第1章|絶対に忘れてはならない!持ち物チェックリスト
試験当日は、ほんの小さな「忘れ物」や「うっかり」が大きな不安やパフォーマンス低下につながります。この章では、行政書士試験当日に必要な持ち物を「必携」「推奨」「注意事項」の3つに分けて整理し、それぞれの役割と準備のポイントを具体的に解説します。
1-1 【必携】試験に絶対必要なアイテム一覧
以下の3点は、忘れてしまうと試験そのものを受けられない可能性があります。事前に「物理的な準備」と「心の備え」を万全にしておきましょう。
● 受験票
試験会場への入場と本人確認に必須の公式書類です。忘れた場合は本人確認書類(運転免許証など)を提示すれば仮受験票を発行してもらえる可能性はありますが、手続きに時間がかかり、精神的にも動揺を招くため避けるべきです。前日の夜と当日の朝、2回確認する習慣を。
● 指定の筆記用具
マークシート・記述式ともに「BまたはHBの鉛筆またはシャープペンシル」に限られています。
ボールペンや濃すぎる鉛筆は読み取りエラーの原因になります。鉛筆を使う場合は数本を削っておき、シャープペンシル派なら替え芯も用意しましょう。転がり防止にキャップや六角軸の使用も有効です。
● 消しゴム
小型のプラスチック消しゴムを2個以上用意しましょう。1つ落としても対応できるように予備を。事前に表面の汚れを落としておくことも、マークシート汚れ防止の重要な対策です。
● 腕時計
会場内に時計がない、または見えにくい可能性があります。時間管理のためには、アナログまたはデジタルの腕時計を1つ持参しましょう。スマートウォッチなど通信・演算機能付きのものは不正行為とみなされ使用禁止です。アラームは必ず事前に解除してください。
● 上履き・下履き用の袋(※会場による)
一部会場では土足禁止です。受験票や公式サイトで該当会場かどうかを必ず確認し、必要に応じてスリッパと靴入れ袋を持参しましょう。
1-2 【推奨】安心と集中力を高める持ち物
必須ではないものの、持っていくことで不安を減らし、集中力を保てるアイテムをまとめました。まさに“自分を守るお守り”としての役割を果たしてくれます。
● 最終確認用教材
新しい知識を詰め込むのではなく、慣れ親しんだ教材で気持ちを落ち着かせることが目的です。使い込んだテキスト、自作のまとめノート、予備校の直前チェック資料など、1〜2冊に絞るのが理想です。
● クッション・ひざ掛け・羽織もの
硬い椅子での3時間は想像以上に体力を消耗します。身体を冷やさず、長時間座っても疲れにくいように、試験監督員の許可があればクッションやひざ掛けも使えます。服装は調整しやすい重ね着がベストです。
● ティッシュ・ハンカチ
机の上に置いて使用可とされているアイテムです。鼻水・汗・ちょっとした拭き取りなど、地味ながら大きな安心材料になります。
● 常備薬・目薬・点鼻薬
頭痛、腹痛、花粉症、ドライアイなど、試験中に体調を崩さないための備えも重要です。これらも机の上に置いて使うことが公式に認められています。
● 飲み物(ペットボトルなど)
試験中の飲水は不可ですが、休憩時間や試験前の水分補給のために1本持っておきましょう。試験中に飲み物が必要な持病がある場合は、事前に試験研究センターへ申し出ることで特別対応を受けられることもあります。
● マスク・現金・モバイルバッテリー・紙の地図
感染症対策やのどの乾燥対策としてのマスク、小銭や現金は交通トラブル時のタクシー代や自販機利用に備えて。モバイルバッテリーと紙の地図は、スマートフォンが使えなくなった際のバックアップとして安心感を高めてくれます。
1-3 【注意】持ち込みルールと禁止物の確認
「知らなかった」では済まされない、試験中のルール違反。公式ルールを事前に正しく理解し、意図しない失格を絶対に防ぎましょう。
● 机上に置けるもの
受験票、鉛筆・シャープペン(BまたはHB)、プラスチック消しゴム、アナログorデジタル腕時計、目薬・点鼻薬、手動式の鉛筆削り、蛍光ペン(※問題冊子への使用に限る)、マスク、ハンカチ、ティッシュ。
それ以外はすべてカバンにしまい、足元に置く必要があります。
● 電子機器の扱い
スマートフォン・タブレット・スマートウォッチ等は、試験監督員から配布される専用封筒に入れ、完全に電源を切って封印し、カバンにしまいます。マナーモードやサイレントモードでは不十分です。音が鳴れば即退場・失格の対象となります。
● 法令集・六法の持ち込み
試験中の参照は一切禁止です。机に出すこともできません。あくまで「暗記勝負」の試験であることを忘れずに。
● その他注意事項
帽子・フード付きの服(本人確認の妨げ)、電動鉛筆削り、耳栓なども使用不可です。ルールに従わない行動は不正と見なされる可能性があるため、当日配布される注意書きも必ず確認しましょう。
この章でご紹介したアイテムの準備は、単なる「忘れ物対策」ではありません。不安や突発トラブルを回避し、「試験に集中できる環境」を自分で整える行為です。持ち物の最終チェックにはリストを活用し、「準備万端」という安心感を持って本番に臨みましょう。
第2章|試験当日のタイムスケジュールと心構え
本番で実力を発揮するには、当日の過ごし方がカギを握ります。この章では「前日〜試験終了後」までの流れを時系列で整理し、各時間帯で何を意識すべきか、どう過ごせばよいかを具体的に解説します。
2-1 試験前日|準備で差がつく!心身を整える過ごし方
試験前日は“詰め込み”ではなく、“整える日”。体調とメンタルを最高の状態に保つことが最優先です。
● 学習の最終調整は“軽い復習”にとどめる
慣れ親しんだ教材や模試の復習ノートを見返す程度にとどめ、不安を煽る新しい分野や難問には手を出さないことが賢明です。目的は「不安を消し、自信を強める」ことです。
● 食事は消化に良いものを
うどん・おかゆ・豆腐など胃に優しい食事がおすすめです。とんかつや辛いもの、生ものは避けましょう。食中毒や胃もたれを防ぐことが第一です。
● 持ち物チェックはリスト化+指差し確認で
チェックリストを用意し、落ち着いた時間帯(夕食後など)に一つずつ確認しましょう。受験票や腕時計、財布などはカバンの定位置に入れる、または玄関に置くなどして「絶対忘れない仕組み」を作ることが大切です。
● 睡眠が勝負を決める
徹夜は厳禁。夜の眠気を誘うために、当日の朝は少し早めに起床を。寝る前にはスマホやPCを避けて、ぬるめのお風呂や深呼吸、リラックス音楽で心を静めましょう。眠れなくても「横になって目を閉じるだけで体は休まる」と考えて、焦らず休むことが大切です。
2-2 試験当日の朝|焦らず整える“始動時間”
試験当日の朝は、静かにエンジンをかけていく時間帯です。焦りや不安を遠ざけ、普段通りのルーティンを意識して動きましょう。
● 起床は余裕を持って
会場までの所要時間を逆算し、出発時刻から逆算して起床時間を設定します。二度寝はリズムが崩れるため避けましょう。
● 出発前の確認事項
テキスト1冊に軽く目を通し、頭を「試験モード」に。持ち物チェックもこのタイミングで再確認し、忘れ物ゼロで出発を。
● 服装は“調整しやすく、締めつけない”を意識
会場の空調は予測困難です。Tシャツにカーディガンなど、温度に応じて脱ぎ着しやすい重ね着スタイルが基本です。身体を締めつけないリラックスした服装を選びましょう。
2-3 会場到着後〜試験開始まで|“本番モード”への切り替え時間
この1時間は、試験のコンディションを整える“ゴールデンアワー”です。精神的にも物理的にも、集中できる状態を作っていきましょう。
● トイレと試験室の場所は真っ先に確認
混雑前に早めにトイレを済ませることは、集中力を保つためにも重要です。掲示板で自分の試験室を確認したら、トイレの場所も同時に把握しておきましょう。
● 自分の席についたら環境を整える
机の上には必要最小限の物だけを整然と配置。腕時計、筆記具、受験票を並べて、視覚的にも「整った状態」をつくります。
● メンタルの微調整
まとめノートをパラパラと見返す、深呼吸する、目を閉じて集中を高める──あとはもう、周囲に惑わされず“いつも通りの自分”を信じて落ち着くだけです。
● 監督員の説明は絶対に聞き逃さない
午後0時30分から試験上の注意事項が説明されます。受験番号の記入方法やマークの仕方、途中退出のルールなど、重要な内容が含まれているため、最後まで集中して聞きましょう。
2-4 試験中の戦略とリスク管理術|3時間を制する“技術”とは
行政書士試験は3時間(180分)という長丁場。知識量だけでなく、「時間配分」と「集中力の持続」が合否を分けます。
● 問題に着手する順番は“戦略”で決める
行政法など得意科目から解く、文章理解など比較的取り組みやすい問題から手を付ける、など事前に自分の戦術を決めておきましょう。模試などでシミュレーション済の方法を採用することが絶対条件です。
● 科目別の時間配分の目安
分野 | 問題数 | 配分時間の目安 |
---|---|---|
法令等択一式 | 40問 | 約95~105分 |
└ 行政法 | 19問 | 約40分 |
└ 民法 | 9問 | 約35分 |
└ 憲法・基礎法学 | 7問 | 約20分 |
└ 商法・会社法 | 5問 | 約10分 |
多肢選択式 | 3問 | 約15分 |
記述式 | 3問 | 約20~25分 |
一般知識等 | 14問 | 約25~40分 |
見直し | – | 約5~15分 |
● 難問に執着しない「飛ばす勇気」を
解けそうにない問題は一旦パスして、後で見直し時間に再挑戦を。時間管理の鉄則です。
● 見直し時間の活かし方
・解答用紙の受験番号・氏名マークの確認
・飛ばした問題、あいまいな問題の再チェック
・マーク漏れやズレの確認
● 途中退出ルール
試験中の退出は可能ですが、「開始〜14:30」と「終了10分前(15:50〜16:00)」の退出は禁止。途中退出者は問題冊子を持ち帰ることができませんのでご注意ください。
2-5 試験終了後|自分をねぎらい、結果までの時間を穏やかに過ごす
試験後は「結果を待つ時間」をどう過ごすかも、次のステップに向けた重要なプロセスです。
● まずは自分を労う
3時間の戦いを乗り越えた自分を、しっかり認めてください。美味しい食事やリラックスできる時間で、心と体を解放してあげましょう。
● 自己採点をするかどうかは“気持ち次第”
多くの予備校が当日夜に解答速報を出します。すぐに確認してもよいですが、記述式は自己採点が困難です。ボーダーライン上の場合は「見ない方が精神的に楽だった」という声もあります。
● 次の一歩へ、意識を向ける
合格後の開業プランを考える、落ちた場合の来年の戦略を立てるなど、「これから」に目を向けることで、不安やモヤモヤを整理しやすくなります。
● 解答速報の公開スケジュール(例年)
予備校名 | 解答速報の公開時刻(目安) | 特徴 |
---|---|---|
アガルート | 17:00~18:00頃 | 解説動画・総評ライブあり |
資格スクエア | 17:00頃~ | 自動採点サービス・ライブ配信 |
伊藤塾 | 18:00頃~ | 成績診断サービス付き速報会 |
ユーキャン | 18:00頃~ | 自動採点サービス |
LEC | 19:00頃~ | 解答一覧・ライブ解説あり |
TAC | 19:30頃~ | 20:30に解答一覧公開 |
フォーサイト | 19:00~21:00頃 | 試験講評ライブとともに速報公開 |
クレアール | 20:00頃~ | 解説動画あり |
東京法経学院 | 22:00頃~ | 夜遅めの公開、丁寧な分析あり |
※正式な合格発表は、翌年1月下旬に行政書士試験研究センターから発表されます。