ファストパス管理人はじめに｜スキマ時間が合否を分ける時代へ──行政書士試験とeラーニングの新常識
かつての行政書士試験対策といえば、通学講座や分厚いテキストによる自宅学習が中心でした。しかし近年、受験生の多くが社会人である現状を踏まえると、こうした「まとまった時間で学ぶ」前提の学習法は、もはや時代遅れになりつつあります。
今、学習の主戦場は「スキマ時間」に移行しています。通勤の電車内や昼休み、あるいは育児や家事の合間など、わずかな時間をいかに効率よく活用できるかが、合否を左右するカギとなっているのです。
こうした流れの中で、行政書士講座を提供する各社は、講義の質だけでなく「スマートフォン対応」や「eラーニング機能」の充実度でも差別化を図るようになってきました。単に動画が見られるだけではなく、倍速再生・一問一答演習・学習スケジュールの自動生成・AIによる復習提案など、多様な機能が競い合う時代です。
本記事では、主要な行政書士通信講座9社のeラーニング機能に焦点を当て、比較・分析を行いました。目的はシンプルです。
「あなたの学習スタイルに本当に合った講座はどれか？」を見極めるための信頼できる判断材料を提供すること。
「法律初学者だからこそ、勉強は効率よく進めたい」「スマホだけで完結する講座を探している」といったニーズをお持ちの方は、ぜひ読み進めてみてください。この記事が、あなたに最適な講座を選ぶ一助となれば幸いです。
第2章｜講座の特徴は3タイプに分かれる：価格帯と学習設計から見るeラーニング戦略
行政書士講座のeラーニング機能は、単に「ある／ない」だけでなく、講座の価格帯や教育理念とも密接に結びついています。本章では、主要9講座をその戦略的ポジショニングに応じて、以下の3タイプに分類し、それぞれの特徴を解説します。
【A】低価格・スマホ完結型｜スキマ時間に強い「モバイル特化講座」
代表例：スタディング
このタイプは、スマートフォンひとつで学習のすべてを完結できる設計が特徴です。アプリの操作性や倍速再生、AIを活用した復習機能など、機能性に優れつつも価格は非常にリーズナブル。動画講義も短時間で構成されており、移動中や家事の合間など、「まとまった学習時間がとれない方」にとっては非常に相性の良い講座です。
【B】中価格・バランス型｜講義・教材・機能の三拍子が揃った「実力派」
代表例：アガルートアカデミー、フォーサイト
講義の質、教材の充実度、eラーニング機能の多様性といった要素のバランスが良いのがこのタイプ。講師力やカリキュラムの精緻さに加え、スケジュール自動作成や過去問演習、記述対策など、機能面でも非常に洗練されています。コストパフォーマンスの面でも安定しており、「失敗したくない社会人受験生」にとっては有力な選択肢となります。
【C】高価格・伝統校型｜講師力と実績重視の「王道スタイル」
代表例：TAC、LEC東京リーガルマインド、伊藤塾
このタイプは、長年の実績や知名度、講師陣の専門性を最大の価値とする講座群です。一方で、eラーニング機能に関しては発展途上の部分もあり、完全オンライン対応やアプリの機能性ではやや遅れをとる傾向にあります。ただし、リアルタイム配信型の講義や手厚いサポート、記述式の添削など「講師との接点」に価値を感じる方には適しています。
eラーニング機能だけを比べるのではなく、自分のライフスタイルや重視する学習スタイルに合わせて、どの戦略タイプが合っているのかを検討することが重要です。
第1章補足｜講座別に見るeラーニング・アプリ機能比較表（主要9社）
あなたの「絶対に外せない条件」はどれですか？
オフライン再生？一問一答？AI復習？
そんな機能別に一目で比較できる決定版マトリクスです。
| 講座名 | スマホアプリ | 倍速再生 | 講義DL | デジタルテキスト | 一問一答 | 記述対策 | AI復習 | 進捗管理・スケジュール | 操作性・スキマ対応 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アガルート | |||||||||
| フォーサイト | |||||||||
| 資格スクエア | |||||||||
| スタディング | ◯ | ||||||||
| クレアール | ◯ | ||||||||
| 大原 | |||||||||
| TAC | |||||||||
| LEC | |||||||||
| 伊藤塾 |
※記号凡例：◎＝非常に優れている／◯＝対応あり／△＝一部対応・不明点あり／✕＝非対応
第3章｜各講座のeラーニング機能を徹底レビュー：特長と評価ポイント
3-1｜アガルートアカデミー｜10分講義 × オンライン演習「TOKERUKUN」で自由度の高い学習設計
アガルートは、スマホ学習と本格的な講義の両立を追求したオンライン特化型講座です。
最大の特徴は、一講義が約10分という短さで区切られている点。通勤中や昼休みなどのスキマ時間にも対応しやすく、動画は最大3倍速、アプリでのオフライン再生も可能です。
演習機能としては「TOKERUKUN（トケルくん）」という独自のオンライン演習システムを導入。一問一答形式での出題に加え、択一・記述の過去問、さらには他資格の応用問題まで幅広く対応しており、インプットとアウトプットの往復が効率的に行えます。
また、教材はフルカラーのデジタルブックで、しおり・マーカー・書き込み機能もあり、紙教材に劣らない操作性を実現。手厚い質問サポートやYouTubeライブ配信による補講も魅力のひとつです。
3-2｜フォーサイト｜ManaBunで学習スケジュールを自動設計＆確認テストで習熟度チェック
フォーサイトは、洗練された専用学習システム「ManaBun（マナブン）」を中核に据え、eラーニングに特化した完成度の高い講座です。
ManaBunでは、ライフスタイルに応じた学習計画を自動で生成。過去問演習・確認テスト・記述式演習などの機能が一つに集約されており、学習の全体像を常に把握しながら進められる設計です。
講義動画は最大2倍速、1単元15分以内に構成されており、学習しやすい長さとスピード感。テキストもフルカラーでダウンロード対応、必要に応じて紙媒体の教材を併用することも可能です。
さらに、演習履歴から苦手分野を自動抽出する復習機能や、スケジュール管理、暗記カードなど、スマホ学習を前提とした設計がなされています。
3-3｜資格スクエア｜「〇／×／？」三択方式の法令択一クエストで思考を深める
資格スクエアは、テクノロジー主導型の新興予備校として、特に演習機能において独自のアプローチを採用しています。
その代表例が「法令択一クエスト」。従来の正解・不正解だけでなく、「わからない（？）」という選択肢を設けることで、学習者の“メタ認知”を促進。自分の理解度を正確に把握しながら進められる点が特徴です。
動画講義は15～30分と短めで、再生速度は0.1倍刻みで最大3倍速まで調整可能。Webテキストや「マイレジュメ機能」での個人メモも活用でき、講義と演習を柔軟に連携できます。
ただし、記述式対策やAI復習といった機能は未対応。また、音声のダウンロードはオプションに限られる点も留意が必要です。とはいえ、「どれだけ理解できたかを自分で判断する力」を重視する学習者にとっては、非常にユニークかつ実践的な講座設計といえるでしょう。
3-4｜スタディング｜AIとスマホで完結！圧倒的効率を誇る次世代型講座
スタディングは「スマホ一台で完結する資格学習」をコンセプトに開発された、モバイルファーストの先駆け的存在です。通勤時間やスキマ時間でも学習が進むよう設計されており、UI（操作画面）も非常に直感的で使いやすく、はじめてeラーニングに取り組む方でも迷いなく使えます。
動画は最大3倍速、アプリでのオフライン再生も可能。デジタルテキストは検索対応で、必要な箇所へ即アクセスできます。さらに「AI問題復習」機能が搭載されており、間違えた問題を記録し、記憶に定着しやすいタイミングで再提示する設計になっています。
演習面でも、スマート問題集・過去問演習・記述式対策と一通りの機能がそろっており、AIによる学習プラン自動生成や進捗管理機能も充実。価格も非常にリーズナブルで、学習コストを抑えつつ最短合格を目指したい方に適した選択肢です。
3-5｜クレアール｜心理学ベースの演習システム「CROSS STUDY」と非常識合格法
クレアールは「非常識合格法」という独自メソッドを掲げる通信講座で、その根幹にあるのがWeb演習ツール「CROSS STUDY」です。このツールは、認知心理学に基づいた設計で、短時間でも学習効果が得られるよう演習の途中保存や繰り返し学習に対応しています。
講義時間は約30分に区切られており、音声ダウンロードも可能。教材はすべてPDF形式で提供され、検索・書き込みにも対応しているため、紙教材に近い感覚での学習が可能です。
記述式やAI出題には対応していないものの、一問一答・択一式の過去問演習には十分な機能を備えており、特に反復を重視する方には高い相性を誇ります。また、回数無制限のメール質問サービスがある点も、独学者にとっては大きな安心材料となるでしょう。
3-6｜資格の大原｜「パススル講座」でeラーニング領域に本格参入
大原は長年の教室型講座のノウハウを活かしつつ、eラーニング専用講座「パススル行政書士」で本格的にオンライン市場へ参入しました。
このコースでは、専用アプリを通じた動画のオフライン再生や、0.1倍刻みの倍速再生に対応。講義時間も約60分と比較的短く、スマホでも学びやすい構成です。テキストはPDF形式で配布され、マーカーやメモなどの機能も使えます。
問題演習では、Web問題集による択一式・記述式の演習が可能で、学習進捗は「個人カルテ」により可視化。さらにスケジューラー機能により、自分に合った学習計画を立てやすい点もポイントです。
伝統的な予備校としての安心感と、スマホ学習への最適化を両立したい方には、非常に魅力的な選択肢となっています。
3-7｜TAC｜講師力とカリキュラムの質をそのままWebへ──“教室型”の王道を貫くスタイル
TACは、教室講義で培った圧倒的な講師力と体系的なカリキュラムをそのままオンライン講座へ移植するという、他社とは一線を画すスタイルをとっています。
特筆すべきは、1コマあたり150分〜180分という長時間講義。テーマを一気に深掘りするスタイルで、分断されない集中学習に適しています。一方、スキマ時間での学習にはやや不向きな面もあるため、自宅でじっくり学ぶ時間を確保できる方に向いています。
eラーニング機能としては、過去問演習に対応した「Webトレーニング」や、記述式に対する「デジタル添削」などが用意されていますが、スマホアプリやデジタルテキストには非対応。教材はすべて紙で郵送される方式です。
「合格には講師の質と教材の完成度が重要」という信念を持つ方にとっては、TACの教育スタイルは非常に魅力的といえるでしょう。
3-8｜LEC東京リーガルマインド｜S式講座でモバイル対応を強化、“二正面戦略”で多様な受講者に対応
LECは、長年の実績を誇る老舗予備校として知られていますが、近年は「S式合格講座」というスマホ完結型の新講座を展開し、モバイル対応にも本腰を入れています。
S式講座では、1講義15分の短時間構成、倍速再生・動画DL・フルカラーテキスト・Web問題集など、現代的な学習ニーズにフィットした設計がなされています。スマホで完結するシンプルな学習フローを実現しており、スキマ時間の学習にも十分対応可能です。
一方、従来の「パーフェクトコース」では180分超の講義や紙テキストが中心となり、教室講座に近い体験を重視。つまり、LECは「スマホ完結型」と「教室型講義」の両方を展開する“二正面戦略”をとっており、幅広い受講者層に対応できるのが強みです。
講師陣の実力や、模試・演習の豊富さを重視したい方には、LECの柔軟な講座設計がフィットするでしょう。
3-9｜伊藤塾｜合格後まで見据えた人的支援が最大の魅力──eラーニングはあくまで補完的手段
伊藤塾は、行政書士試験を単なる通過点ではなく「志を持つ法律家を育てるプロセス」と捉えており、合格後の進路まで視野に入れた教育を行う稀有な講座です。
最大の特徴は、講師やスタッフによる人的サポートの手厚さ。講義内容の質問対応はもちろん、進路相談や学習カウンセリング、さらには合格者ネットワーク「秋桜会」によるフォローアップなど、学びを“孤立させない仕組み”が整っています。
一方で、eラーニング機能はあくまで補助的。動画の倍速再生こそ可能ですが、スマホアプリやデジタル教材には非対応で、教材はすべて紙中心。学習支援システムは用意されていますが、AI復習や演習機能の高度化には至っていません。
「質の高い人との関わり」や「真剣な対話による理解の深化」に価値を感じる方にとって、伊藤塾は他にはない強みを持つ講座といえるでしょう。
第4章｜テーマ別に比較するeラーニング機能の強みと設計思想
行政書士試験の通信講座においては、単に「機能があるかどうか」だけでなく、その背後にある「設計思想」や「受講者の学習スタイルとの相性」が極めて重要です。
本章では、講義動画・問題演習・教材形式という3つの観点から、各社のアプローチの違いを掘り下げて解説します。
4-1｜講義動画の設計思想を見る：倍速設定と講義時間の長さは何を意味するか
講義動画の長さや倍速再生の柔軟性は、講座ごとの教育方針の違いを如実に表しています。
たとえば、スタディングやフォーサイトのように「講義を15分以内に細かく分ける」設計は、スキマ時間の活用やマイクロラーニング理論に基づいたものです。倍速再生も0.1倍刻みや最大3.0倍など細やかに設定でき、受講者のペースに合わせた視聴が可能です。
一方で、TACや伊藤塾のように「1講義150〜180分」という長時間設計を採用している講座では、1単元を体系的かつ一気に深く学ぶことが前提となっており、まとまった学習時間の確保が必要になります。
どちらが優れているということではなく、どちらが自分のライフスタイルや学習習慣に合うかが重要です。
4-2｜問題演習機能の進化：反復型からAI活用まで多様化するアプローチ
問題演習の仕組みは、講座の“実戦力”に直結する重要な要素です。
まず基本となるのは、過去問を収録したWeb問題集です。これに加え、アガルートの「TOKERUKUN」やスタディングの「スマート問題集」、LECの「S式Web演習」などでは、一問一答形式での即答練習が可能です。
さらに、スタディングは「AI問題復習」機能を導入。記憶が薄れたタイミングで問題を再提示するなど、記憶定着の理論に基づいた復習提案が可能となっています。
一方、TACの「デジタル添削」など、記述式対策において専門家からのフィードバックを得られる機能は、理解の質を高めたい受験生にとって貴重な価値を提供しています。
このように、問題演習機能は単なる過去問提供にとどまらず、講座ごとに差が広がっている分野です。
4-3｜教材スタイルの違い：デジタルテキストか紙テキストか、それぞれの強みとは？
学習教材の形式──つまり「紙か、デジタルか」は、受講者の集中力や記憶定着にも大きく影響する選択です。
たとえば、スタディングやフォーサイトでは、検索可能なWebテキストを提供しており、「わからない箇所をすぐに調べて学び直す」ジャストインタイム学習が可能です。マーカー機能やメモ機能が統合されており、スマホ1台でも完結しやすい設計になっています。
一方、TACや伊藤塾のように紙テキストを基本とする講座では、「体系的な構造把握」や「集中して読み込む力」が求められる学習設計となっています。特に、深い理解や長期記憶を意識した受験生にとっては、紙媒体ならではの安心感と使いやすさがあります。
教材形式の違いは、利便性と集中力、検索性と記憶定着といったトレードオフの中で、どちらを優先するかという選択です。
第5章｜目的別に選ぶ最適講座：あなたに合うタイプ別おすすめ
ここまで見てきたように、行政書士試験対策講座のeラーニング機能は、価格帯・設計思想・機能の豊富さなどによって大きく異なります。
「どれが一番良い講座か」ではなく、「自分に最も合った講座はどれか」を基準に選ぶことが、合格への最短ルートです。
この章では、受講者のタイプごとに最適な講座を厳選してご紹介します。
モバイル完結＆コスパ重視派におすすめ：スタディング
- スマホだけで学習が完結する圧倒的な操作性
- AIによる復習機能や学習スケジュール自動生成
- 月額制レベルの価格帯で始めやすい
「通勤時間や家事の合間に勉強したい」「まずは費用を抑えたい」という方には、スタディング一択といってよいでしょう。まさに“スキマ時間特化型”の決定版です。
機能もサポートも重視するバランス派におすすめ：アガルート／フォーサイト
アガルートアカデミー
- 10分講義×倍速再生で柔軟な学習が可能
- 「TOKERUKUN」による高機能な演習システム
- デジタル教材もフルカラーで扱いやすい
フォーサイト
- ManaBunによる学習計画の自動化と可視化
- テキスト・演習・進捗管理が一体化された完成度の高いeラーニング設計
- 質の高い講義と教材を中価格帯で提供
「スマホ学習もしたいけど、サポートも欲しい」「安すぎる講座は少し不安」という受験生にぴったりの中道的ポジションです。
講師の質と伝統校の安心感を求める方におすすめ：伊藤塾／TAC／LEC
伊藤塾
- 手厚い人的サポートと合格後を見据えた教育体制
- 学習相談や進路サポートが充実
- 紙中心・長時間講義という“王道スタイル”
TAC
- 180分の講義による一気通貫の深掘り学習
- 記述式「デジタル添削」で理解を深められる
- 紙教材＋Webトレーニングという教室型に近い構成
LEC（S式・パーフェクトコース）
- スマホ特化型のS式講座と、従来型の両輪展開
- 豊富な模試と問題演習が魅力
- ブランド力と実績の安心感あり
「やはり学ぶなら信頼のある予備校で」「講師とのつながりを重視したい」という方には、伝統校ならではの一貫した教育体制が心強い武器になるはずです。
おわりに｜“最適な講座”は人によって異なる──まずは試して確かめよう
ここまで、主要な行政書士講座9社のeラーニング機能を比較・分析してきました。
ひとくちに「オンライン講座」といっても、その設計思想・機能の幅・講義スタイル・教材形式は実にさまざまです。だからこそ重要なのは、「どの講座が一番良いか」ではなく、「自分の生活スタイルや学習習慣に最も合っているか」という視点です。
- 忙しい社会人なら、スマホだけで完結する講座を。
- 講師の指導や人的サポートに安心感を求めるなら、伝統校型の講座を。
- バランス良く効率的に学びたいなら、機能が揃った中堅タイプを。
行政書士試験は、短期集中で突破できるものではありません。だからこそ、日々の学習を無理なく継続できるかどうかが合否を分けるポイントになります。
その意味で、「実際に触れてみる」ことが何より大切です。
気になる講座があれば、まずは無料体験や資料請求を活用し、自分の目で確かめてみましょう。
あなたにとって最適な学びの環境が、この中にきっとあります。