォーサイト・アガルート:紙とデジタルのハイブリッドで、直感的な学習スタイルに対応
- 伊藤塾・LEC:紙中心。自ら書き込むことで理解を深めたい人向け
あなたが「どんな環境で、どんなふうに学びたいか?」を明確にしたうえで、教材のスタイルを選ぶようにしましょう。
第5章|チェックポイント④:eラーニングの使いやすさを徹底比較
今や通信講座において、eラーニングの質は学習効率そのものを左右する重要な要素です。
「教材が紙かデジタルか」だけではなく、動画の視聴環境、問題演習のしやすさ、進捗管理の仕組みまで含めて、学習体験のすべてが“プラットフォームの設計思想”に集約されています。
本章では、eラーニングシステムの良し悪しを見極めるための具体的なチェックポイントを紹介します。
5.1 直感的に使えるか?UI・UXの確認ポイント
まず大前提として、eラーニングの操作画面は使いやすく、ストレスがないことが重要です。
せっかく優れた教材や講義があっても、インターフェースが複雑だとモチベーションが削がれます。
以下の点に注目してみてください。
- 初回ログインのしやすさ
登録〜ログインまでの手順はスムーズか?迷わず始められるか? - ダッシュボードの視認性
今日やるべきことが一目でわかる画面設計になっているか?
例:スタディングは「学習フロー」で学習順序を明確に提示。 - 動作の軽さと安定性
動画や画面切り替えが重くないか?
例:フォーサイトの「ManaBun」は動作が軽く快適との評判あり。 - スマホ・タブレット対応
モバイル端末で使う予定がある人は、スマホ表示時のUI(操作感)も忘れずチェックしましょう。
5.2 基本機能で差がつく:動画・問題演習・進捗管理
eラーニングの基礎的な機能にも、予備校ごとに明確な違いがあります。
下記の視点で、使いやすさや自分との相性を確認しましょう。
✅ 動画プレーヤーの使い勝手
- 速度調整の柔軟性
スタディングやアガルートは0.5〜3.0倍速で細かく調整可能。
一方で、2倍速までしか対応していない講座もあるため要注意。 - 便利機能の有無
10秒巻き戻し・再生位置のブックマーク・講義へのメモなど、講義視聴中に使える機能がどこまであるかをチェック。
✅ 問題演習のインターフェース
- 選択肢の扱いやすさ
クリックで回答できるか、UIが直感的か?
「不正解選択肢に打ち消し線を入れる」といった視認性の工夫も評価ポイント。 - 解説の見やすさと質
解答後、すぐに解説が確認できる設計か?テキストと連携しているか?
✅ 学習進捗管理機能
- 進んだ範囲と次の課題が明確か?
「やった/やってない」が視覚的に表示されるかは継続学習のモチベーションに直結します。 - 復習の指示や学習リズムの提示
学習管理が手動か、ある程度ナビゲートされるかも重要です(例:スタディングはAIで復習提案あり)。
5.3 差別化ポイント:AI・ライブ講義・スマホアプリの実力
基本機能だけではなく、講座ごとの“独自機能”にも注目することで、より自分に合った環境を見つけることができます。
✅ AIによる復習サポート(スタディング)
- 学習履歴や忘却曲線に基づいて、復習すべき内容をAIが自動提案。
- 自分で計画を立てなくても復習のタイミングが可視化され、時短と定着を両立。
✅ ライブ講義・双方向性の有無(フォーサイト・アガルート)
- フォーサイトの「eライブスタディ」はリアルタイム配信に参加でき、他の受講生とのチャット交流も可能。
- アガルートもホームルームやフォロー面談など、講師との距離が近いサポートを展開。
✅ 専用アプリの有無とDL対応
- アガルートやフォーサイトの専用アプリでは、講義や教材のダウンロードに対応。
- 通信量を抑えたい人、通勤中に学習したい人には必須機能。
eラーニングの設計は、単なる機能の足し算ではなく、講座の「教育メソッド」を体現するものです。
- スタディングは、スマホ中心での“自動化された学習”を前提とした合理的な設計。
- フォーサイトは、機能を統合した“学習エコシステム”としての完成度が強み。
- アガルートは、機能を分けた“カスタマイズ性”の高いシステムで、使い方の自由度が高い。
あなたがどのように学びたいかによって、最適なeラーニングの形は変わってきます。
無料体験期間中に、各社のシステムをじっくり触ってみることを強くおすすめします。
表2|主要通信講座のeラーニング機能を徹底比較
機能項目 | スタディング | フォーサイト | アガルート | クレアール | 伊藤塾 | TAC |
---|---|---|---|---|---|---|
動画の倍速再生 | 0.5~3.0倍(9段階) | 最大2.0倍(4段階) | 0.5~3.0倍(9段階) | 1.5倍などに対応 | 通常再生+倍速対応あり | 倍速再生あり |
オフライン再生 | 音声・動画のDL可 | 音声・動画DL可 | アプリでDL可 | 音声DLのみ可 | ストリーミングのみ(DL不可) | Web講座はDL対応(制限あり) |
AI学習サポート機能 | ○(AIによる復習提案あり) | × | × | × | × | × |
ライブ講義(配信) | × | ○(eライブスタディ) | ○(ホームルーム等あり) | × | × | ○(オンラインHRなど) |
デジタルテキスト | ○(マーカー・メモ機能付き) | ○(DL・印刷可) | ○(デジタルブック形式) | ○(PDF形式で配布) | ○(PDF形式で配布) | ○(Webトレーニング教材) |
スマホで問題演習 | ○(スマート問題集、記述演習等) | ○(確認テスト・一問一答あり) | ○(TOKERUKUNで演習可能) | ○(過去問WEBテストあり) | × | ○(Webトレーニング機能) |
進捗管理機能 | ○(学習フロー・進捗レポート) | ○(学習スケジュール管理) | ○(進捗率・学習記録表示) | ○(セルフチェックシート) | × | ○(進捗確認機能あり) |
他の受講生のQ&A閲覧 | ○(Q&A掲示板機能あり) | × | × | × | ○(よくある質問形式) | ○(Q&AまたはFAQ掲載) |
第6章|チェックポイント⑤:講座運営の「本気度」と「サポート体制」を見極める
通信講座を選ぶ際、講義内容や教材だけでなく「講座運営の姿勢」や「受講後のサポート体制」も非常に重要な要素です。
学習を長期間継続するには、企業の信頼性と対応力が大きな支えになります。
この章では、資料請求や問い合わせの段階からでも確認できる“講座運営の本気度”を測るポイントを紹介します。
6.1 資料請求でわかる企業姿勢:スピード・梱包・印象
まず確認したいのが、資料請求をした際の「第一印象」です。
ここには、企業の業務体制や顧客への姿勢が如実に表れます。
- 資料到着までのスピード
早ければ早いほど、内部オペレーションが整っている証拠です。
たとえばアガルートは申込から4日で資料が届いたという例もあります。 - 梱包の丁寧さとデザイン
梱包が雑だったり安っぽかったりすると、受講後の対応にも不安が残ります。
逆に、パンフレットのレイアウトや同封物がしっかりしていると、講座へのこだわりやブランディング意識が感じられます。
資料請求は「受講前の接点」であり、企業の“本気度”が最も現れやすい瞬間です。
6.2 申込前に試す:問い合わせメールの質と対応
実際に受講を決める前に、「講座に関する質問」をメールで問い合わせてみましょう。
FAQでは得られないリアルな情報が得られるだけでなく、対応の質を確認することができます。
以下のような点に注目しましょう。
- 返信の早さ
質問を送ってから何時間、何日で返ってきましたか?
クレアールは返信が遅いという口コミもあり、事前確認は重要です。 - 回答内容の丁寧さと誠実さ
テンプレート的な定型文で返ってくるだけなのか、質問の意図を理解して真摯に対応してくれるか。
たとえば伊藤塾は電話・メール対応の質が高いと評価されています。
返信のスピードと誠実さは、有料サポートにも通じる大切な指標です。
6.3 無料体験中のサポート制度を実際に試してみよう
多くの講座では、無料体験の範囲内でも限定的なサポート制度を体験できます。
講義だけでなく、質問対応や相談機能などをぜひ積極的に試してみてください。
- 無料の受講相談があるか?
例:アガルートではオンラインで受講相談が可能。スタッフの専門性や対応の丁寧さを確認できる貴重な機会です。 - 質問制度が無料体験中にも利用できるか?
どこまで質問できるのか、回答は誰がするのか(講師なのかスタッフなのか)をチェックしましょう。 - 資料請求に隠れた特典がないか?
例:フォーサイトでは、資料請求するだけで「1万円割引クーポン」が付属することも。
こうした特典の有無も講座の営業姿勢を見極めるヒントになります。
📌【要注意】「質問無制限」と書いてあっても、実態は講座によって大きく異なります。
- クレアールや伊藤塾は“無制限”をうたう講座ですが、
クレアールは返信までに日数がかかるという報告もあり、実質的に制限されている可能性があります。 - 一方で伊藤塾は回答の質が高く、講師自身が対応する体制を整えており、価格が高い理由の一つとも言えます。
無料体験期間は、講座そのものだけでなく、受講後に安心して学べる環境が整っているかを見極めるチャンスです。
サポート体制や企業姿勢も“比較対象の一部”として、しっかりチェックしておきましょう。
第7章|まとめ:あなたに合った講座を見極める最終チェックポイント
これまでの章で、講義の質・教材・eラーニング・講師・サポートなど、通信講座選びに必要な比較視点を具体的に見てきました。
いよいよ、集めた情報をもとに最終判断を下す段階です。
この章では、どのように比較情報を整理し、自分にフィットした講座を選ぶか。そのための実践的なフレームをご紹介します。
7.1 スコアカードで「見える化」する:自分なりの比較基準を持つ
複数の講座を比較する際、頭の中だけで整理するのは限界があります。
そこで有効なのが、比較項目を表にまとめてスコア化する方法です。
🔎 比較スコアカードの作成例
比較項目 | スタディング | フォーサイト | アガルート | 伊藤塾 |
---|---|---|---|---|
講義のわかりやすさ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
教材の使いやすさ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
eラーニング機能 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
講師との相性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ |
サポート体制 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | ★★★★★ |
総合評価(仮) | 18点 | 21点 | 22点 | 20点 |
※ 評価はあくまで個人の印象・体験に基づくもの。★は5点満点想定。
このように、自分なりの「評価軸」と「体験に基づく印象」を整理すると、感覚的な判断にブレがなくなります。
7.2 タイプ別マッチング:あなたに合う講座はこれだ!
以下に、代表的な受講タイプ別に、おすすめ講座の傾向をまとめました。
自分の学習スタイルと照らし合わせて参考にしてください。
✅ 忙しい社会人/スキマ時間活用型
- おすすめ:スタディング
- 理由:モバイル最適化・短時間講義・AI復習機能により“自動化された学習”が可能
- 注意点:人的サポートはやや限定的なので、自律型学習者向け
✅ 初学者/導入のやさしさ重視
- おすすめ:フォーサイト
- 理由:フルカラー教材+丁寧な解説+安定したeラーニング環境
- 注意点:カリキュラムは「合格点主義」なので応用力を求める方は注意
✅ 講師重視/深い理解と丁寧なサポートを求める人
- おすすめ:アガルート
- 理由:講師の個性と網羅性のある講義、無料面談・添削制度などの手厚い支援
- 注意点:価格は高めだが、投資価値を感じられる人に適している
✅ 書き込み派/自分だけのノートを作りたい人
- おすすめ:伊藤塾
- 理由:モノクロ教材+体系的な指導スタイルで、書き込みに向いた教材設計
- 注意点:堅実で地味な印象もあるため、テンポ重視の人には不向きな場合も
7.3 最後に決めるのは「あなた自身の感覚」
どれだけ情報を比較しても、最後の決め手になるのは「あなたの肌感覚」です。
- 講師の声や話し方に安心感がある
- 教材を開いた瞬間に「これなら続けられそう」と思えた
- システムに触れてみて「このUI、なんか気持ちいい」と感じた
そうした“フィーリング”こそが、数ヶ月〜1年以上にわたって学び続ける中で、
最も強力な「継続力の源」になります。
📌 無料体験とは、講座を選ぶための「模試」のようなもの。
あなた自身が試験官となって、講座を公平に評価する。
そのプロセスを経て、「これならやれそうだ」「この講座と一緒に戦いたい」と思える一社に出会えたなら、もう迷う必要はありません。
あなたの直感と判断力を信じて、最適なスタートを切ってください。

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