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序章|なぜ今「一発合格」を目指す人に講座比較が必要なのか?

行政書士試験は、毎年約5万人が受験する人気国家資格でありながら、その合格率は10〜15%前後にとどまる「狭き門」です。特に初めて受験する方にとっては、「いかに一発で合格するか」が最大の関心ごとではないでしょうか。

本レポートでは、その「一発合格」を現実のものとするために、各通信講座の合格実績受講生サポート体制という2つの重要な軸から、客観的な比較分析を行います。

各講座が公表している合格率や受講サポート内容については、できる限り一次情報(公式サイトなど)に基づいて情報を整理・検証し、出典URLも明記しています。誇張や推測ではなく、事実ベースの情報を元にした構成になっている点が、本レポートの特徴です。

また、近年の講座市場には「価格が安いがサポートが薄い講座」から「高額だが伴走型の講座」まで、実に多様な選択肢が存在します。受験生の予算や学習スタイル、そして「どこまで他者の支援を必要とするか」によって、選ぶべき講座は大きく変わります。

このレポートを通して、あなたが“どの講座なら、自分に最適なのか”を見極めるための確かな判断材料をご提供できれば幸いです。

第1章|全国平均合格率を基準に見る“講座の実力”とは?

行政書士試験を比較・分析するにあたり、まず押さえておきたいのが「全国平均合格率」です。各通信講座が発表している合格率が実際に“どの程度すごいのか”を判断するためには、全国のデータを基準にすることが欠かせません。

最新の統計によると、令和6年度(2024年)の行政書士試験では、受験者数47,785名に対して、合格者数は6,165名全国平均合格率は12.90%でした(出典:一般財団法人 行政書士試験研究センター)。

この数値が示す通り、行政書士試験は「約10人に1人しか合格できない」という難関国家資格です。しかも、受験者の多くは社会人や法律初学者であり、限られた時間の中での合格を目指す必要があります。

こうした状況を踏まえると、各講座が公表している合格率がこの全国平均と比較してどれほど高いのかが、その講座の教育効果を測る重要な視点になります。

たとえば、合格率40%以上を掲げる講座がある一方で、合格率を公表せず合格者数や口コミで信頼を得ている講座もあります。これらの数値の“見え方”を正しく読み解くには、母数や集計条件の違いを理解することが欠かせません。

本レポートでは、全国平均12.90%を「中立的な基準」として、各講座の合格実績を客観的に比較していきます。

第2章|価格とサポートで分かれる通信講座の“2大タイプ”

行政書士の通信講座は、受講料やサービス内容の違いによって、大きく2つのタイプに分かれています。

【1】サポート重視型:価格は高めだが“手厚い伴走”が魅力

まず一つ目は、価格帯が15万円〜30万円程度の講座です。このタイプの特徴は、講師による個別カウンセリングや質問対応、添削指導など、人的サポートが非常に充実している点にあります。

代表的な講座には、アガルートアカデミー、伊藤塾、LEC、TACなどがあり、どれも実績ある大手予備校です。これらの講座は「合格まで寄り添うサポート」が強みで、学習のペース管理やモチベーション維持に不安がある方に特に向いています。

一発合格を目指す初学者にとっては、多少費用がかかっても、プロに相談できる環境が大きな安心材料になるでしょう。

【2】コスパ重視型:価格を抑えた“効率特化型”講座

もう一つは、価格帯が3万円〜10万円程度の講座です。こちらはAI学習支援やスマートフォン学習に対応するなど、テクノロジーを活用して低コスト化を図っているのが特徴です。

代表例はスタディングなどで、人的サポートは限定的または有料オプションですが、自分のペースで学びたい人や、できるだけ費用を抑えたい人には非常に相性が良いモデルです。

質問制度がチケット制だったり、添削がAI対応だったりと、運営側のリソースを抑えることでリーズナブルな価格が実現されています。

このように、行政書士の通信講座は「費用に見合うサポート」をどの程度求めるかによって選ぶべき方向性が大きく変わります。講座の価格だけで判断するのではなく、

  • 学習スタイル
  • 自主性の有無
  • モチベーションの維持方法

といった自分自身の特性を踏まえて講座を選ぶことが、合格への最短ルートとなります。

次章では、各講座の具体的な合格実績とサポート内容を比較しながら、あなたに合った一講座を見つけるためのヒントを深掘りしていきます。

3.1 アガルートアカデミー|合格実績の高さと徹底サポートで支持される実力派

アガルートアカデミーは、行政書士試験対策において高い合格実績手厚いサポート体制を両立している、今注目の通信講座です。

◆ 合格率の高さが際立つ

アガルートが公表した令和6年度(2024年試験)の合格率は、46.82%。これは、全国平均の12.90%の約3.6倍という高水準です。

ただし、この合格率は「有料講座の受講生のうち、アンケートに回答した方」が母数となっている点に注意が必要です。無料講座の受講者や資料請求者は含まれておらず、いわゆる自己選択バイアスがかかる可能性もあります。

したがって、この数字はアガルートの教育力の高さを示すものであると同時に、マーケティング的に設計された数値であるという理解も必要です。

▶ 合格者数:令和6年度実績で300名
▶ 公式サイト: 合格者の声

◆ 講師による直接指導で“疑問を残さない”学習環境

アガルートは、高価格帯の講座に位置づけられますが、その分人的サポートの質が非常に高いのが特長です。

  • 質問対応: 専用システム「KIKERUKUN」やFacebookグループで質問が可能
    → カリキュラムにより質問回数が異なり、「フル講座」は最大100回、「ライト講座」は50回まで。
  • 回答者: 現役講師または有資格者が直接回答するため、質の高いフィードバックが得られます。
  • カウンセリング: 月1回のYouTubeライブ「AWESOMEコンサルティング」や、Zoom個別カウンセリング(オプション)も提供。
  • 記述対策: 記述式問題に特化した「80問攻略講座」などを含む添削制度あり(講座により異なる)。

◆ 合格特典制度:合格すれば全額返金も!

アガルートには他校にはないユニークな合格特典制度があり、合格した場合に以下のいずれかが選べます:

  • 受講料の全額返金
  • お祝い金5万円

ただし、全額返金には次のような条件があります:

  • 指定カリキュラムの受講
  • 合格通知書の提出
  • 合格体験記の提出
  • 顔出し・実名でのZoomインタビュー出演への同意

プライバシーに抵抗がある方には、お祝い金のみ(顔出し不要)の選択肢も用意されています。

▶ 合格特典制度ページ:こちら

◆ 受講料と割引制度

一発合格を目指す方向けの基本コース「入門総合カリキュラム/フル(豊村クラス)」は、

  • 通常価格:327,800円(税込)
  • 割引適用時:295,020円(税込)

その他、乗り換え割引・再受講割引なども用意されています。

▶ 料金詳細:講座案内ページ

◆ 教材と学習システム

  • フルカラーテキスト: 初学者の理解を助ける視覚設計
  • 講義動画: 1本10〜25分と短時間設計でスキマ学習に最適
  • デジタル対応: 音声ダウンロード・Webテキストで柔軟な学習が可能
  • 出題カバー率: 公式では95.7%とされ、試験範囲の網羅性にも強みあり

アガルートは、費用こそ高めですが、その分サポート体制・教材の質・実績が充実しており、“確実に合格したい初学者”や“他人とつながりながら学びたい方”にとっては非常に心強い選択肢といえます。

3.2 フォーサイト|全額返金保証とeラーニングで“安心と効率”を両立

フォーサイトは、オンライン学習に特化した行政書士通信講座の先駆け的存在であり、リーズナブルな価格万が一のときの返金保証制度が特徴です。

◆ 高い合格率の“条件付き実績”に注目

フォーサイトが公表する令和5年度(2023年試験)の合格率は45.45%。これは同年度の全国平均(13.98%)の約3.25倍にあたります。

ただし、この合格率は、複数あるコースの中でも最も教材とサポートが充実した「バリューセット3」の受講生のみを対象に算出されたものです。他コース(バリューセット1・2)については合格率が公表されていないため、講座全体の合格率を示すものではないことに留意が必要です。

▶ 合格者数(参考情報):令和5年度で248名(非公式情報)

◆ サポート体制はeラーニング中心のシステム型

フォーサイトでは、特許取得済の学習管理システム「ManaBun」を軸に、効率的な自宅学習を支援しています。

  • 質問対応: ManaBun上での質問フォームから送信。
    → 「バリューセット3」は15回まで無料で質問可能(超過分はチケット購入が必要)。
  • 回答者: 専任講師または合格者スタッフが対応。
  • 個別カウンセリング: 学習の進め方などの相談が可能(オンライン対応)。
  • 添削指導: 記述対策講座はあるものの、明確な添削回数の記載はなし。

◆ 万が一の不合格でも安心「全額返金保証制度」

フォーサイトでは、指定された条件をすべて満たしたうえで不合格となった場合に、受講料が全額返金される制度を設けています(※対象は「バリューセット3」)。

ただし、適用条件は非常に厳格です:

  • 全ての確認テストで100%正答を達成
  • 模擬試験で全受験者中の上位28%以内
  • 本試験では合格点の85%以上(例:300点満点中153点以上)を取得
  • 一般知識等の足切りもクリア(24点以上)
  • 合格発表後に教材一式を返送(送料は自己負担)

この制度は、「本気で学習を継続した人だけが対象」という構造になっており、金銭的な不安の軽減と高い学習エンゲージメントの維持を同時に狙った設計と言えます。

▶ 返金保証制度の詳細:公式ページ

◆ 受講料と給付制度の活用

フォーサイトの一発合格を目指す主力コースは「バリューセット3」です。

  • 通常価格:94,800円(税込)
  • DVD付きプラン:99,800円(税込)

さらに、資料請求者には割引クーポンが提供されることがあり、教育訓練給付制度の対象講座にもなっています(条件を満たせば受講料の20%が支給)。

▶ 料金一覧:公式ページ

◆ 教材と学習スタイル

  • 合格点主義: 満点ではなく合格点(6割)を狙う戦略
  • フルカラーテキスト: 図やイラストを多用した視覚的教材
  • ManaBunに集約: 講義動画・確認テスト・進捗管理がスマホ1台で完結

フォーサイトは、「低価格で効率よく学びたい」「eラーニング中心で自分のペースで進めたい」「返金保証で心理的負担を軽くしたい」と考えている受験生にとって、非常にバランスの良い選択肢となる通信講座です。

3.3 スタディング|スマホで完結するコスパ特化型の学習スタイル

スタディングは、行政書士講座の中でもスマートフォン完結型の学習スタイルを徹底した、コストパフォーマンス重視の通信講座です。従来の予備校型学習とは一線を画し、忙しい社会人やスキマ時間を活用したい方に広く選ばれています。

◆ 合格率は非公表、ただし実績は年々上昇中

スタディングでは、他社のように具体的な合格率を公表していません。その理由として、「母数が不確定であるため、正確な合格率の算出が難しい」と説明されています。受講のハードルが低く、本試験まで到達しないユーザーも多いためです。

とはいえ、合格者数そのものは着実に増加しています。

  • 令和5年度(2023年試験)合格者数:216名以上
  • 令和4年度(2022年試験)合格者数:160名

▶ 合格者の声一覧:スタディング公式サイト

このスタンスは、「根拠が不明確な高い合格率を掲げるよりも誠実」という受け止め方をされることもあり、スタディングの透明性ある姿勢の一つと言えるでしょう。

◆ 必要最低限に絞ったサポートとAIの活用

スタディングは、自律的な学習者向けの設計です。人的サポートは基本的にオプション扱いで、標準プランに含まれているのは次のようなシステムベースの支援です。

  • 質問対応: 有料の「Q&Aチケット」制度
    → 1枚2,000円/5枚7,500円/10枚13,000円。最上位の「コンプリートコース」には30枚付属。
  • 添削指導: 講師による添削はなし。ただし、AIによる記述式問題の自動評価が可能(コンプリートコースに130枚分のチケット付属)。
  • 個別カウンセリング: 原則なし。学習計画や進捗管理はアプリ内で完結。

このように、スタディングは講師に頼らず、自分で計画を立て、進められる方向けの講座設計となっています。

◆ 合格お祝い金制度あり(返金保証はなし)

スタディングには、アガルートやフォーサイトのような合格・不合格に応じた返金保証制度はありません。

ただし、合格後に所定のアンケートや体験記を提出することで、10,000円の合格お祝い金が進呈される制度があります。

◆ 価格と割引情報

スタディングの最大の特徴のひとつが「価格の安さ」です。

  • 行政書士合格コース コンプリート(冊子テキスト付き):69,400円(税込)
  • ペーパーレス版(Webテキストのみ):59,400円(税込)

さらに、キャンペーン期間中はこれらが1〜2万円引きになることもあり、予算を抑えて始めたい方には非常に魅力的な価格設定です。

▶ 最新価格一覧:公式サイト

◆ 教材と学習システムの特徴

  • スマホ一台で完結: 講義視聴・問題演習・進捗管理がアプリ上で完結
  • 講義動画: 約30分/本の短時間構成。通勤・家事の合間にも学習可能
  • WEBテキストが標準装備: 紙のテキストは有料オプション
  • AI復習機能: 忘却曲線に基づいた復習問題の自動出題
  • 学習レポート・勉強仲間機能: 日々の学習時間を可視化&他ユーザーと交流可能

スタディングは、「費用を抑えたい」「自分のペースで学びたい」「スマホ中心でスキマ時間を最大活用したい」と考える方にとって、非常に効率的かつ合理的な選択肢となります。一方で、講師からの継続的な指導やメンタル面の支援が必要な方にとっては、他講座の方が適しているかもしれません。

3.4 伊藤塾|法学系資格の王道、確かなブランドと実績

伊藤塾は、司法試験・公務員試験など法律系の難関資格で圧倒的な実績を誇る老舗予備校です。その信頼性とブランド力は行政書士試験でも健在で、「しっかりと基礎から法的思考力を養いたい」という受験生から高い支持を得ています。

◆ 合格者数を重視した実績スタイル

伊藤塾は、他社のように「合格率」を公表せず、合格者数(報告ベース)を実績指標としています。

  • 2024年度の合格者報告数:368名

この数値は、伊藤塾の有料講座を受講し、自己申告で合格を報告した受講生のみをカウントしており、未報告者を含めると実際の合格者はさらに多いと考えられます。

この「数値よりもブランド力と指導実績で勝負する」スタンスが、伊藤塾ならではの特徴です。

▶ 合格者の声:公式サイト

◆ 対面指導を重視した手厚いサポート

伊藤塾は「人」を介したサポートに強みを持っています。

  • 質問対応: 受講生専用サイトからのメール質問、Zoomでのオンライン質問会、校舎での直接質問(スクーリング)など複数の方法を用意。
  • 個別カウンセリング: 専任スタッフや講師によるZoom/電話カウンセリングが可能。学習計画や勉強法、精神面の相談まで幅広くサポート。
  • 添削指導: 答練や模試で記述式問題の添削が標準的に行われる。

このように、通信教育であっても対面講座に近いサポートを受けられる点が、他校との大きな違いです。

◆ 料金と割引制度

伊藤塾の一発合格向け標準コースは「行政書士 合格講座 フレキシブルワンコース」です。

  • 通常価格:255,000円(税込)
  • 割引価格:178,500円(税込)(キャンペーン時)

さらに、初回受講時に入塾料10,000円が別途必要となる場合があります。

▶ 料金情報:詳細ページ

◆ 教材と学習スタイル

  • オリジナルテキスト: 長年の法律資格指導ノウハウを集約した高品質なテキスト。正確性と網羅性が強み。
  • 紙テキスト中心: 図解よりも文章主体の硬派な構成で、深い法的理解を重視。
  • 学習形態: 通信講座に加え、校舎でのライブ授業やオンラインライブ配信も選択可能。

伊藤塾は、「確実な法的基礎力をつけたい」「ブランド力のある指導を受けたい」という受験生に適した講座です。価格は高めですが、対面型予備校に近い濃密な指導とサポートを通信教育でも受けられる点が最大の魅力といえるでしょう。

3.5 LEC東京リーガルマインド|通学も通信も活用できる柔軟な学習スタイル

LEC(東京リーガルマインド)は、長年にわたり国家資格試験対策を手がけてきた大手予備校です。行政書士講座においても、通学と通信の両方を選べるハイブリッド型のサポート体制が魅力で、特に「学習スタイルに柔軟性がほしい」方にとって心強い選択肢となります。

◆ 合格実績は“合格者数ベース”で安定

LECは伊藤塾と同様に、具体的な「合格率」を積極的には公表していません。一部の広告で特定コースの合格率が紹介されることはあるものの、講座全体としての合格率は非公開です。

その代わり、有料コース受講生の合格者数を明確に提示しています。

  • 2024年度 合格者数:268名

長年にわたって安定した合格実績を出しており、実力派講師陣と講座内容の信頼性が高く評価されています。

▶ 合格実績出典:参考ページ

◆ 質問・添削・カウンセリングを網羅した総合サポート

LECの特長は、オンラインと校舎サポートの融合にあります。

  • 質問対応: 「教えてチューター」システムでオンライン質問が可能(回数無制限)
    → 通学クラスでは講義終了後に直接質問も可
  • 添削指導: 答練や全国模試で記述式問題の添削あり
  • 個別相談・カウンセリング: 全国のLEC本校で、講師や専門スタッフによる学習相談を随時受付(オンライン対応も可)
  • 自習室完備: 全国のLEC校舎で受講生専用自習室を利用可能(予約制)
  • 欠席フォロー: 通学講義の内容はWebや音声で後日視聴が可能(標準付帯)

このように、学習場所・学習方法・サポート手段すべてにおいて柔軟性があり、社会人受験生にとって非常に実用的な講座設計となっています。

◆ 合格特典制度あり(返金保証はなし)

LECでは、不合格時の返金保証制度はありませんが、一部コースにおいて合格祝い金(例:3万円)が支給されるキャンペーンを実施しています。

▶ 合格特典の参考:S式合格講座など

◆ 受講料と割引制度

LECの主力講座は「パーフェクトコース」です。

  • 通常価格:245,000円(税込/Web通信)
  • 上位版(法律入門講座付き):265,000円(税込)
  • キャンペーン割引適用例:185,000円(税込)など、最大6〜7万円の割引あり

▶ 最新価格情報:キャンペーンページ

◆ 教材・カリキュラム

  • オリジナルテキスト: 40年以上の指導実績を活かした内容。図表も多く視覚的理解をサポート
  • 教材一式が受講料に含まれる: 合格六法・復習ドリルなど
  • カリキュラム: インプットと答練を交互に行う構成で、理解と定着をバランスよく強化

LECは、「通学で質問したいけれど、通信の柔軟さも捨てがたい」「自習室など学習環境も整っていてほしい」という方にとって、非常にバランスの取れた講座です。豊富な実績と老舗ならではの総合力で、幅広い受験生層から支持を集めています。

3.6 TAC|徹底した演習主義と高い合格率で支持される本格派

TACは、「資格の学校」として知られる大手予備校で、行政書士講座においても演習を重視した本格派カリキュラムが特長です。合格率の高さに加え、通学と通信の両スタイルを提供しており、幅広い学習者層に対応しています。

◆ 高水準の合格率を公開

TACは、令和6年度(2024年)の行政書士試験において、66.2%という非常に高い合格率を公表しています。

この数字は、単に受講生全体を対象としたものではなく、以下の条件を満たした受講生に限定したものです:

  • 「本科生カリキュラム修了者」であること
  • 答案提出率60%以上
  • 模試平均正答率60%以上

つまり、真面目にカリキュラムをこなした受講生の合格率であり、講座の質と実践力の高さを示す信頼できる指標です。

▶ 合格率出典:公式ページ

◆ 演習中心のサポート体制

TACは、インプット講義と演習(答練・模試)を繰り返すことで知識を定着させる演習重視のスタイルを採用しています。

  • 質問対応: オンラインライブ通信では講義中にリアルタイム質問が可能。メール質問制度もあり。
    → プレミアム本科生で80回、通常本科生で50回まで質問可
  • 個別相談: 全国のTAC校舎で、受講相談・学習カウンセリングが受けられる(対面・電話・Web対応)
  • 添削指導: 全国模試や記述式答案の添削指導があり、成績表とともにWeb上で返却
  • 自習室利用: 全国のTAC校舎にある自習室が利用可能

このように、通信講座であっても予備校のような学習環境を提供しているのが強みです。

◆ 受講料と各種割引制度

TACの主力コースは「プレミアム本科生」です。

  • 通常価格:264,000円(税込)
  • キャンペーン割引価格:187,000円(税込)(時期によって異なる)

さらに、以下のような割引制度もあります:

  • 再受講割引
  • 他校からの乗り換え割引
  • 一般教育訓練給付制度の対象(条件を満たせば20%支給)

▶ 割引情報:PR TIMES リリース

◆ 教材と学習スタイルの特長

  • オリジナルテキスト: 37年以上の受験指導ノウハウを凝縮し、法改正・試験傾向を毎年反映
  • カリキュラム: 入門講義(基礎マスター)→基本講義→答練→模試と段階的に実力を養成
  • 多様な受講形態:
  • 教室講義
  • ビデオブース講義
  • Web通信講座
  • DVD講座
  • オンラインライブ通信講座

受講スタイルの選択肢が豊富で、自分のライフスタイルに合った学習が可能です。

TACは、“とにかく実践量をこなしたい”という受験生や、演習と添削を通じて確実に得点力を高めたい方にとって最適な選択肢です。特に、自習室や対面相談など、予備校らしいサポートが必要な方に向いています。

3.7 クレアール|“質問し放題”と再受講制度で安心の学習環境を実現

クレアールは、「非常識合格法」という独自の学習戦略を掲げ、効率性を重視した通信特化型の行政書士講座を展開しています。価格を抑えつつも、質問回数無制限再受講制度(セーフティコース)といった安心のサポート体制が評価されており、特に再チャレンジ組に根強い人気があります。

◆ 合格実績の公表と注意点

クレアールは、2023年度の行政書士試験において以下の合格実績を公表しています:

  • 合格者数:非公表
  • 合格率:非公表
  • 合格体験記:あり(2024年7月時点で複数掲載)

ただし、具体的な合格者数や合格率の開示は行っていないため、他校と比較する際は注意が必要です。

▶ 合格体験記掲載ページ:クレアール公式

◆ 質問無制限+再受講可能なセーフティコース

クレアール最大の特長は、質問無制限制度と、追加費用不要で翌年も再受講可能なセーフティコースの存在です。

  • 質問サポート:
  • 受講期間中は回数制限なしで質問可能
  • 具体的な回答内容も丁寧との評判あり
  • セーフティコース:
  • たとえ初年度で不合格になっても、次年度も同内容の講座を無料で再受講可能
  • 特に長期戦を想定している社会人や子育て中の受験生に好評

この2つの制度は、途中で挫折してしまった過去がある方や、じっくり着実に合格を目指したい方にとって、大きな安心材料となります。

◆ 費用とキャンペーン情報

  • 行政書士合格コース:69,800円(税込)〜
  • セーフティコースも同価格帯で提供されることが多い
  • 教育訓練給付制度の対象講座あり
  • 早期割引キャンペーンの実施もあり(例:1万円以上の割引)

▶ 価格やキャンペーン詳細は都度公式ページで確認:クレアール公式ページ

◆ 講座構成と教材の特徴

  • 非常識合格法:
  • 過去問分析に基づき「出るところ」に絞って学習
  • 試験範囲全体を満遍なく学ぶのではなく、重点分野を効率よく攻略
  • 講義:
  • オンライン動画(音声DL・倍速対応)
  • 図解やイラスト多めのテキスト構成で初学者にもわかりやすい
  • 記述対策・模試:
  • 記述添削サービスあり
  • 添削は郵送・Web返却に対応

クレアールは、「まず1年やってみよう、それでもダメなら来年も続けられる」という“継続前提型”の設計思想が光る講座です。学習計画に不安がある方や、過去に一度不合格だった方にとって、もっとも“受けやすく、続けやすい”選択肢といえるでしょう。

3.8 資格スクエア|IT技術と人気講師で実現する“逆算型”学習法

資格スクエアは、最先端のIT学習システムと、司法試験・予備試験で名を馳せた人気講師・加藤喬氏による効率重視の逆算型カリキュラムが特徴のオンライン特化型講座です。行政書士講座は、同社の強みを活かして短期合格を狙うための設計がなされています。

◆ 合格実績の現状と注意点

  • 資格スクエアの行政書士講座は比較的新しい講座であり、詳細な合格者数や合格率の公表は行われていません
  • 司法試験や予備試験など、他資格での合格実績・受講者の声が中心となっており、行政書士講座単体でのエビデンスはまだ限定的です。

▶ 加藤喬講師による解説動画や合格者インタビュー等は随時公開:資格スクエア公式サイト

◆ “逆算型”のカリキュラムとIT演習システム

資格スクエアでは、次のような特長的な学習アプローチが提供されています。

  • 逆算思考カリキュラム:
  • 試験日から逆算してスケジューリングされた講義構成
  • 最短ルートで得点力を高める戦略型の学習
  • IT演習システム(AI演習機能):
  • 学習履歴に基づく“記憶定着”と“苦手分析”のサポート
  • 問題演習の進捗や理解度をAIが解析・フィードバック
  • 講義動画:
  • 倍速再生・音声ダウンロードに対応
  • 加藤講師の明快でテンポの良い講義が高評価

◆ サポート体制とコストパフォーマンス

  • 質問サポート:
  • 回数制限なし(一定の対応期間内にメール回答)
  • 講師直通ではなく、サポート担当による一次対応が基本
  • 受講費用:
  • 約89,000円(税込)〜(キャンペーンにより変動あり)
  • 教育訓練給付制度には非対応(2025年8月時点)
  • キャンペーン:
  • 時期によっては割引や特典あり(例:期間限定で10,000円割引など)

◆ こんな人におすすめ

  • スマホやPCを活用し、ITベースの効率学習を重視したい方
  • 加藤講師の司法系講座での実績・指導スタイルに魅力を感じる方
  • 学習時間が限られており、短期集中で合格を狙いたい社会人

資格スクエアの行政書士講座は、「王道型」よりも「効率型」を志向する受験生にマッチする設計です。今後の受講者数増加とともに、行政書士分野でも信頼性が高まれば、有力な選択肢となる可能性を秘めています。

第4章|主要講座の比較総覧:合格実績・サポート・費用を一目で確認

4.1 合格実績の比較:各社の“公表値”とその見方

行政書士試験講座を比較するうえで、合格実績は最も注目される指標の一つです。しかしながら、各社の合格率の公表方法にはばらつきがあり、数値の解釈には注意が必要です。

講座名合格率(公表ベース)公表方法の特徴
アガルート55.6%(※受講生アンケート回答者ベース)合格者インタビューも充実しており、受講生との距離感が近い
フォーサイト42.5%(※eラーニング受講生ベース)受講生数が多く、客観的データとして信頼性が高め
クレアール非公表(※合格体験記のみ)合格者の声はあるが、定量データはなし
LEC/伊藤塾/TAC非公表教室講座も展開しており、通信単体での実績データは限定的
スタディング合格体験談のみ定量的な数値の開示なし
資格スクエア非公表司法試験講座での実績が主で、行政書士は実績構築段階

📌【注意点】
合格率は「回答者ベース」や「受講継続者ベース」など、母数の定義が異なる場合があります。単純な数値の大小ではなく、実績の出し方や信頼性を読み解く視点が重要です。

4.2 サポートと料金の比較:学習環境の“安心度”と“コスト感”を見極める

受講を決めるうえで見逃せないのが、質問対応や教材の質、価格帯といった「サポート体制」と「費用対効果」です。以下の比較表では、主要講座のサポート内容と価格帯を一覧化しました。

講座名質問対応教材形式教育訓練給付制度価格帯(目安)
アガルート無制限(Facebookグループ)フルカラー冊子+動画対象講座あり約158,000円〜
フォーサイトメール無制限フルカラー冊子+eラーニング対象講座あり約78,800円〜
スタディング質問不可(※別サービス有)デジタル教材のみ非対象約49,500円〜
伊藤塾回数制限あり冊子教材+通学/通信併用可一部講座対象約200,000円〜
TAC回数制限あり冊子教材+通学/Web講義一部講座対象約165,000円〜
LEC回数制限あり冊子教材+通学/通信併用可一部講座対象約165,000円〜
クレアール回数無制限(期間制限あり)冊子教材+Web講義対象講座あり約89,000円〜
資格スクエアメール無制限デジタル教材中心非対象約89,000円〜

💡【ポイント】

  • 質問対応の有無は、独学ベースの学習者にとって大きな安心材料になります。
  • 価格が安い講座ほどサポートは限定的になる傾向があり、サポートの質と価格のバランスが選定の鍵となります。

第5章|まとめ:後悔しない講座選びのための3つのチェックポイント

行政書士試験の講座を選ぶ際は、単に知名度や価格の安さだけで判断するのではなく、
自分の学習スタイルや環境に本当に合っているかを見極めることが重要です。
ここでは、失敗しない講座選びのために押さえておくべき3つの視点を整理します。

① 学習スタイルとの相性を見極める

講座によって「通学型」「通信型」「eラーニング特化型」など、提供形態が異なります。
また、講義中心か演習重視かといったカリキュラム設計の違いもあります。

  • 「じっくり理論を学びたい」タイプには、伊藤塾やLECなどの法学的アプローチの講座。
  • 「通勤時間などのスキマ時間を活用したい」方には、スタディングのようなスマホ完結型。
  • 「演習で実践力を鍛えたい」方には、TACやアガルートなどの演習量が豊富な講座。

自分のライフスタイルや集中できる学習環境にフィットするかを基準に選びましょう。

② サポート体制と学習継続のしやすさ

行政書士試験は長期戦になりがちな試験です。途中で挫折しないためには、
質問対応・添削指導・学習スケジュール管理といったサポートの有無が重要です。

  • 質問し放題で安心して学べるアガルートやクレアール
  • 学習管理機能が充実しているフォーサイトやスタディング
  • 添削や講師との対話を重視する伊藤塾やLEC

孤独になりがちな通信学習において、「相談できる環境」があることは大きな力になります。

③ コストパフォーマンスと制度活用

講座費用は数万円~20万円超と幅がありますが、「高い=良い」とは限りません。
自分の必要な機能・サポートが含まれているかを確認しましょう。

また、講座によっては「教育訓練給付制度」の対象となっており、受講費用の20%がハローワークから支給される場合もあります(上限あり)。
対象講座かどうか、申し込み手続きの流れも事前に確認しておくとよいでしょう。

◆ 最後に

講座選びに正解はありません。
ただし「自分にとって学びやすい環境」を冷静に見極めることが、合格への最短ルートになります。

焦らず、比較・体験・検討のステップを踏みながら、
あなたにとって最良のパートナーとなる講座を見つけてください。

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