目次

第1章|はじめに:教材選びが合格への分かれ道に

1.1 選択肢が増えた今、受験生は「迷える時代」にいる

かつて行政書士試験の学習スタイルといえば、大手予備校か独学という二択でした。しかし今では、フルカラーテキストや白黒ベースの従来型教材、デジタル中心の学習システムなど、教材の種類は多岐にわたります。各社が「短期合格」「高い記憶定着率」「学びやすさ」などを強調し、それぞれ独自の学習哲学を打ち出しています。

受験生にとっては、こうした選択肢の多さがかえって混乱の原因になることもあります。本記事では、教材の見た目や印象にとらわれず、それぞれの設計思想・教育効果に着目して、教材選びの最適な判断材料を提供します。

1.2 本記事で取り上げる教材タイプと選定の考え方

本記事では、代表的な行政書士講座の教材を以下の4タイプに分類し、それぞれの特徴を比較・分析していきます。

  • フルカラータイプ(視覚重視):代表例:フォーサイト、アガルート
  • 白黒タイプ(記述・構築重視):代表例:伊藤塾、TAC、LEC
  • デジタルファースト型(スキマ学習特化):代表例:スタディング
  • ハイブリッド型(印刷+デジタル統合):代表例:アガルート、TAC、LEC

各教材には、それぞれ異なる学習戦略が背後に存在します。色やレイアウト、紙質のような「見た目」だけで判断するのではなく、「なぜこの教材はこの形になっているのか」「どんな学習者に合っているのか」を軸に、より戦略的な比較を行っていきます。

1.3 分析の視点:教材の“見た目”を超えて本質を見抜く

教材選びは単なる好みの問題ではなく、自分の学習スタイルや理解の特性に合った「思考戦略」の選択でもあります。本記事では以下の観点から教材を多角的に分析します。

  • 教材の設計思想(哲学):何を重視し、どう学ばせようとしているか
  • 物理的・視覚的仕様:サイズ、色、余白、書き込みやすさなど
  • 第三者評価(受講者の声):実際の学習体験に基づくリアルな評価
  • 認知科学・教育心理学的観点:色彩や手書きの効果、記憶への影響
  • 学習者タイプとの相性:初学者/再受験者/通勤学習者などの特性と適合度

これらの分析を通じて、読者自身が「自分にとって最適な教材は何か?」を見つけられるよう、実践的な判断材料を提供していきます。

第2章|フルカラーテキストの効果を検証する|視覚から学ぶ効率重視型の教材設計

2.1 フォーサイトの戦略:「合格点主義」とカラーによる情報整理

フォーサイトの教材は「満点ではなく合格点を目指す」という合理主義的な設計思想に基づいています。試験に必要な論点を徹底的に絞り込み、出題頻度の低い範囲は意図的にカット。情報の取捨選択をあらかじめ済ませた上で、重要箇所を色や図解で整理・可視化する構造です。

視覚的な特徴としては、全ページがフルカラー。図表・イラスト・フローチャートを豊富に使用し、視覚的に「どこが重要か」が直感的に分かるデザインとなっています。学習者の目に優しいフォントや、自由に書き込みやすい余白スペースも確保されており、ストレスの少ない教材といえます。

こうした設計は、特に「何から始めればよいか分からない」という初学者に適しており、受講者からも「安心感がある」「やるべき範囲が明確」と高評価を得ています。一方で、教材の完成度が高すぎるがゆえに、講義内容がテキストの“読み上げ”に近くなることがある、という意見も見られます。

2.2 アガルートの特徴:網羅性と講義連動を重視したフルカラーモデル

アガルートのテキストもフルカラー仕様ですが、フォーサイトとはアプローチが異なります。アガルートは高い網羅性を重視し、実際の本試験の出題カバー率は95%以上。抜け漏れのない構成と情報密度の高さが特徴です。

また、講師が講義中に使用するテキストと受講生の手元の教材が完全に連動している点も特筆すべきポイントです。画面上で講師が実際に書き込みを行うことで、受講者も自然とテキストへ書き込む習慣が身につく設計となっています。

デザイン面では、フォーサイトのような派手さは控えめですが、視認性や構造性には優れており、学習効率を損なうことはありません。より深く、しっかりと学びたい層にフィットする教材といえるでしょう。

2.3 学習における色彩の効果:視覚刺激が記憶に与える影響とは?

フルカラーテキストの学習効果には、科学的な裏付けがあります。たとえば、赤や黄色といった暖色系の色は注意を引きやすく、記憶の定着にも効果があるとされます。さらに、配色にコントラストを持たせることで、重要箇所が視覚的に浮き上がり、理解と記憶の補助となります。

また、色は「記憶の手がかり(リトリーバル・キュー)」としても機能し、特定のテーマや論点を色と結びつけることで、想起しやすくなるという利点もあります。特に初学者にとっては、何が重要かを瞬時に判断できるこの「視覚構造」は、学習における大きな助けとなります。

ただし、過剰な色使いはかえって混乱を招くおそれもあるため、教材側の設計意図が明確であることが前提となります。

2.4 考察:「受動的階層吸収」という学習モデルの強みと限界

フォーサイトをはじめとするフルカラーテキストは、あらかじめ学習すべき情報を「階層化」し、それを視覚的に提示することで効率的な学習を実現しています。これは、学習者が自ら重要度を判断・整理する手間を省き、「受け取るだけで理解が進む」スタイルともいえるでしょう。

このようなスタイルは「受動的階層吸収(Passive Hierarchy Absorption)」と呼ぶことができ、限られた時間の中で合格を目指す受験生にとって、非常に合理的な学習モデルといえます。

一方で、自分自身で情報を整理したり、重要度を判断したりする「能動的な学び」を重視したい受験生にとっては、やや物足りなく感じられる可能性もあります。教材に完全に依存するのではなく、「受け取った構造をどう活かすか」が、フルカラー教材を使いこなす鍵となるでしょう。

第3章|白黒テキストの本領を探る|深い理解を育てる「書き込み型」学習スタイル

3.1 伊藤塾に見る「白紙のキャンバス」戦略:基礎力を鍛える書き込み重視型教材

伊藤塾のテキストは、合格点を超えるための表層的な知識の獲得ではなく、「合格後も通用する法的思考力の養成」を目指した教材設計が特徴です。その中心にあるのが「白黒ベース+豊富な余白」という、受講生の書き込みを前提としたスタイルです。

このスタイルは、テキストを“完成された情報”ではなく、“自分で仕上げる学習素材”と位置づけています。講義を受けながら書き込みを加えることで、自らの理解を構造化し、唯一無二の「自分専用のテキスト」が完成していく感覚は、学びの主体性を高める仕組みでもあります。

内容も非常に網羅的で、条文、判例、学説、設問までが一体的に構成されており、法的三段論法のトレーニングにも適しています。

3.2 TAC/LECの白黒教材:講義と連動した「補助教材」としての役割

TACやLECといった大手予備校も、講座用テキストでは伊藤塾と同様に白黒仕様を採用しています。これらは講師の説明と連動しながら、学習者自身が書き込みやマークアップを施して完成させる「補助教材」として設計されています。

LECでは「講義録」「ドリル」「六法」の3点セットによる学習システムを構築しており、教材間の相互リンクによって情報の定着を図っています。TACも同様に、無駄をそぎ落とした必要十分な構成が評価されており、講義を主軸とした学習スタイルに適応した設計です。

一方で、視覚的な派手さは控えめで、「モチベーションが上がりにくい」と感じる受講生も一定数存在します。教材単体での完成度というより、「講義と組み合わせて初めて力を発揮する構成」と理解すべきでしょう。

3.3 書いて覚える効果とは?──「手書き学習」が脳に与えるポジティブな影響

手書きによる学習には、科学的に裏付けられた多くのメリットがあります。たとえば、手で文字を書くという動作は、脳の運動野や前頭葉、頭頂葉などを広く活性化させ、視覚・運動・触覚を同時に刺激します。これは「身体化された認知(enactment effect)」と呼ばれ、記憶の定着に寄与することが分かっています。

また、タイピングと異なり、手書きには一定の“遅さ”があるため、内容を要約しながら書く必要が生じます。これにより、単なる丸暗記ではなく、理解を伴う記憶の形成が促進されます。

さらに、紙媒体はページをめくる動作や余白の存在といった空間的な手がかりを提供し、学習内容の位置情報と結びついた記憶(空間記憶)を助ける働きもあります。つまり、「書いて、構造化する」学習は、法的論点の理解と記憶において非常に有効なアプローチなのです。

3.4 考察:「能動的階層創造」モデルと、予備校が取る“二面戦略”

伊藤塾のように、白黒テキストと書き込みを前提とした教材は、「能動的階層創造(Active Hierarchy Creation)」という学習モデルに基づいています。これは、学習者が情報の優先度を自ら判断し、マークやメモ、追記を通じて、教材に独自の構造を構築していくスタイルです。

このモデルは、受動的に知識を受け取るのではなく、学習者自身が教材を“再編集”することで深い理解を得ようとする姿勢に最適化されています。行政書士試験に限らず、法学を基礎から丁寧に学びたい人にとって有効なアプローチといえるでしょう。

一方で、TACやLECといった予備校は、講座用教材では白黒・講師依存型を採用しつつ、書店では自己完結型のフルカラーテキストを展開する“二面戦略”を取っています。これは「講義中心の学習者」向けと「独学者」向けの市場を分け、それぞれに最適化した教材設計を行っている証でもあります。

教材の見た目やカラフルさだけでなく、自身が「講師と伴走する学習スタイル」か「教材主体の独学スタイル」かを見極めることが、後悔しない選択につながります。

第4章|デジタル教材の実力と限界|スキマ時間を制する者は合格を制すのか?

4.1 スタディングの挑戦:スマホ完結型で学習のハードルを下げる

スタディングは、最初から「スマホで完結する学習体験」を前提に設計された、完全デジタル型の学習プラットフォームです。テキスト・講義動画・問題演習・進捗管理といった機能が一つのアプリに統合されており、学習単位も短く区切られているため、通勤・昼休みなどの“スキマ時間”に最適化されています。

その設計思想は「学習開始の障壁を徹底的に下げる」こと。デジタル化によって、いつでもどこでも学べる利便性を最大限に活かし、多忙な社会人や育児・介護などでまとまった学習時間が確保しづらい層に支持されています。

一方で、画面上の学習は長時間の集中には不向きとの声もあり、視力疲労や記憶の定着面での不安も指摘されています。この点を補完するため、冊子版テキスト(A5サイズ・フルカラー)もオプションとして提供されています。

4.2 アガルート・TAC・LECのハイブリッド戦略:紙とデジタルのいいとこ取りは可能か

デジタル一辺倒のスタディングとは異なり、アガルート、TAC、LECといった大手予備校は「ハイブリッド型」の教材設計を採用しています。すなわち、印刷された紙テキストを中心に据えつつ、オンラインでの学習機能も併用するスタイルです。

アガルートは講義と完全に連動した高品質な紙テキストを標準装備としつつ、講義中に講師が同一テキストにデジタルで書き込みを行う仕組みを提供。TACやLECも、紙の教材に加えて「デジタルビューア」や「Web問題集」などを補完的に展開しています。

これらは、紙媒体の信頼性・構造化された学習のしやすさと、デジタル教材のアクセス性・検索性を両立しようとする設計であり、バランス重視の学習者には理想的な選択肢となり得ます。

4.3 紙か?デジタルか?|記憶・読解・集中力への科学的アプローチ

読解力や記憶保持に関しては、紙とデジタルで脳の働き方に明確な違いがあることが、複数の研究で報告されています。とくに長文や複雑な情報を扱う場合、紙媒体のほうが理解度・記憶定着率が高くなる傾向があります。

その理由としては、紙には「ページの位置」「ページをめくる触覚」「物理的な進捗」といった“空間的な手がかり”があることが挙げられます。一方、スマホやタブレットの画面ではスクロールによって空間的な記憶が崩れやすく、全体像を把握しづらいという認知的な制約が生じます。

また、ブルーライトや反射による眼精疲労も、デジタル教材の長時間使用における障壁となり得ます。したがって、学習内容の「重さ」に応じて、紙とデジタルを適切に使い分けることが重要です。

4.4 考察:「デジタルで始め、紙で深める」──現代学習者の最適解

現代の学習環境では、「デジタルか紙か」の二択ではなく、それぞれの強みを戦略的に組み合わせる“ハイブリッド型”が主流になりつつあります。

スタディングのようにスキマ時間での反復練習・インプットにはデジタルが最適。一方で、複雑な条文解釈や論点整理といった深い理解には、紙の教材での読み込みや書き込みが効果を発揮します。

実際に、スタディングが後から冊子テキストの提供を始めたことは、「すべてをデジタルで完結させる」ことの限界を認めた形とも言えるでしょう。

結論として、最も効果的な学習方法は、自分の生活スタイルと学習目的に応じて「デジタルのスピード」と「紙の深さ」を組み合わせることであり、それこそが行政書士試験合格への近道と言えるのです。

第5章|教材比較と選び方の提案|最終判断のための実践フレームワーク

5.1 各講座の特徴を一望できる|仕様と設計思想の比較一覧表

ここでは、これまで分析してきた各教材について、「テキストの形式」「持ち運びやすさ」「学習方針」「デジタル対応の有無」などを軸に整理した比較表を提示します。

表の目的は、「見た目の印象」や「ブランドイメージ」だけに左右されず、教材の本質的な違いを明確にすることです。特に、デジタル機能の有無や、講座内テキストと市販テキストの違い、追加オプションの有無などは、公式サイトだけでは見えにくいため、受験生にとって重要な判断材料となります。

こうした比較を通じて、「どの教材が一番良いか」ではなく、「自分にとって最も使いやすく、学習効果が高い教材はどれか」を見極める土台を整えましょう。

表1|主要講座テキスト・教材仕様 比較一覧

講座名テキスト形式サイズ・携帯性教材の基本方針冊子テキストの有無オプション価格オプションの品質デジタル機能の有無・内容教材の提供形式
フォーサイトフルカラーB5判・薄くて軽い合格点に絞る効率重視なしManaBun(テキスト閲覧・問題演習)分冊で郵送
伊藤塾白黒(講座用)B5判・厚く重め合格後を見据えた基礎重視なし(市販は別)限定的(主に講義視聴)一括または分冊
スタディングデジタル中心A5判(冊子はオプション)スキマ時間を徹底活用あり19,800円フルカラーアプリ内統合:検索・メモ・AI復習スケジューリングオンライン/冊子購入時に郵送
アガルートフルカラーB5判・扱いやすい網羅性+講義連動型なし(標準装備)高品質デジタルブック(書き込み・同期機能)分冊で郵送
TAC白黒(講座用)B5判・ややコンパクト伝統型・講義主導設計なし(市販は別)デジタル教材ビューア(検索・書き込み)分冊で郵送
LEC白黒(講座用)B5 or A5(講座により異なる)伝統型・教材連動設計なし(市販は別)S式:講義・六法・ドリルが相互に連動分冊で郵送

5.2 あなたはどのタイプ?|学習スタイル別・教材の相性マップ

教材選びで最も重要なのは、自分の学習スタイルに合っているかどうかです。この節では、代表的な4タイプの学習者像をもとに、どの教材が相性が良いのかを整理します。

  • 初学者タイプ:学習の導入段階で不安が強く、視覚的サポートがある教材を求める
  • 分析型タイプ:再受験生や学習経験者で、書き込み・構造化を重視する
  • 多忙タイプ:通勤中や家庭の合間に勉強する必要がある、時間制約のある受験生
  • バランス型タイプ:講義と自学の両方を重視し、紙とデジタルを使い分けたい

この分類により、単なる機能比較だけでは見えてこない、「自分にとっての最適解」を明らかにすることができます。

表2|学習スタイル別|教材の適合性マトリックス

学習者タイプフォーサイト(受動的階層吸収)伊藤塾(能動的階層創造)スタディング(アクセシビリティ重視)アガルート/TAC/LEC(ハイブリッド/講義連動)
ビジュアル型の初学者視覚的階層構造でとっつきやすい情報量が多く、やや難解動画と図解で導入はしやすい市販本やアガルートの構成が親和性あり
論理重視の分析型再受験生情報が整理されすぎていて物足りない書き込みを通じた構造化が可能テキストの網羅性・柔軟性に課題網羅性と講義支援の両立が可能
多忙な通勤学習者軽く持ち運びやすく、eラーニング対応サイズ・重さの負担ありスマホで完結、音声・進捗管理も優秀ダウンロードやWeb演習あり
バランス重視のハイブリッド型色分け+適度な余白で汎用性あり自力で構造を作る必要がある冊子オプションと組み合わせれば最適解紙とデジタルの併用が自然にできる

5.3 意外と見落としがち?|教材選びにおける3つの“トレードオフ”

どの教材にも長所がある一方で、必ず“トレードオフ(何かを得る代わりに何かを失う)”があります。ここでは、見落としやすい3つの重要な視点を整理します。

  • 効率重視 vs. 深い理解
     例:フォーサイト(効率型) vs. 伊藤塾(本質理解型)
  • ガイド付き vs. 自律的学習
     例:フルカラーテキストで視覚構造を与える教材 vs. 書き込みで自ら作る教材
  • 利便性 vs. 記憶の定着
     例:スマホ完結型のスタディング vs. 紙のテキストによる空間記憶の強化

これらの軸を意識しておくことで、「なぜその教材を選ぶのか」という判断に、納得感と戦略性が加わります。

5.4 自分に合った教材を選ぶために|簡単チェックリストで最終確認

教材選びに迷ったときは、以下のような質問を自分に投げかけてみてください。

  • 「私は講師に導いてもらいたいタイプか? それとも自分で計画を立てたいタイプか?」
  • 「色や図解による視覚的サポートがないと不安になるか?」
  • 「スキマ時間で学習する頻度が多いか?」
  • 「初学者として安心感を優先したいか? それとも試験後も活きる深い理解を重視したいか?」
  • 「教材は自分で書き込んで育てたいか? それとも完成度の高い教材をそのまま使いたいか?」

このような自己診断を通じて、教材選びは「情報収集の延長」ではなく、「戦略的な意思決定」であることを実感していただけるはずです。

第6章|結論:最適な教材は「あなた自身の選び方」で決まる

6.1 「誰にとっても最高の教材」は存在しない

本記事で繰り返し強調してきた通り、行政書士試験対策において「絶対におすすめの教材」は存在しません。教材にはそれぞれ独自の学習哲学や設計思想があり、「最適かどうか」は、学習者の状況・性格・目的に強く依存します。

たとえば、短期間で合格ラインに到達したい方にはフォーサイトのような効率重視型が適し、法的思考力を深く鍛えたい方には伊藤塾のような書き込み重視型が向いています。また、育児や仕事と両立したい方にはスタディングのようなスキマ学習型、講義との相互補完を重視する方にはアガルートやTAC・LECのハイブリッド型がフィットします。

つまり、「教材選び=戦略の選択」です。自分にとっての“ベスト”を定義できるのは、他の誰でもない「あなた自身」なのです。

6.2 後悔しない教材選びのために|視点と行動をどう整えるか

最終的に、自分に最適な教材を選ぶためには、「合格」だけでなく、その後の学びやキャリアにもつながる視点を持つことが重要です。以下のような観点で選ぶことをおすすめします。

  • 学習環境との相性:通勤中・育児中・自宅集中型など、自分のライフスタイルに教材がフィットするか?
  • 学習スタイルの自己理解:書いて覚えるタイプか?視覚で整理するタイプか?音声で理解するタイプか?
  • 合格後も見据えた投資か?:試験突破だけでなく、実務や法的思考力を養いたいかどうか?
  • 「続けやすさ」はあるか?:デザイン、サイズ、携帯性、講義の語り口、UIなどでストレスを感じないか?

教材選びで重要なのは、「このテキストなら続けられる」「このスタイルなら自分に合いそう」と、自分の意思で納得して選べることです。

そして最後に忘れてはならないのは、どんなに良い教材でも「使いこなせるかどうか」は自分次第ということ。教材はあくまで“道具”であり、主役は学ぶあなた自身です。

本記事が、あなたにとって後悔のない教材選びと、合格への第一歩となれば幸いです。