第1章|行政書士通信講座における「低価格帯」の全体像
1-1|10万円未満が分かれ目?価格帯による市場の構造と意味
行政書士試験対策の通信講座は、提供価格に応じて明確に層別化されています。アガルートアカデミー、伊藤塾、TACといった大手予備校では、初学者向けの基本講座でさえ15万円〜30万円以上といった価格帯で展開されています。
一方で、スタディングやクレアール、ユーキャン、フォーサイト、資格スクエアなどの講座は、10万円未満で提供されており、特に5万円〜7万円前後に多くの競合が集中しています。
本記事では、この「10万円未満」の価格帯を「低価格帯講座」と定義し、その中でも特に競争が激しい7万円未満の講座群を「超競争価格帯」と位置づけて分析を進めます。
この“10万円の壁”は単なる価格差ではありません。それは、講座運営のビジネスモデルそのものを分ける重要な境界線でもあります。10万円を超える講座は、著名な講師陣や校舎サポート、個別指導など「高品質な学習環境」を提供することに価値の重心を置いています。
一方、10万円未満の講座では、それとは異なるビジネス戦略が採られています。教材やサポート範囲の見直し、デジタル技術の活用、スケールメリットによるコストダウンなど、全体的な構造改革によって低価格化を実現しているのです。
したがって、単に「安い」から選ぶのではなく、それが“効率化の成果”なのか、“品質の妥協”なのかを見極めるためには、背後にあるビジネスモデルの理解が不可欠です。
1-2|主要な低価格帯講座とその特徴まとめ【2025年最新版】
前述の定義に基づき、現在の行政書士試験対策における主要な低価格帯通信講座を以下に一覧化します。なお、かつて注目されたL・A(エル・エー)は2020年度をもって休講中のため、本比較の対象からは除外しています。
講座名 | 標準価格(税込) | 特徴 | 公式サイト |
---|---|---|---|
スタディング | 54,000円 | スマホ完結型、デジタル教材特化でコスト削減 | https://studying.jp/gyousei/ |
クレアール | 125,000円(割引後 約6万円) | 圧倒的な講義量と大胆な割引戦略 | https://www.crear-ac.co.jp/lp/gyousei/ |
ユーキャン | 69,000円 | 初学者向け、教材のコンパクト設計とブランド力 | https://www.u-can.co.jp/gyoseishi/ |
フォーサイト | 66,800円 | フルカラーテキスト、不合格時の全額返金保証あり | https://www.foresight.jp/gyosei/ |
資格スクエア | 69,300円 | 人気講師「森T」によるAI活用のオンライン講義 | https://www.shikaku-square.com/gyoseisyoshi |
東京法経学院 | 94,100円(割引後 約6万円) | 合格者には全額返金制度を採用 | https://www.thg.co.jp/gyou/ |
資格のキャリカレ | 73,800円(割引後 約6万円) | 不合格時の全額返金制度など手厚い保証が魅力 | https://www.c-c-j.com/course/status/gyosei/rn/ |
※価格は2025年7月時点の税込価格。最新の割引情報や条件等は必ず各公式サイトにてご確認ください。
各講座にはそれぞれ異なる強みと特徴があり、単に価格の安さだけで比較するのではなく、「どのような価値をどのように提供しているのか」を軸に見極めることが、後悔しない講座選びの第一歩となります。
第2章|なぜ安くできるのか?低価格講座のビジネスモデルを解剖する
2-1|校舎を持たない強み——物理的設備コストの削減
低価格帯の通信講座が受講料を大幅に抑えられる最大の理由は、物理的な校舎や設備を一切持たないことにあります。
スタディングやクレアール、フォーサイト、資格スクエアといった“オンライン専業型”の事業者は、教室・受付・事務スタッフといった固定費のかかる要素を初めから排除しています。
たとえば、クレアールの公式ページでは「教室費が不要な通信専門スクールだからこそ、この価格が実現できる」と明言されており、ビジネスモデルそのものがローコスト前提で設計されていることがわかります。
つまり、「校舎がないこと」は単なる欠点ではなく、価格競争力を生む重要な強みなのです。
2-2|教材制作コストの最適化——デジタル化と効率設計
教材もまた、価格に大きく影響する要素です。
デジタル化による圧縮:
スタディングはデジタル教材に特化しており、標準コースでは紙のテキストを提供せず、Webテキストとオンライン問題集だけで構成されています。紙テキストは別途有料オプションという仕組みをとることで、印刷・製本・在庫管理・配送といった一連の物理的コストを大幅に削減しています。
印刷仕様の簡素化:
クレアールや東京法経学院では、教材にモノクロや2色刷りを採用しています。これは、フォーサイトやユーキャンのようにフルカラー印刷を用いる講座と比べて、印刷費を抑えるための明確なコスト戦略といえます。
コンテンツの「圧縮」:
ユーキャンやキャリカレでは、講義時間を大幅に短縮(例:ユーキャンは約38時間、キャリカレは約21時間)し、テキストも要点だけを凝縮する設計となっています。これは教材開発コストを抑えつつ、学習者の負担も軽くするという、効率重視型のアプローチです。
2-3|サポート体制は“質”より“効率”重視?——人件費のコントロール法
通信講座では、質問対応や添削指導といった人的サポートの有無や範囲が、人件費に直結します。
有料オプション化による制御:
スタディングでは質問対応をチケット制(有料)にし、最上位コースにのみ一定数のチケットを付ける形を取っています。これにより、無制限の質問対応によるサポート負荷を抑えています。
テクノロジーの活用:
スタディングや資格スクエアは、AIによる自動復習機能や問題演習のナビゲーション機能(例:「法令択一クエスト」)を導入しています。これは人的リソースをかけずに、効率よく学習支援を行うモデルです。
質問回数の制限:
ユーキャンは質問を1日3問までに制限することで、サポート対応の集中を避け、安定した運用を実現しています。
これらはすべて「質の高い人手によるサポート」を最小限にとどめつつ、学習者に必要な最低限の支援を効率よく届けるための設計といえます。
2-4|広告費を最小化するマーケティング戦略
大手予備校がテレビCMや新聞広告などのマス広告を用いるのに対し、低価格帯の通信講座は、広告宣伝費も戦略的にコントロールしています。
SEO・アフィリエイト中心のWeb集客:
多くの講座は検索エンジン最適化(SEO)やアフィリエイト広告、SNSでの口コミ拡散など、費用対効果の高いデジタル施策を中心に展開しています。
保証制度そのものが“広告”になる:
クレアールの大幅な割引制度、フォーサイトやキャリカレの「不合格時全額返金保証」、東京法経学院の「合格者全額返金制度」などは、強力なマーケティングツールとして機能します。これらはリスクの低減と信頼感を同時に打ち出すことで、広告以上の訴求力を持ちます。
広告費をかけずとも、制度そのものが口コミを生む仕組みを構築しているのが、低価格帯講座の賢いマーケティング戦略なのです。
第3章|価格と品質のトレードオフを見極める
3-1|教材に表れる「効率性」と「網羅性」のバランス
低価格帯の講座における最も大きな品質面での特徴は、教材の設計思想にあります。特に「効率的に学べること」と「内容の網羅性」をどのように両立または取捨選択しているかは、各社の教材方針に色濃く反映されています。
たとえば、ユーキャンや資格のキャリカレは、学習ボリュームを大幅に圧縮し、初学者にも取り組みやすいように構成されています。講義時間もそれぞれ38時間、21時間と短時間に設定されており、「学習しやすさ」と「手軽さ」に主眼を置いていることがわかります。
一方、クレアールは200時間を超える講義時間を確保し、可能な限り幅広い論点をカバーする姿勢をとっています。また、フォーサイトは「合格点主義」を掲げ、出題可能性が低い論点は意図的にカットすることで、学習効率を最大化する構成です。
このように、教材の「薄さ」や「分量の軽さ」は必ずしも欠点ではなく、限られた時間の中で合格を狙うための戦略といえます。ただし、コンパクトすぎる教材には、重要論点の取りこぼしリスクが伴うため注意が必要です。
また、教材の品質面では、最新の法改正への対応力も重要な要素です。2025年の行政書士法改正を含め、各社とも最新情報への対応を明言していますが、問題はその反映スピードや正確性、誤記・誤植への対応状況です。
一部の低価格講座では、講義中の言い間違いやテキスト上の誤植が修正されないまま放置されているケースも報告されており、「安さの裏にある品質管理の甘さ」が表面化する可能性もあります。
3-2|講義内容と講師の質を比較する
通信講座において、講師の存在は学習体験そのものに直結します。「誰が教えるのか」という要素は、価格以上に講座の価値を左右することもあるのです。
低価格帯講座では、アガルートの豊村慶太講師のような“カリスマ講師”を起用するケースは稀ですが、クレアールの杉田徹講師や竹原健講師、資格スクエアの森広志(通称:森T)講師のように、実務経験や受験指導に長けた講師が多数在籍しています。いずれも受講生から高評価を得ている存在です。
一方で、スタディングにおいては、講義が「淡々としている」「抑揚が少ない」といった声も散見されます。これは、効率性を重視し、感情や熱量よりも情報伝達の明快さに比重を置いた講義スタイルであるためと考えられます。
また、講義時間の長短も講座選びにおける重要な判断材料です。ユーキャン(約38時間)、スタディング(約50〜90時間)、フォーサイト(約70時間)といった短時間型の講座では、論点の取捨選択が行われており、学習時間を節約できるメリットがあります。
一方で、クレアール(約200時間以上)、資格スクエア(約140〜230時間)のように講義時間が長い講座では、網羅性と解説の丁寧さに安心感がある反面、学習時間の確保やモチベーションの維持が課題となる可能性があります。
結局のところ、講師のスタイルや講義時間の長さが自分に合っているかどうかが重要です。事前に無料体験やサンプル動画を確認することで、「自分に合うかどうか」を必ず見極めるようにしましょう。
3-3|質問対応や添削指導にも違いが──サポート体制の差に注目
低価格帯講座のなかでも、特に違いが表れやすいのが「サポート体制」です。質問制度や添削指導の有無は、学習の質を左右する重要な要素です。
たとえば、クレアールでは講師に対する質問が回数無制限・無料で提供されており、受講生の不明点に丁寧に対応する体制が整えられています。これは、通信講座でありながら対面に近い学習環境を実現しようとする姿勢の表れです。
一方、スタディングは質問制度を原則有料とし、チケット制を導入しています。上位コースには一定数の質問チケットが付属しますが、標準コースではサポートを利用するたびに追加料金が発生します。
フォーサイトではコースによって10回〜25回の質問対応が無料で含まれており、ユーキャンは1日3問までという制限つきで対応しています。
また、記述式問題への添削指導にも講座ごとの差があります。ユーキャンやクレアールは、講師による人的な添削サービスを提供しており、理解の深さや文章力の向上に直結する実践的な支援が得られます。
一方、スタディングはAIによる自動添削システムを採用しており、迅速でスケーラブルなフィードバックを実現しています。ただし、人間講師による細やかなニュアンスまで汲み取った添削とは性質が異なるため、個別対応を求める学習者には物足りなさを感じる場合もあるでしょう。
このように、サポート体制には「量」「質」「形式」において大きな違いがあり、自身がどのような支援を必要としているかを明確にしたうえで講座を選ぶことが重要です。
3-4|合格実績の「出し方」でわかる、講座の信頼度
講座選びにおいて“合格実績”は注目ポイントですが、その「見せ方」には講座ごとに戦略の違いがあります。数字の大きさだけでなく、その裏にある算出基準や透明性に注意が必要です。
アガルート(46.82%)やフォーサイト(45.45%)のように「合格率」を明示している講座は信頼性が高く、特定の算出条件(例:一定の学習期間を満たした受講生が対象)に基づいた統計を公表しています。
一方で、スタディングやユーキャン、キャリカレなど多くの低価格帯講座では、「合格体験記の数」や「累計合格者数」など、合格率ではない別の指標を用いて実績を示しています。これは主にマーケティング用途として用いられ、受講者全体に対する合格割合(=合格率)が不明なままになっているケースが大半です。
例えば、「1万人の受講者のうち273名が合格体験記を寄せた」とすれば、それだけで高評価とはいえず、分母の不透明さが実績の信憑性を左右する要因となります。
講座選びの際は、数字そのものよりも「どのような基準で出された数字か?」という点に注目し、講座の信頼性を冷静に見極める視点が求められます。
以下に、主要講座における「講義時間」「講師の特徴」「質問制度」「記述添削」「合格実績の見せ方」を一覧でまとめました。
表:主要低価格講座における価格と品質の比較(2025年版)
講座名 | 講義時間(目安) | 講師の特徴 | 質問制度 | 記述添削 | 合格実績の公開内容 |
---|---|---|---|---|---|
スタディング | 約50~109時間 | 実務的・淡泊な講義スタイル | チケット制(有料)※一部コースに付帯 | AI添削 | 合格体験記の人数 |
クレアール | 約207~265時間 | 経験豊富なベテラン講師陣 | 無制限・無料 | あり(制限あり) | 合格体験記の人数 |
ユーキャン | 約38時間 | 初学者向けに構成されたやさしい講義 | 1日3問まで・無料 | あり(7回) | 過去10年の累計合格者数 |
フォーサイト | 約68~95時間 | ベテラン講師による映像講義 | 無料(10~25回) | なし(eライブで代替) | 合格率(受講アンケートに基づく) |
資格スクエア | 約140~236時間 | 人気講師「森T」 | ワンクリック質問など | あり(コースにより異なる) | 合格体験記のみ(合格率非公開) |
東京法経学院 | 約98~108時間 | 伝統校のベテラン講師 | オンライン質問フォームあり | あり(コースにより異なる) | 合格体験記の人数 |
キャリカレ | 約21時間 | 初学者向け・要点解説型 | 無制限・無料 | あり | 合格体験談(数値非公開) |
※情報は2025年7月時点のものであり、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
第4章|“安いだけ”ではない──本当のコストパフォーマンスを可視化する
4-1|講義1時間あたりの単価で見る、費用対効果の違い
通信講座の価格を比較する際、「受講料がいくらか」だけで判断するのは早計です。
より客観的に費用対効果を把握する方法として、「講義単価」(=受講料 ÷ 総講義時間)という視点が有効です。
たとえば、クレアールの「カレッジスピードマスターコース」は、割引価格63,750円・講義時間207時間とすると、1時間あたりの講義単価は約308円です。
これに対し、ユーキャンは69,000円で講義時間が38時間なので、1時間あたり約1,815円と、5倍以上の差が出ることになります。
この差は単に価格設定の違いではなく、各講座の「価値提供の方向性」を表しています。
クレアールは「広く・深く・丁寧に学べる」網羅型スタイル、ユーキャンは「必要最低限を効率よく学べる」時短スタイルに重点を置いています。
つまり、講義単価が低ければ高コスパというわけではなく、「どれだけの時間をかけて、どのレベルまで習得したいか」という自身の目的に合った選択が重要です。
4-2|給付制度や合格特典で変わる“実質負担額”とは?
表示価格と実際の負担額は必ずしも一致しません。各講座では、給付制度や合格特典、返金保証などを活用することで、「実質的な受講料」が大きく変動します。
教育訓練給付制度の活用
フォーサイト、クレアール、ユーキャン、資格スクエアなどは、「一般教育訓練給付制度(厚生労働大臣指定)」の対象講座に指定されています。
雇用保険の加入期間など一定条件を満たせば、支払った受講料の20%(上限10万円)が給付される制度です。
たとえば、7万円の講座なら最大14,000円の還付があるため、実質的な負担は56,000円まで下がることになります。
合格特典による金銭的インセンティブ
合格すると「祝い金」などの特典がもらえる制度もあります。
- スタディング:合格で1万円支給
- クレアール:合格で最大2万円支給
- 資格スクエア:合格で1万円支給
さらに、東京法経学院やアガルート(プレミアム帯)では、合格者に対して受講料を全額返金する制度を用意しており、実質的な受講料が“0円”になるケースもあります。
返金保証制度の有無
返金保証には2タイプあり、その意味合いも異なります。
- 不合格時返金型(リスク軽減):フォーサイト、キャリカレなど。
条件を満たせば、万が一不合格でも返金されます。
※ただし「全確認テスト満点」など厳しい適用条件がある場合もあるため要注意です。 - 合格時返金型(インセンティブ重視):東京法経学院、アガルートなど。
合格すれば全額返金される制度で、学習意欲の向上を促す設計になっています。
これらを踏まえた上で、「最終的にいくら負担するのか」を多角的に比較することが、賢い講座選びには欠かせません。
表:代表的講座における実質負担額シミュレーション(最良条件想定)
講座名 | 表示価格(A) | 給付金適用後(B) (A × 0.8) | 合格特典(C) | 実質負担額(B – C) | 不合格時返金制度 |
---|---|---|---|---|---|
スタディング | 54,000円 | 対象外 | 10,000円 | 44,000円 | なし |
クレアール | 63,750円 | 51,000円 | 20,000円 | 31,000円 | なし |
ユーキャン | 69,000円 | 55,200円 | 3,000円 | 52,200円 | なし |
フォーサイト | 66,800円 | 53,440円 | 2,000円 | 51,440円 | あり(条件付き) |
資格スクエア | 69,300円 | 55,440円 | 10,000円 | 45,440円 | なし |
東京法経学院 | 65,870円 | 対象外 | 全額返金 | 0円 | なし |
キャリカレ | 63,800円 | 対象外 | 合格で2講座目無料 | 63,800円 +α | あり(条件付き) |
※表示価格は2025年7月時点の代表的な割引後価格。
※給付金適用・返金・特典には条件があるため、詳細は必ず各公式サイトを確認してください。
このように、単なる「表示価格」だけでなく、制度・特典・保証を含めた“実質的な学習投資”という視点で比較することが、後悔しない選択につながります。
第5章|講座選びで後悔しないために──確認すべきポイント総まとめ
5-1|無料体験・資料請求で必ず確認したい3つの視点
講座選びで失敗を防ぐ第一歩は、「資料請求」や「無料体験」を活用して、実際の中身を自分の目で確認することです。以下の3点を意識してチェックしましょう。
① 講師との相性(講義動画)
講義動画のテンポ・声のトーン・説明の構成は、学習継続に大きな影響を与えます。
「話が聞き取りやすいか」「抑揚が単調で眠くならないか」「具体例やユーモアがあるか」など、自分にとって“心地よく聞ける講義”であるかを確認しましょう。
② eラーニングシステムの操作性
多くの講座が専用のオンライン学習システムを採用しています。
スマートフォンやタブレットでもスムーズに使えるか、動画の読み込み速度、倍速再生や自動スキップ機能、問題演習の使いやすさなど、実際の使用感を体験しておくことが重要です。
③ 教材サンプル(テキスト)の見やすさ
テキストのレイアウト・文字の大きさ・図解の配置・情報密度のバランスなど、「目に優しいか」「要点が整理されているか」を自分の感覚で確かめましょう。
フルカラー(例:フォーサイト)かモノクロ(例:クレアール)かによって、視認性やモチベーションの保ちやすさも異なります。
5-2|契約前に必ず確認すべき「利用条件・費用」の落とし穴
価格やキャンペーンの文字に惑わされる前に、以下のような利用規約や注意事項をしっかり読み込むことが、後悔を防ぐ鍵です。
質問・添削の回数制限と追加費用
- 質問が「何回まで無料」か、追加料金がかかるか
- 添削指導が標準で付いているのか、オプションなのか
このあたりは、講座ごとに条件が大きく異なります。
特に質問チケット制の講座(例:スタディング)では、サポートを使うたびに費用がかさむ場合もあります。
教材の内容と提供形式
「テキストが含まれています」と書かれていても、それが“Web形式”なのか“紙の冊子”なのかを見落としがちです。
紙のテキストが別料金の場合もあるため、契約前に提供範囲を明確に確認してください。
返金制度・解約条件
- 「全額返金保証」が適用される条件(例:全確認テスト満点など)は厳しいことが多く、内容をよく読む必要があります。
- 解約・キャンセルに関する規定(クーリングオフ、中途解約の返金割合など)も明文化されているため、利用規約を必ず事前に確認しましょう。
5-3|ネット上の口コミをどう見極めるか?情報の信頼度チェック術
通信講座を比較検討する際に参考にしたくなる「口コミ・評判」ですが、ネット上の情報には玉石混交があります。以下のような視点で信頼性を判断しましょう。
① 具体性のある体験談を重視
「わかりやすかった」「おすすめです」といった抽象的な感想よりも、
「民法の代理の論点を、講師が具体例で説明してくれて理解が深まった」など、内容に触れている口コミの方が信頼性が高いといえます。
② 長所と短所の両方が書かれているか
良い点ばかりが並んでいるレビューは、広告やアフィリエイト目的で書かれている可能性があります。
一方で、メリット・デメリットの両面に触れているレビューは、比較的客観性があり信頼しやすい傾向にあります。
③ “ステマ”やバイアスに注意
ランキング系サイトやブログに掲載されているレビューには、収益目的で特定の講座を強く推しているケースもあります。
情報の偏りを避けるためには、以下のような複数の情報源を横断的に確認するのが有効です。
- 公式サイトのQ&A・合格体験記
- SNS(X, Instagramなど)の個人レビュー
- YouTubeやnoteなどの実体験レポート
- 複数の比較サイト(アフィリエイト色が薄いものを優先)
口コミはあくまで「参考情報」であることを念頭に置き、最終的には自分自身で確かめたうえで判断することが大切です。