はじめに:合格までの道に、確かな羅針盤を
行政書士試験への挑戦を決意されたあなたへ。まず、その一歩を踏み出した勇気に、心から敬意を表します。
しかし、情報があふれる今、「独学で十分」「いや、予備校でなければ無理」といった真逆の声に戸惑い、何から手をつけてよいのか悩んでいませんか?そんな方のために、この記事はあります。
私は、フルタイム勤務と育児を両立しながら、2年の歳月をかけて独学で行政書士試験に合格しました。その経験から言えるのは――「もっと効率のよい方法を知っていれば、1年で合格できた」という後悔でした。
この記事は、あの頃の自分に送るつもりで書いた“最初の道標”です。孤独な不安の中で遠回りを続けてきた日々を、これから挑戦するあなたには経験してほしくありません。
ここでは、単なる「勉強法」ではなく、「合格までの計画」を立てるための思考とノウハウを、すべて余すところなくお伝えします。
読み終えるころには、あなた自身で「合格できる勉強計画」を組み立てられるようになり、「これならやりきれる」と感じられる自信が芽生えているはずです。
まずは、戦うための「地図」を描くところから、一緒に始めましょう。
第1章 なぜ「計画」が合否を左右するのか
1.1 テキストを開く前に考えるべきこと
多くの受験生は、「とにかく勉強を始めなければ」と思い立ち、すぐにテキストを開いてしまいます。しかし、合格者の多くがまず最初に行っているのは、学習そのものではなく「計画を立てること」です。
なぜ計画が重要なのか――その理由は、単なる効率の問題ではなく、1年にわたる長期戦を戦い抜くための“精神的な生命線”となるからです。
行政書士試験は、法律という膨大かつ抽象的な知識と向き合い続ける必要があり、日々の迷い・不安・中だるみを乗り越える力が問われます。その基盤となるのが「計画」なのです。
1.2 合格を遠ざける4つの典型的な失敗パターン
● 失敗例1:毎日の意思決定に疲弊してモチベーションが続かない
「今日は何をしよう」「どこまで進めよう」と毎日判断を繰り返していると、いわゆる“決断疲れ”に陥り、勉強以前に精神的エネルギーが消耗してしまいます。やがて「やっても意味がないのでは」と感じ、挫折へとつながります。
● 失敗例2:科目別の「足切り基準」を甘く見て不合格
行政書士試験には総得点の6割以上という合格基準だけでなく、「法令科目は5割以上」「基礎知識科目は4割以上」という科目別の足切りラインがあります。配点の高い民法・行政法に偏った学習では、基礎知識分野で基準未達となり、不合格になるリスクがあります。これは独学者に非常に多い落とし穴です。
● 失敗例3:知識が点在し、有機的に結びつかない
計画なく学習を進めると、知識が「孤立した断片」として蓄積されていきます。たとえば、民法を理解しないまま行政法に進んでも、条文や判例の本質が見えず、理解が浅くなってしまいます。学ぶ順序や関連性を意識しないと、全体の把握が困難になります。
● 失敗例4:直前期に慌てて詰め込み、実力を発揮できない
長期計画を立てていない場合、試験直前になって「まだ終わっていない単元が山ほどある」と焦り、詰め込み型の勉強に走ってしまいがちです。結果、知識が定着せず、不安な気持ちのまま試験本番を迎え、力を出し切れないまま終わることもあります。
私自身も独学1年目はこれらの失敗を経験しました。ですが、計画さえあれば防げたことばかりです。
1.3 合格者に共通するのは「計画を武器にしている」こと
失敗パターンを避けるだけでは、合格には届きません。むしろ、合格者が高確率で実践しているのが「計画を立て、それを愚直に実行する力」です。
計画は、単なるスケジュール表ではなく、受験という長期戦を戦い抜くための「戦略ツール」であり、「精神的な支え」でもあります。
● やるべきことが明確になるから、集中できる
計画があることで「今日は何をすべきか」を迷わずに済みます。これによって、貴重な意志力を「学習の中身」に集中させることができ、判断疲れや迷走を避けられます。
● 小さな達成が、大きなモチベーションにつながる
「1日10ページのテキストを読む」「週に30問の過去問を解く」といった具体的な目標を細かく設定することで、日々のタスクが達成感に変わります。この積み重ねが「自分は進んでいる」という実感につながり、勉強を継続する原動力になります。
● 不安を抑える“精神的な安全網”になる
長期間にわたる受験勉強では、「本当にこのやり方でいいのか?」「間に合うのか?」という漠然とした不安に悩まされがちです。計画があることで「自分は予定通り進めている」という安心感が生まれ、不安や焦りに振り回されることなく冷静に取り組めます。
このように、計画は時間を管理するだけの道具ではなく、「迷い」「不安」「無力感」といった心理的ストレスから受験生を守る、最強のメンタルツールでもあるのです。
本サイトが掲げる「最短合格=効率化」の本質は、この“意志力の節約”にあります。計画を立て、あらかじめ道を定めておくことで、有限なエネルギーを「学習」に集中投下できる――それこそが、最短ルートで合格するための第一歩なのです。
第2章 自分を知ることから、最適な計画は始まる
計画を立てるうえで、最初に必要なのは「自分の現在地」を正確に把握することです。
地図を描くには出発点が必要ですし、登山プランを立てるには、自分がどの装備(=知識や時間)を持っているかを知る必要があります。
この章では、自分自身の「時間」「知識」「学習スタイル」の3つを見える化するためのステップを紹介します。
2.1 ステップ1:使える時間を洗い出す「タイム監査」
まず行うべきは、1週間のスケジュールを丸ごと棚卸しすることです。
- 月曜から日曜までの1週間分の時間割を作成
- 睡眠・仕事・家事・育児・食事・通勤など「絶対に削れない時間」を塗りつぶす
- 残った「可処分時間」の中から、実際に勉強に使えそうなスキマ時間を探し出す
たとえば――
- 通勤時間中に講義音声を聴く
- 昼休みに暗記カードをチェック
- 夜、子どもが寝た後の45分を活用
こうした“スキマの積み重ね”こそが、多忙な社会人・親御さんにとって最大の武器になります。これらを合計することで、あなたの「1週間あたりの純勉強時間」が見えてきます。
2.2 ステップ2:あなたのスタート地点を確認する「知識監査」
次に行うのが、現在の知識レベルと、自分に合った学習スタイルの確認です。
【1】法律知識の有無をチェック
- 法学部卒・法律関係の実務経験あり → 基礎の復習に時間をかけすぎない
- 宅建士などの資格保有 → 民法・行政法に共通点あり
- 完全な法律初学者 → 基本用語・制度から丁寧に学ぶ必要あり
【2】自分の理解タイプを知る
- 視覚タイプ:図解・カラー教材が効果的
- 聴覚タイプ:講義音声や動画学習が向いている
- 読解タイプ:テキストをじっくり読み込むスタイル
- 体感覚タイプ:書く・問題を解くことで覚えるタイプ
この自己把握によって、あなたに最適な教材・学習法・配分が見えてきます。
2.3 ステップ3:自分に必要な「勉強時間」を算出する
一般的に、法律初学者が行政書士試験に合格するための学習時間は「600〜1000時間」が目安とされています。
ここでは、ステップ1・2の結果をもとに、あなた専用の目標時間と学習期間を設計します。
【例】
- 週20時間の勉強が可能
- 法律初学者のため、必要学習時間は約900時間
- → 900時間 ÷ 週20時間 = 約45週(10〜11ヶ月)
これにより、「1年後に受験する」という曖昧な目標が、「毎週20時間を確保すれば、10ヶ月で達成できる」という具体的な計画へと変わります。
重要なのは「現実的かつ、ややストレッチな目標」を設定すること。高すぎる目標は挫折の原因に、低すぎる目標は成長を妨げます。
自己分析によって「今の自分にできること」「足りないもの」「活かせる強み」が明確になります。
この3ステップを踏むことで、あなただけの合理的かつ実現可能な勉強計画の土台が完成します。
第3章 合格に向けた「戦略マップ」の描き方
自己分析によって出発点が明確になったら、次は目的地=合格に向かって、どのような道筋で進むかを決めましょう。
ここでは、1年を通してどのように学習を段階的に進めていくべきか、年間スケジュール=長期計画の立て方を解説します。
3.1 長期計画(年間スケジュールの全体像)
行政書士試験は毎年11月の第2日曜日に実施されます。この試験日をゴールとし、そこから逆算して1年間を「3つのフェーズ」に分けて戦略的に学習を組み立てます。
フェーズ1:基礎構築期(1月~6月)
- 目的:法律科目の全体像を掴み、基礎知識をインプットする
- 学習内容:テキストの通読、講義の視聴、章末問題や簡単な過去問で理解を確認
この時期は「完璧」を目指す必要はありません。むしろ、「7割理解できたら次に進む」くらいのテンポで、まずは全体像を把握しましょう。
学習の順番も重要です。民法(基礎)→行政法(実務の中核)→憲法(国家の基本構造)→基礎法学・商法・会社法へと進めるのが効率的です。
✅ 運営者からのアドバイス
私は独学時代、民法の1つの条文に1週間悩んでしまい、全体像を掴むのに時間がかかりました。今振り返れば、「まずは全体を走り抜ける」ことが最も重要だったと痛感しています。
フェーズ2:知識定着期(7月~8月)
- 目的:インプットした知識を「使える力」に変える
- 学習内容:過去問演習、テキストとの往復(ジグザグ学習)、選択肢の正誤分析
この時期はアウトプット中心の学習に切り替える必要があります。過去問を3周以上こなすことを目標にし、単なる正解・不正解ではなく「なぜその選択肢が間違っているか」を自分の言葉で説明できるまで深掘りしましょう。
✅ ワンポイント
私は1年目、正解した問題はそれで終わりにしてしまい、間違えた選択肢の分析を怠って伸び悩みました。2年目は“全選択肢を吟味する”ことで得点力が飛躍的に伸びました。
フェーズ3:直前期(9月~11月)
- 目的:得点力の最大化と、弱点の補強
- 学習内容:模試、記述対策、暗記の総仕上げ、本番形式の演習
この時期は「伸びしろの最終盤」です。模試を通じて苦手分野を洗い出し、重点的に補強しましょう。暗記科目(行政手続法・条文など)はこの時期に総復習を。
記述式対策も忘れずに。実際に書く練習を通じて、論理的な表現と時間内解答の感覚を磨いてください。
✅ 重要な注意点
直前期に新しい教材に手を出すのは厳禁です。不安から手を広げるより、これまで使ってきた教材を“完璧に使い切る”ことが最も確実な合格戦略です。
3.2 中期計画:1ヶ月ごとの目標と教材活用の設計図
長期計画で1年の全体像を描いたら、次はそれを月単位に落とし込み、各月の「達成すべき目標」と「使用教材」を明確にしていきます。
この段階では、「今月中に何を終えるか」「どの教材をどこまでやるか」を具体的に設定することが重要です。抽象的な計画では、途中で迷子になります。
【例】基礎構築期(1月〜6月)の月次計画
- 1月〜2月:民法の全体像を掴む
→『うかる!行政書士 総合テキスト』の民法(総則・物権・債権)を1周し、対応する問題集に取り組む - 3月〜4月:行政法の得点基盤を構築
→ 行政手続法・行政不服審査法・行政事件訴訟法などを1周、過去問で理解を確認 - 5月:憲法と基礎法学を集中攻略
- 6月:商法・会社法と一般知識を1周し、すべての科目の“1周目”を完了
月次計画のコツは、「使用教材」と「達成すべき範囲」をセットで設定することです。
そうすることで、「今日は何をやるべきか」が曖昧にならず、計画が机上の空論で終わらなくなります。
3.3 短期計画:毎日のToDoに落とし込む実践術
― 「時間管理」ではなく「タスク管理」が合格の鍵
年間・月間の計画が定まったら、いよいよ「日々の行動」に落とし込むフェーズです。
ここでの最大のポイントは、「時間ベース」ではなく「タスクベース」で考えること。
❌ 悪い例:
「今日は2時間勉強する」
→ ただ座って時間を過ごしてしまうリスクあり
✅ 良い例:
「行政法テキストp.50〜60を読む」
「過去問10問+解説チェック」
→ 成果が明確で達成感が得やすい
【週間スケジュールの組み方】
- 平日:スキマ時間や夜にインプット系(テキスト読み、講義視聴)
- 週末:まとまった時間で過去問演習や記述対策などアウトプット系を重点的に
【1日のToDo例】
- ① 行政法テキストp.70〜80を読む
- ② 対応する過去問5問を解く
- ③ 昨日間違えた問題を再確認(3問)
このように、短期計画は「何を、どれだけ、いつやるか」が具体的であるほど、行動に移しやすく、継続しやすくなります。
長期・中期・短期の3層の計画を有機的につなげることで、あなたの毎日の努力が確実に“合格”というゴールにつながっていきます。
第4章 挫折を防ぐための「しなやかな計画術」
どれだけ完璧に計画を立てても、人生は思い通りには進みません。
仕事の繁忙期、体調不良、家族の用事――予定通りに進まない日々は誰にでも訪れます。
重要なのは、計画が狂ったときに崩れるのではなく、「柔軟に修正して継続できる力」を持つこと。
この章では、計画を“継続できる形”にするための工夫を紹介します。
4.1 予定どおりにいかない前提で組む:「バッファ」のある計画
完璧な計画ほど、1つのズレで崩壊しやすい。だからこそ、計画には「余白=バッファ」を意識的に組み込みましょう。
■ 週1日の「予備日(リカバリーデー)」を設定する
毎週のスケジュールには、必ず1日分の“空白”を設けてください。
ここは「予定が早く終わったら休む日」ではなく、「予定が遅れたときに取り返すための日」です。
これだけで、多少の遅れが生じても冷静にリカバリーできるという精神的な安心感が生まれます。
■ 戦略的に「休む日」を入れる
「休息=サボり」ではありません。脳や身体をしっかり休ませることで、集中力や定着率はむしろ向上します。
週に1日は“完全休養日”をつくり、長期戦を戦い抜ける体制を維持しましょう。
4.2 モチベーションは「気合い」ではなく「設計」するもの
勉強を続けるうえで最も難しいのが、「やる気の維持」です。
モチベーションは自然に湧いてくるものではなく、意図的に“設計”しておくことが重要です。
■ 小さなご褒美と“できた”実感を積み重ねる
毎日のToDoをこなしてチェックをつけるだけでも、達成感が生まれます。
さらに「民法を1周終えたらお気に入りのスイーツを食べる」「今週のノルマ達成で映画を観る」など、ご褒美とセットで設計すると、継続のモチベーションになります。
■ 合格後の「なりたい自分」を明確に描く
- 「独立開業して自由な働き方をしたい」
- 「専門家として社会に貢献したい」
- 「家族に安心できる生活を届けたい」
こうしたビジョンを“言葉”や“イメージ”で明確にしておくと、苦しい時期に踏ん張るための強い支えになります。
■ SNSや勉強仲間の力を借りる
独学は孤独になりがちです。
そんなときは「#行政書士試験2025」などのハッシュタグでX(旧Twitter)やInstagram上の“勉強垢”と繋がりましょう。
他人の努力や日々の報告を見ることで、自分も励まされ、「自分だけが苦しいわけじゃない」と感じられるようになります。
4.3 計画が崩れたときの対処法:「リカバリー戦略」で立て直す
どれだけ綿密に立てた計画でも、実行どおりに進まないことは必ず起こります。
重要なのは、「遅れたこと」を責めるのではなく、「どう立て直すか」を冷静に考えることです。
【3ステップで立て直すリカバリープロトコル】
ステップ1:パニックにならず、状況を数値で把握する
まずは感情的にならず、「どれくらい遅れているのか」を冷静に洗い出しましょう。
「テキスト30ページ分が未完了」「過去問40問が未消化」といった具合に“数字”で把握するのがポイントです。
ステップ2:「借金返済型」ではなく「優先順位型」で考える
よくある失敗は、「遅れた分すべてを来週に詰め込む」こと。これは計画全体を崩壊させます。
そうではなく、来週予定していたタスクと今週の遅れ分を見比べ、「今やるべき最重要タスクは何か?」を選び直しましょう。
❗️「8割の成果を生む2割の作業」に集中する思考が大切です。
ステップ3:現実的な計画に修正し、実行する
優先順位を整理できたら、翌週のスケジュールを“今の状況に即した形”に修正します。
- 予備日を活用して遅れを吸収する
- 復習タスクを一時的に軽くしてインプットを進める など
✅ 過去に私も「全部取り返そう」として燃え尽きました。
「完璧に戻す」より「優先して進める」ほうが継続につながります。
4.4 記録をつけて、計画を育てる「フィードバック習慣」
計画は一度立てたら終わりではありません。
「実行した結果」を記録し、振り返ることで、より良い学習スタイルへと進化していきます。
■ アナログ記録:手帳やノート+色ペン2本でOK
シンプルで効果的な方法です。
- 達成できたタスクは青
- 未達成だったタスクは赤 など色分けすれば、視覚的にも達成感を得やすくなります。
書くことで記憶の定着も促され、思考の整理にもなります。
■ デジタル記録:学習アプリで可視化と分析も
スマートフォンのアプリを活用すれば、勉強時間や教材別の進捗をグラフ化できます。
代表的なものは以下のとおりです。
ツール名 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
Studyplus | ・勉強時間を自動集計しグラフ化 ・SNS機能で仲間と励まし合える | 仲間と一緒に頑張りたい人 |
Notion | ・自由度の高い学習管理ページを作成可能 ・テンプレートも豊富 | 自分好みにカスタマイズしたい人 |
記録することで、「計画どおりにいかない原因」や「自分の得意・不得意」も見えてきます。
このフィードバックこそが、計画を単なる表ではなく、“自分仕様の最強ツール”に変える鍵なのです。
第5章 【ケーススタディ】3タイプ別・学習スケジュールモデル
ここでは、自分のライフスタイルに合った学習戦略を見つけるための「ケーススタディ」を紹介します。
これらは一つの“たたき台”に過ぎませんが、自分に近いモデルをベースに計画をカスタマイズすることで、より実践的かつ継続可能な学習計画が構築できます。
5.1 モデルA:フルタイム勤務の社会人
― 朝と通勤時間を武器にする“隙間戦略型”学習法
【対象となる方】
- 平日はフルタイム勤務で、夜は疲れて勉強に集中できない
- 通勤時間はある程度ある(電車・バス)
- 土日はまとまった時間を確保できることもある
【学習の鍵】
「朝のゴールデンタイム」と「通勤中の隙間時間」を活用すること。
夜は最低限の復習にとどめて、無理のないスケジュールを構築するのが成功のポイントです。
【時間帯別 学習スケジュール例】
時間帯 | 月〜金(平日) | 土曜日 | 日曜日 |
---|---|---|---|
早朝(6:00〜) | テキスト学習や講義視聴など、最も集中力が必要な作業 | 模試の受験(午前)+復習(午後) | 1週間の総復習+家族との時間など |
通勤中 | 講義音声の聞き流し/一問一答アプリでのアウトプット | ― | ― |
昼休み | 暗記カードや前日の復習など | ― | ― |
夜(21:00〜) | 当日学習した内容の軽い振り返り・メモ整理など | 休息または軽い計画立て直し | 翌週のスケジュール確認とリフレッシュ |
✅ 実体験からのアドバイス
私自身、社会人受験生として1年目は「夜に民法を勉強しよう」と意気込んで何度も挫折しました。
朝の1時間を確保して“最も重たいタスク”を処理するように切り替えた途端、学習のリズムと定着率が大きく改善しました。
このモデルは、「忙しくても、学習の核をぶらさず続けたい」という方にとって非常に効果的です。
重要なのは「時間の長さ」ではなく、「使い方」です。
5.2 モデルB:学生・専業受験生
― 長時間学習を乗り切る「集中力維持」と「切り替え戦略」
【対象となる方】
- 日中の時間を比較的自由に使える(学生・専業受験生など)
- 集中力が続かず、長時間学習がダラダラしてしまいがち
- 自宅学習中心で、自己管理が必要な状況にある
【学習の鍵】
時間がある分、「時間の長さ」より「集中の質」をどう保つかが最大のテーマになります。
そのため、時間管理には「ポモドーロ・テクニック」や「科目の切り替え」など、メリハリのある戦略が効果的です。
【1日のタイムスケジュール例】
時間帯 | 学習内容 | ポイント |
---|---|---|
9:00〜12:00 | セッション① 民法 | ポモドーロ法(25分学習+5分休憩)×5セットで集中維持 |
12:00〜13:30 | 昼食・完全休憩 | 机から離れて脳をリフレッシュ |
13:30〜16:30 | セッション② 行政法 | 午後は科目を切り替え、新しい刺激で集中を再構築 |
16:30〜18:00 | セッション③ 過去問演習 | 知識をアウトプットする実践形式で仕上げ |
18:00以降 | 完全オフ | 疲労をためず、翌日の学習効率を下げないために休養 |
✅ 運営者からの補足
学習時間が長く確保できるタイプこそ、逆に「締め切りのない日々」に流されがちです。
学習の終わりを“決めておく”ことで、オンオフの切り替えができ、燃え尽きも防げます。
このモデルでは、1日約7〜8時間の勉強を“高密度でこなすこと”が成功の鍵となります。
集中力を意識的にコントロールし、「毎日確実に前進している」という感覚を得ることが、継続力につながります。
5.3 モデルC:主婦・主夫・育児中の方
― スキマ時間を味方にする「モジュール型」学習法
【対象となる方】
- 小さなお子さんの育児や家事を日中メインで担っている
- まとまった勉強時間を確保するのが難しい
- 予測できない中断が日常的に起こる
【学習の鍵】
このモデルの成功のカギは、“固定スケジュール”に縛られない「柔軟性」と、「モジュール化されたタスク」の組み合わせです。
1つの学習タスクを5分・10分・30分・60分といった“時間ごとの単位(モジュール)”に分解し、その日の空き時間に合わせてパズルのように組み合わせていくのがポイントです。
【時間別:おすすめ学習メニュー】
所要時間 | タスク例 |
---|---|
5〜10分 | ・一問一答アプリ5問 ・条文3つを素読 ・講義音声を少し聴く(家事中など) |
20〜30分 | ・短いテキスト1セクションを読む ・過去問3問+解説を確認 |
60分以上 | ・新しい単元を学習 ・模擬試験の一部を解く(子どもの昼寝や就寝後など) |
【1日のスキマ活用シミュレーション】
- 朝:子どもを送り出した直後(約90分) → 民法の新単元を集中学習
- 昼:子どもの昼寝中(約60分) → 行政法の過去問演習
- 夕方:夕食の準備中 → 講義音声を聴きながら耳学習
- 夜:就寝後(約45分) → 暗記カードの復習、軽いインプット
✅ 運営者からのひとこと
私も育児と仕事を並行していた時期があり、「今日はまとまった勉強ができなかった…」と落ち込むことが多々ありました。
でも、“短くても1歩進んでいる”という感覚が持てれば、学習は必ず積み上がっていきます。
このモデルでは、完璧主義を捨て、「1問でも解ければ前進」という意識が重要です。
時間を“見つける”のではなく、“細切れ時間を学習用に使える形にしておく”ことが、継続の秘訣です。
結論:あなた専用の「最短ルート計画」こそが、合格への最大の武器になる
― 計画の本質は「個別性」「現実性」「柔軟性」にある
ここまで、行政書士試験に合格するための“戦略的な勉強計画”について体系的に解説してきました。
このガイドを読み終えた今、あなたにとって「行政書士試験」が、漠然とした不安ではなく、“具体的に攻略可能な目標”として見えてきたはずです。
最後に、合格へと導く計画の3つの本質を整理しましょう。
✅ 計画の本質はこの3つ
- パーソナル(個別性):
他人の成功事例をそのまま真似するのではなく、あなたの生活・知識レベル・学習スタイルに合わせて設計された「自分専用の計画」であること。 - リアリスティック(現実性):
理想論ではなく、今の生活リズムや家庭状況を踏まえて「少し努力すれば到達できる」現実的な目標設定であること。 - レジリエント(柔軟性):
予定どおりに進まなかったときも、すぐに修正・立て直しができる柔軟な構造を持っていること。
✅ 最初の一歩は「30分の時間監査」から
勉強はテキストを開くことから始まりません。
まずは静かな30分を確保し、今週1週間の時間の使い方を棚卸しすることからスタートしてください。
・削れない時間は何か
・スキマ時間はどこにあるか
・勉強に充てられる“純時間”はどのくらいか
このシンプルな作業こそが、合格までの“戦略マップ”を描く第一歩となります。
あなたの「最短ルート計画」は、他の誰かのものではなく、あなただけにフィットした計画です。
それを手にした今、あとは一歩ずつ進むだけです。
行政書士という目標を、あなただけのリズムと方法で、着実に掴み取りましょう。